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今年のWWDCで発表されなかったことについて

2006/08/08 23:42
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 毎年恒例のAppleのWorldwide Developer Conference(WWDC)で、今年は待望の「Mac Pro」(Power Mac G5の後継機)が発表され、また次期Mac OS X「Leopard」のプレビューが行われた。これらの話題については、ニュースのほうで詳しくお伝えしているので、ここでは今回発表されなかった事柄に触れてみたい。

 まず、AppleがMac Proの製品ラインを絞り込み、Intel Core 2 Duoチップのなかでもデュアルプロセッサに対応したサーバ用の「Woodcrest」(製品名:「Xeon 5100」)だけを搭載してきたことには、いささか虚を突かれた。虚を突かれたというのは、これまではこの価格(税込31万9800円)帯の下にローエンドとミッドレンジのモデルがそれぞれあったからだ。そして、Intelチップを搭載するプロ用デスクトップラインにもそれらのレンジのモデルが用意され、同じCore 2 Duoでも先ごろ発表になった「Conroe」が積まれてくるのでは、というのが事前の専らの噂だった。無論、今後そうしたモデルが出される可能性も考えられるが、同時に「Macが他のPCと比べてもかなり高速に動作するマシンになったため、プロフェッショナルのニーズでもある程度まではMacBook ProとiMacとで対応できるようになった」という考え方も成り立つ。だとすると、今後もしばらくは「Mac ProはWoodcrestのみで、Conroeは専らiMacに用いられる」という仮説が成り立つ。そうなるとiMacのチップ切り替えのタイミングが問題になってくるが、これは現行モデルが今年1月に発表されたことを考えると、早ければ今年のクリスマス商戦が始まる前に、そして遅くとも来年1月のMacworld Expoまでアップグレードされた新モデルが出てもおかしくないと思われる。

 いっぽう、このConroe-iMacの場合よりもかなり確かなのは、ノートブック用のCore 2 Duoチップ「Merom」を搭載したMacBook Proが登場してくることだろう。各方面で指摘されているように、MeromがMacBook Proに採用されれば、MacBookとの違いがより明確になるからだ。Meromチップ搭載マシンが今回発表されなかったのは単にタイミングが合わなかった--Macについては発表と同時に発売するというのがアップルのやり方--からという可能性が高く、早ければ新モデルが今月末〜来月頭に出てきても不思議はない。

 さて。新OS「Leopard」に目を移すと、バックアップ機能「Time Machine」や仮想デスクトップ「Space」など、「Appleならでは・・・」としかいいようのない優れたカタチで実装してきた新機能はあるが、これらはともにコンセプトとして新しいものではない(新しさの点でいうと、ウェブページの一部をウィジェットとして切り出せる「Web Clip」のほうが斬新かも知れない)。さらに「Apple Mail」や「Spotlight」については、既定路線の延長線上と思える機能の向上/拡張どまり(むろん、これらのアプリケーションの場合、目に見える高速化が実現されているとすれば、それだけで十分特筆すべきことでもあるが)。さらに、「iChat」では、「Screen Sharing」という画期的な新機能が加わった点を除くと、いくつかのeye candyが付加されたにすぎない、という印象を受ける(少なくとも、他のIMとの互換性実現といった実際的な発表はなかった)。

 問題は、これらの主にインクリメンタルな機能追加がなされたことではなく、むしろこれまで貧弱さが指摘されている「.Mac」オンラインサービスの取り組みについて、ほとんどまったく新しい事柄がなかった点ではないだろうか。いわゆる「Web 2.0」と呼ばれるような流れのなかで、現在テクノロジー関連業界のアクションの中心がオンラインに移っていることは改めて指摘するまでもない。パソコン市場でのシェア増大が最も効率のよい成長への道筋であるApple--そういうバリューチェーンを築いている--にとって、Intelチップへの切り替えによりやっとそのメドが立ち始めた矢先に、利益と直結しそうにない余計なことにまで手を広げないというのは懸命な選択であろう。が、写真やビデオといった一般向けのエンターテインメント性の強いものから、スプレッドシートやプレゼンテーションなど仕事と直結するものまで、オンラインを通じての「共有」がもたらす利便性や価値は、今後ますます重要度が高まる事柄だろう。また、「iTunes Music Store」を自ら成功させ、オンラインサービス−ソフトウェア−ハードウェアが三位一体となったバリューチェーンの強さを自覚しているはずのAppleが、この点に気づいていないはずはない。だとすれば、今回の発表の中味はいささかもの足りないものだったのではないか、というのが私の率直な印象だ。

 もっとも、JupiterResearchのアナリスト、Michael Gartenbergが指摘しているように「アップルにはLeopardに関して、まだ隠していることがたくさんあるのではないか("I suspect there is a lot more to Leopard that Apple is holding back")」という見方もあり、あのAppleのことであるから、そうした可能性があっても一向に不思議はないと思われる(例えば、LeopardにはメディアUIの「FrontRow」がデフォルトで組み込まれることになったが、この動きについての詳しい説明などもないことが、かえってさまざまな可能性を想起させる)。

 とくにオンラインサービスを中心として、MacユーザーのみなさんならAppleにどんなものを実現して欲しいだろうか?

坂和敏(編集部)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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