「この不況で中小企業の資金繰りがタイヘンなことに…」
「大手企業の中小企業に対する下請けいじめが…」
「中小企業の借り入れ返済を向こう3年間猶予する!」
このようなフレーズがよくマスコミに出てきます。で、バックの映像に必ず決まって「町工場」の光景が流れ、作業服着て旋盤器の前に立つ社長さんのインタビューが始まります。場所はそう。東京都大田区。
さて、ここで問題です。
99.7%
これ、なんの数字でしょう。
答えは「この国の企業のうち、中小企業が占める割合」です。(2008年中小企業白書の数値をもとに計算)
つまり、この国のほとんど全ての企業は「中小企業」なのです。ちょっと調べればすぐ分かる事実です。正確な数字は知らなくても「大部分は中小企業」ということだけなら、普通の社会人であれば常識と言って良いレベルでしょう。
それなのに、どうして?
TVニュースや新聞にとって「中小企業」といえば「町工場!」それも「オータクのマチコーバ!」
(ちなみに東京都大田区の工場の数は2005年時点で約4700社程度(大田区HPより)だそうで、比率にすると全体の0.1%)
各種マスコミのこのステレオタイプ、本当にどうにかならないものですかね。見るたびに心からウンザリします。
昨今は政治家のセンセイ方も「中小企業の支援策!」などを色々と争点や論点にしてますが、その際、彼らの頭に浮かんでいるのがこのステレオタイプだとすると、それはとてもアブナイことだと思うのです。
ためしにこのエントリの最初の3行の「中小企業」という単語を「この国のほとんど全ての企業」と言い換えてみてください。インパクトの違いに愕然とします。特に3番目がコワいですよ。
「この国のほとんど全ての企業の借入金返済を向こう3年間猶予する!」
まあ、あの法案が骨抜きになってホッとしましたけど。