発表段階においてもエントリさせて頂いた「VMware Fusion 3」が米国時間26日付にて正式リリースを迎えています。当エントリではVer.2.0からの変更点を中心に、その概要等を簡単に纏めてみたいと思います。
Mac OS Xベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Fusion」を対象としたアップグレードリリースとして5月下旬よりテストリリースが開始され、米国時間5日付のTeam Fusion等を通じて正式発表が行われていた「VMware Fusion 3.0」ですが、この度米国時間27日付にて同仮想化ソフトウェアの正式版に相当する「VMware Fusion 3.0 Build 204229」がリリースされ、現在VMwareによる公式ダウンロードページを通じて日本語含む7言語に対応したバイナリパッケージが入手可能となっています。
一連のテストリリースを通じた「VMware Fusion 3.0 Build 204229」における主な特徴として以下の項目等が示されています(「2.0.6 Build 196839」からの主な変更点となります)。
- 「Mac OS X 10.6 Snow Leopard」によって齎されたディスク、及びグラフィックスパフォーマンスの最適化を有効に活用
- 3Dグラフィックスを含むグラフィックス関連の改善。Windows(ゲストOS)を対象として「DirectX 9.0c Shader Model 3」をサポート
- ディスプレイドライバモデル「WDDM(Windows Display Driver Model)」をサポート。Windows 7/Vista(何れもゲストOS)において「Windows Aero」に対応(「Aero Glass」「Flip 3D」「Aero Peek」等、ゲストOSにおいて「Windows Aero」をサポートする最初の仮想化ソフトウェアに)
- XPDM(Windows XP Display Driver Model)グラフックスドライバにより、「Windows XP(ゲストOS)」を対象として「OpenGL 2.1」をサポート
- WDDMグラフックスドライバにより、Windows 7/Vista(何れもゲストOS)を対象として「DirectX 9.0Ex」「OpenGL 1.4」をサポート
- 各表示モード(シングルウインドウ、フルスクリーン、Unity)利用時における2D描画のパフォーマンスを改善
- 全般的なパフォーマンス向上を齎すべくした、新たな64bitネイティブコアエンジンを実装(「vmware-vmx」等が64bitに対応。GUIコンソール(VMware Fusion)は32bit)
- 仮想マシンにおいて最大4コア(4way)の「Virtual SMP(Virtual Symmetric Multiprocessing、仮想対称型マルチプロセッシング)」をフルサポート(マルチコアCPUをエミュレート)
- 「Virtual SMP」利用時におけるパフォーマンスを改善
- Windows(ゲストOS)起動時に要されるメモリ使用量を大幅に低減
- 2GB以上のRAM容量が割り当てられた仮想マシンを対象としたパフォーマンスの改善(「Mac OS X 10.6 Snow Leopard(ホストOS)」利用時においてのみ)
- パフォーマンスのプライオリティがMac OS X(ホストOS)サイドに割り当てられている際のディスクライティングパフォーマンスを大幅に改善
- Mac OS X(ホストOS)におけるメニューバーに新たなアプリケーションメニューを配置(常時表示、或いはGUIコンソール(VMware Fusion)起動時のみ表示の何れかを任意に選択可能)。同メニューを通じてゲストOSアプリケーションをダイレクトに起動可能となった他、仮想マシンの制御、表示モードの切り替え、及びセッティングエディタ、スナップショットウインドウの呼び出し等にも対応
- 任意の仮想マシンにおけるスクリーン全体を、何れの表示モード(シングルウインドウ、フルスクリーン、Unity)においても常時確認可能な「Preview(プレビュー)」ウインドウを実装(同ウインドウを通じて各表示モードの切り替え等も可能。ウインドウサイズは任意にリサイズ可能)
- 「Unity」モードにおいて3Dアプリケーション、及び1080pフルハイディフィニションビデオが動作可能に
- 「Unity」モード利用時に、Windows(ゲストOS)におけるタスクバーアイテムをMac OS X(ホストOS)メニューバーに表示可能に
