今週も多くの企業が4〜6月期の四半期決算を発表しています。
その中で、今日のニュースになったのは、ハードディスク業界の決算報告でした。「マックストア、第2四半期決算--2610万ドルの赤字に」の記事に書かれている通り、SeagateもMaxtorも第2四半期は、赤字決算になってしまったようです。それも、ディスクドライブの需要を拡大させる最大の原動力であるPC需要が第2四半期は高かったにも関わらずです。また、家電など新しい市場を開拓するという同業界の努力も、Apple ComputerのiPod mini人気に支えられる形で、実を結びつつあるように見えます。今日もSeagateの1インチHDDがCreative Technology社製の携帯音楽プレイヤーに搭載されることが決定したというニュースが入ってきたばかりです。
やはり業績低迷の理由は、ここのところずっとハードディスク業界で繰り広げられていた大容量化と値下げの倍々ゲームが行き詰まってしまった、というところでしょうか。
企業の顧客情報漏えいは相変わらず、大きな関心を呼んでいます。アメリカでは、他社のサーバに侵入し、個人情報を大量に盗み出して販売した容疑で米連邦検察当局から訴えられた人がいたようで、米司法省はこれを「史上最大の個人データ漏えい事件」だと言っています。今のところ、情報が漏えいして一番こわいのは、銀行口座やクレジットカード情報が悪用されることだと、思います。これだけでも十分怖いですが、将来は今以上に多くの個人情報があちらこちらのシステムに書き込まれることになるでしょうから、今後はもっと恐ろしいことになる気がします。例えば将来、医療分野の情報化が今以上に進んだら、DNA情報や病歴が細かく記載され電子カルテが医療機関の内部に保存されることになるでしょう。万一、この情報が外部に漏れたとしたら・・・「過去の病歴やDNA情報などに基づいた不当な差別を受ける」といった被害が発生する気がしてなりません。
同じくセキュリティ関連のニュースが今日はもう1つありました。オンライン恐喝の疑いでロシアの暴力団関係者が英国のサイバー警察に逮捕されたという内容のものです。容疑者らは、複数の賭博業者に対し、いきなり、お金を支払うよう不当に請求し、応じないならウェブサイトを破壊すると脅迫したそうです。当然のことながら、英国の業者はこぞって金額の支払いを拒否したそうです。なかには、特別なITセキュリティ対策を講じるために、余計な出費をする目に遭った業者もいたようですが、ウェブサイトを開設する以上はセキュリティ対策は絶対に必要なわけですから、この業者は、恐喝に屈するより活きたお金の使い方ができたのではないでしょうか?
今回の事件から、学ぶべきことが1つあります。それは、この手の脅迫は「無視するに限る」ということです(正確に言うと、「表面上は無視して、裏で警察に通報するに限る」ということなのですが)。脅迫に屈して、要求通りにお金を支払えば、犯人にもっと多くのお金を支払うよう脅されるばかりか、「思惑通りに反応する人リスト」にノミネートされかねません(そして、犯人はこの「思惑通りに反応する人リスト」を高額で他者に販売するのでしょう)。
ところで、この「無視するに限る」という表現、どこかで聞いたことがあります。そう、Bagleワームの新種発生が絶えないというニュースが今週前半にも出ましたが、知らないアドレスから送信されるウイルスメールへの一番の対処法もこれです。また、日本でも話題の「アダルトサイト利用に対する架空の料金請求」に対する、一番の対処法もこれです。インターネットとは関係ないですが「おれおれ」詐欺の電話も無視するに限ります。「無視するに限る」という対処法は、ネットの世界に限らず、現実世界でも有効なのですね(しつこいようですが、悪質なものは「無視する」だけでなく、警察にちゃんと通報しましょう)。
さて、マイクロソフトですが、昨日の最大750億ドルの株主還元計画に続き、今日も米フィッシング対策団体にソフトウェアとアナリストを無償提供したことや、米国時間22日の四半期決算発表を控え、投資家の関心が個々の事業部門の業績に集中していることなど、いろいろな話題を提供してくれました。日々のニュースとは性格が異なりますが、同社CEOSteve Ballmerへのインタビュー記事も今日から「インタビューコーナー」に掲載されています。
この記事が皆様に読まれる頃には、米国で同社の決算発表が行われているかもしれませんね。
(翻訳記事担当)