おいおい、あの世界的ベストセラーに反論だって?
一介の素人ブロガーが?
今、きっとあなたはそう思っているに違いない。
その通り、私は無謀な試みをする。だって仕方ないのだ。読後に残った違和感を考察した結果なのだから。それに、世界的ベストセラーに素人ブロガーが異議を唱えられる世界こそ、彼が愛する「フリー」が誇る成果だろう。
はじめに言っておく。私は何もフリー反対論者ではない。ある程度のフリーはもちろん歓迎すべきだし、現にこうしてせっせと無料ブログを書いている。(ネタ切れに苦しんでまで!)
さらに、フリーミアムについての次の考え方には深く納得もしている。
・配布のためのコストがほぼタダなのであれば、無料版をつくり、配布せよ。
・無料版には、機能や期間等のある程度の制限があるが、95パーセントの人は満足してそのまま使う。それで良い。
・残り5パーセントの人々に付加価値の付いた有料版を購入してもらうことで採算を確保すればよい。
いわゆる「試用版」を一歩進めた考え方であり、感覚的には日ごろから馴染んでいる。しかしここまで明確に定義されると目から鱗が落ちた感があり、早速当社の戦略に組み入れることを検討している。
しかし、それ以外の部分で、この本には首を傾げる点が多いのだ。
以降、反論はこの本で有名になった「フリーモデルの4分類」に沿って進めることにする。長くなるため、1分類ごとに1エントリとして4回に分けて投稿する。
直接内部相互補助
カミソリをタダで配り、替え刃で収益を上げる、といったモデルがこの分類になる。顧客は最初、何かを無料で受け取るが、結局それ以外のもので必ず支払いが発生する。
本文中にもある通り、これは古くからあるモデルであり、特に目新しいものではない。ケータイを0円にして月額使用料による回収を行う、などのケースは日本でもよく行われている。ということはつまり、反論するほどのことでは…
いや。反論したい。このモデルはギミックである。
消費者に錯覚を起こさせるものであり、「あまり褒められた形態ではない」という認識を前提として考えるべきモデルである。取り扱い要注意である。
当社の目の前に有名なラーメン屋がある。旨いが、とても辛い。氷水なしではとても食べきれないくらい辛い。
もし、このラーメン屋が、「ラーメン0円!」を謳って集客し、「氷水1杯800円」として商売したらどうだろうか?
客は「なあんだ、騙されたよ…」と苦笑し、800円払って店を出るだろう。そしておそらく、二度と来ない。
普通にラーメンに課金したところで何の問題もないのに、姑息な手段で集客しようとしたことが許せないからだ。
似たような構図が悪質化したものが、イチゲンさんのみを対象とし、そもそもリピートを前提としていないケース、たとえば「夜の繁華街の裏通りで酔客(カモ)相手に行われる商売」などに見られる。それはもはや、犯罪に近い。
今後、程度とやり方次第で、このモデルがとても良いアイデアを生む可能性は否定しない。しかし提供側と消費者側の双方が、それがギミックであることを暗黙に了解し、楽しめるレベルの軽いものでなければならないだろう。(DVD2枚目無料、などはその範疇だろう)
そのレベルを超えたとき、それは決して賞賛されるビジネスモデルにはならないと思うのだ。
なお、週刊ダイヤモンド3月13日版で「FREE」が特集されている。その中では「モバゲー」がこのモデルの事例となっていたが、「無料ユーザのまま完結できる」という点からすると、モバゲーはフリーミアムモデルに分類されるべきと思われる。