- 「Unity」モード利用時にMac OS X(ホストOS)「Dock」に表示されるゲストOSアプリケーションのアイコンが、よりハイクオリティにて表示されるべくした変更を適用
- Windows(ゲストOS)アプリケーションにおけるタイピング時のパフォーマンスを改善(「Unity」モード利用時)
- フルスクリーンモード利用時に仮想マシンをコントロール可能なフルスクリーンタイトルバーを実装(ゲストOSにおけるユーザインターフェイスエレメント(Windowsにおけるタスクバー、Linuxにおけるデスクトップメニュー、或いはMac OS X Serverにおけるメニューバー等)へのアクセスが妨げられるケースを回避すべくして、スクリーンの何れかのサイドに移動可能)
- フルスクリーンモードへと遷移する際(或いはフルスクリーンモードから遷移する際)に、スムーズなアニメーショントランジションにて遷移すべくした変更を適用(Animated View Mode Transitions)
- 特定のマルチディスプレイ環境(長辺が4096ピクセルを越えるモニタレイアウト)にてフルスクリーンモードを使用した際のパフォーマンスを改善
- Windows 7/Vista(何れもゲストOS)利用時に、マルチディスプレイ環境におけるフルスクリーンモード(或いは「Unity」モード)が「WDDM」にて動作すべくした変更を適用
- Physical Windows PC(実機)からのP2V(Physical to Virtual)マイグレーションをガイドする「Migration Assistant(マイグレーションアシスタント)」を実装。インスタントネットワーキングテクノロジ「Bonjour」等を通じて同一ネットワーク上に存在するWindows PCを自動検出可能とし、同アシスタントによって作成された仮想マシンをMac OS X(ホストOS)に対してダイレクトに保存可能に(Mac OS X(ホストOS)において、Appleによる「Migration Assistant(移行アシスタント)」ライクな移行プロセスを実現)
- オートマチックアップデート。アップデータのチェック、ダウンロード、及びインストールまでを可能とする、新たなビルトインのソフトウェアアップデータを実装
- 「Virtual Machine Library(仮想マシンライブラリ)」の改善。新たに追加された「Home(ホーム)」ビューを通じて、新規仮想マシンの作成(ゲストOSのインストール)、P2Vマイグレーション、「Boot Camp」仮想マシンのセットアップ、仮想アプライアンスのダウンロード等を実行可能に
- 「Virtual Machine Library」を通じて、「Parallels Desktop for Mac」或いは「Microsoft Virtual PC for Mac」等によって作成された仮想マシンを検出、インポート可能に
- レジュームプロセスをキャンセル可能に
- コンソールウインドウ(仮想マシンウインドウ)リサイズ時に、表示内容がライブ、且つスムーズに追従されるべくした変更を適用
- ユーザインターフェイス関連の改善。「Dock」アイコン(VMware Fusion)から「Virtual Machine Library」にアクセス可能に
- 共有フォルダ、ミラーフォルダの改善。共有フォルダに内包されるWindows不可視ファイル(「Thumbs.db」「RECYCLE.BIN」等)が自動的に隠されるべくした変更を適用
- 「WLW(Windows Live Writer)」「Microsoft Office 2007」等を含む、各種サードパーティアプリケーションとの互換性を改善
- キーボードサポートの改善。再マップされたキーを使用する際のパフォーマンスを改善
- ヨーロピアンキーボードを自動認識可能に
- Windows/Linux(何れもゲストOS)、Mac OS X(ホストOS)間において、イメージをコピーアンドペースト可能に
- Linux(ゲストOS)、Mac OS X(ホストOS)間において、RTF(Rich Text Format)をコピーアンドペースト可能に
- Windows(ゲストOS)アプリケーション、Mac OS X(ホストOS)アプリケーション間において、イメージをドラッグアンドドロップ可能に
- Windows(ゲストOS)からMac OS X(ホストOS)に対して「Microsoft Outlook」における添付ファイルをドラッグアンドドロップ可能に
