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レガシーは生きている

2010/06/10 17:13
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大家正巳

そりゃまあ色々ありますが、どうせ愚痴るくらいなら、いっそ書いて公表してしまおう!ということです。
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 たまに子供を連れて行く公園に蒸気機関車(D51)が保存されています。
 静態保存なので展示されているだけですが、その迫力と格好良さはなかなかのもの。周りを見ると、子供よりもお父さん達が熱い視線を向けています。展示パネルによればこのSL、昭和17年から約30年間現役だったそうで、その頑丈さには恐れ入ります。

 「ううーむ…」

 見るからに頑丈なその姿を見ている私の脳裏になぜか、ある光景がフラッシュバックしました。

 あちこちに掲げられた「ハロン消火設備」の看板。「ゴオオ」という音でものすごい冷気を放出する超強力エアコン。歩くとガコガコするフリーアクセスパネルの下には、のた打ち回って絡まっている大蛇のようなぶっといケーブルたち…
 そんなマシンルームの巨大設備に囲まれて中央にうやうやしく鎮座していたあれ。時価数億円なり。そう。大型ホストコンピューターです。
 (なんとなくイメージダブりません?私だけ?)

 この国は「メインフレーム大国」だそうです。ちょうど導入時期がバブル景気と重なり、短期間で普及が進んだからでしょうか。
 その後はご存知の通りダウンサイジングの波が押し寄せ、一時は「滅び行く恐竜」と揶揄されたこともある大型ホストコンピュータ。
 しかしなんのなんの、現在でもあちこちでまだ現役です。
 「いっそ壊れてくれればあきらめも付くのに…」とため息交じりにささやかれながらも再リースを繰り返し、その頑丈さゆえに今でもバッチリ元気です。24時間365日稼動など当たり前。今日もどこかで健気にバッチ処理を続けています。

 そして、そこにはそんな彼らを守り続ける人々がいます。
 必要スキルはJCLとCOBOL。たまにPL/1やFORTRANなど。場合によってはアセンブラ。
 プログラム改修のため古い設計書を引っ張り出すと、色あせたキングファイル内の黄ばんだページには、手書きのフローチャートや定規みたいなレコードレイアウト図… 先人達の苦労を偲びつつ、縁の下の力持ちとして社会基盤を支え続けています。

 高額な保守費用、高齢化するメインフレーム技術者。まあいろいろ問題は抱えていますが、「頑丈さ」「高可用性」はとても大切なことです。システムの種類によっては、何物にも変えがたいほどの利点でしょう。マイクロソフトその他が時代の途中で置き忘れてしまった設計思想が、あのデカい筐体の中にはたくさん詰まっています。

 この先どんなにPCサーバが頑丈になってWindowsやLinuxが安定性向上を図っても、たとえばメガバンクの勘定系システムが全面的にメインフレームから切り替えることはちょっと想像しにくいです。
 流通業界に目を向ければ、JCA手順のVANセンターには、いまだに2400bps(!)のアナログモデムがピーヒョロ言いながら接続してきます。インターネット経由のXML−EDIの普及があまり進んでいないのは、大手チェーンストアや大手メーカーのうち何割かの企業が、基幹システムでまだメインフレームを捨てられないという現状があるようにも思います。

 これほど使われ続けているメインフレーム、ここまで来たらもう、「いつかは入れ替えるもの」という前提ではなく、「ずうっとこのままのアーキテクチャで使い続けるもの」という発想で近未来を考えた方が良いのでは、と思っています。たとえ諸外国から「ガラパゴス」改め「サイトB」(ロスト・ワールドより)と呼ばれたとしても。

 ということで最近、「レガシーは生きている…」と、毎晩寝る前に三回唱えることにしています。
 よく言われる「メインフレームのダウンサイジング」とか「仮想化サーバへの変身」という以外にも、そこには何かしら、零細企業向きのとてもニッチな商機が潜んでいそうな気がして…
 いや、まだ良いアイデアは浮かんでいないのですけれど。

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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