Googleが地域広告の掲載を開始する。
米グーグル、地域と地元ユーザーをつなぐ広告サービスを提供, CNET Japan, 2004/4/15
米Googleは4月15日、米国内や国境を越えて活動する広告主を対象にした、特定地域のユーザーだけにターゲットを絞って広告を表示する新しい機能の提供を開始する。広告販売を強化中の同検索サイトにとって、最新の試みとなる。...
インターネットにはもともと地域や時間を越えたコミュニケーションを可能にする素地があるが、もちろん従来通り店の前を歩く人にチラシを配るような広告も出来る。
今回、Googleが発表した「地域ターゲット広告」はお店に来てもらいたい、近い人でないと意味がない広告を見せるのにはちょうど良い。
レストラン、映画館、美容室、歯医者など身近なものの広告を地球の裏側にいる人に見せてもしょうがないというわけだ。
本質的にはYellow Page
地域ターゲット広告は本質的には、非常に古くからあるYellow Pageビジネスと同じだ。日本ならNTTの「タウンページ」が各家庭にあるだろう。実際にはNTT番号情報(株)という会社がタウンページの作成を行っている。インターネット版は「インターネットタウンページ」というサービスがある。
皆さんタウンページは一度位見たことがあるだろう。1ページ全てを使ったものや半分のものなど色々な大きさの広告がある。基本的にタウンページにお店を載せるには、お金を払っていると考えてよい。しかも目立つほど高い。
現在の所、タウンページに出ているからと言ってインターネットタウンページに出ているとは限らないが、今後固定電話を持たずに「携帯+PC」という世代が上がってくるにつれ、インターネットに地域ターゲット広告を載せる効果が上がって来ると思われる。当然マーケットも大きくなるだろう。
Yahoo電話帳もそうだ
実はNTT番号情報のビジネスを奪おうとしているのがYahooだ。YahooはNTTから電話番号リストのライセンスを受け独自に「Yahoo!電話帳」としてサービスしている。
Yahoo!電話帳では既に年間63,000円という金額で「クーポン」を販売している。クーポンとはリストの上位に表示するとともに、クーポン用にプロモーションページを1枚持てるサービスだ。
クーポンを購入すると例えばこんな風に表示される。まだまだ売れている数は少ないようだが、検索と絡めたり、電話帳自身のプロモーションを行うことによってトラフィックが増えるだろう。それにつれて自然に重要性が認められてくると思われる。
Yahooはそもそもカテゴリ構成からして地域という切り口にこだわっていたが、これは「地域ターゲティング広告」を考えると非常に先行していることになる。ここでもGoogleは海の向こうという感が否めない。
ライバルは誰だ
地域ターゲティング広告を真剣に販売しようとするとかなりの営業力が必要になる。なんといっても相手はまだホームページすら持っていない企業かもしれない。電話番号がない会社はないが、ホームページのない会社はまだまだあるのだ。
そのような人たちにリーチしようと思ったら、電話による営業か訪問による営業しかないだろう。
Yahooの場合には代理店に頼っているが、このように営業チャネルを武器に出来る会社は限られている。
一つはもちろんNTT番号情報。ここには数千人の電話オペレータがいて日々営業活動をしている。
それからリクルート。リクルートは様々なジャンルの情報誌を有しているが基本的に中身は広告だ。広告の塊に値段を付けて雑誌として販売しているのだから、一挙両得のような賢いビジネスをしている。彼らにも地域ターゲティング広告の販売チャネルがあるだろう。
また、アスクルやダスキンなどなんでも良いが小さなオフィスに入り込んでいる会社がある。これらも販売チャネルとしては有望だ。
似たようなサービスYellow PageサービスとしてJWordがあるが、こちらはGMOが有力な販売代理店になっている。GMOは日本のドメイン登録のシェアNo.1であるが、GMO経由でドメインを登録した会社にJWordを売り込むことによってGMOの販売チャネルを利用することができる。
いずれにしても、インターネットとは少し離れたが、地域ターゲティング広告を行う場合に一番重要なことは「どうやって営業するか」だろうと思う。
Googleには日本にそのような足がかりが何もないが、どのような展開をするのか期待したい。
-inoue