- ゲストOSにおけるファイルをMac OS X(ホストOS)アプリケーションに対してダイレクトにドラッグアンドドロップ可能に
- サスペンドされた仮想マシンに含まれるVMware仮想ディスク(.vmdk)を、読み込み専用のボリュームとしてMac OS X(ホストOS)にマウント可能に
- MicrosoftからWindowsトライアルをダウンロード、及びインポート可能に
- Microsoft仮想ディスク(.vhd)をVMware仮想マシンとしてインポート可能に
- ブリッジネットワークにおいて特定のネットワークアダプタを選択可能に
- ブリッジネットワークにおいて「IPv6」をサポート
- 仮想ネットワークアダプタにおけるイーサネットMACアドレスをオーバーライド可能に
- 従来まで潜在的な機能として実装されていたVNCサーバが、セッティングエディタを通じたGUIにて制御可能に(「Advanced(詳細)」>「Other(その他)」)
- 「Mac OS X 10.6 Snow Leopard」をホストOSとしてサポート(64bitカーネル/32bitカーネル双方に対応)
- 「Mac OS X Server 10.6 Snow Leopard」をゲストOSとしてサポート(64bitカーネル/32bitカーネル双方に対応)
- 「Nehalem」マイクロアーキテクチャが採用されたApple製コンピュータにおいて、「Mac OS X Server 10.5 Leopard」をゲストOSとしてフルサポート
- 「Windows 7」をゲストOSとしてフルサポート(インストール時には「New Virtual Machine Assistant(新規仮想マシンアシスタント)」における「Windows Easy Install(Windows簡易インストール)」オプションを利用可能)
- 「Windows 7」を「Boot Camp」仮想マシンにおけるゲストOSとしてサポート(64bit/32bit双方に対応。尚、Appleは現時点で「Boot Camp」における「Windows 7」を正式にサポートしていません)
- ファームウェアインターフェイスとして「EFI(Extensible Firmware Interface)」をサポート(「Virtual EFI」。64bit/32bit双方に対応)
- スマートカード共有。Mac OS X(ホストOS)、及びWindows(ゲストOS)から、サポートされたCAC(Common Access Card、共通アクセスカード)、或いはPIV(Personal Identity Verification、個人識別情報検証)スマートカードに対して同時にアクセス可能に
- And many others...
↑「WDDM」をサポートし、「Windows 7(ゲストOS)」において「Aero Glass」に対応(クリックで拡大します)
↑「VMware Fusion 3.0」におけるアプリケーションメニュー(左)と「Preview」ウインドウ(右)(クリックで拡大します)
↑「VMware Fusion 3.0」におけるフルスクリーンタイトルバー(クリックで拡大します)
↑「Virtual Machine Library」における「Home」ビュー(クリックで拡大します)
※「Windows Aero」は利用可能な環境に制限がありますので御注意下さい。
「Virtual SMP」の実装は「Parallels Desktop for Mac」「Sun VirtualBox」等と同様にマルチコアCPUをエミュレートしているため、デュアルCPU以上(複数の物理CPU)をサポートしていないゲスト OS(Windows Vista Home Premium/Vista Home Basic/XP Home等)においても複数の仮想コアを利用する事が可能となっています(「VMware Fusion 2.0」における「Virtual SMP」は(「2.0.6 Build 196839」の段階において)シングルコアのクアッド(デュアル)CPUをエミュレートしているため、デュアルCPU以上をサポートしていないゲスト OSでは複数の仮想コアを利用する事ができません)。
↑「VMware Fusion 3.0」における「Virtual SMP」の実装。マルチコアCPUをエミュレートしているため、「Windows XP Home Edition」においても複数の仮想コアを利用する事が可能となっています(クリックで拡大します)