利用シーンから商品の再構成が必要!
前回は妄想力が今後のマーケティングのポイントとお話をしました。どちらかと言えば感性に近い話でしたので、今回は少し別の視点から説明したいと思います。これからのマーケットのポイントは【使用(=満足)】及び【サービス】です。これにはソリューションの機能の側面ではなく、利用場面の訴求が必要不可欠です。ところが、企業によっては標準的な利用方法を説明している。何を今さらと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私がこれから必要だと考える利用シーン中心の訴求方法とは、単なる標準的利用場面の訴求ではありません。商品を解説するための利用シーンではなく、利用シーンそのものが商品と同化するようなイメージです。
これまでの利用シーンを描く目的は、あくまでも商品の利用場面を通して、機能優位性や比較優位性をイメージさせるためでした。ところが、これからは顧客単位に訴求する利用シーンそのものを商品として認知して貰う考え方が大切です。例えば、ある会社の事例ですが、テレビ会議システムの利用シーンを変える事で商品の価値をずらす事に成功しました。テレビ会議システム自体は、既に枯れた技術であり、会議の効率化が中心軸で訴求されています。インフルエンザの影響からパンデミック対策として訴求されていましたが、それもテレビ会議が持つ商品価値を超えていません。これに対して、プロジェクト管理という全く異なる軸を挿入した会社があります。これによってテレビ会議システムがプロジェクト管理システムに変わりました。また、この会社は顧客毎に全く異なる利用シーンで案件獲得をしています。
これは顧客が商品を購入するのではなく、使用=体感=満足を購入する軸へと、購買心理が変わった事を意味します。曖昧な物に対して、ブランドや希少性から商品を購入する時代は終わりました。だからこそ、商品を商品として訴求するのではなく、その利用シーンを付加して、同じ商品でも違うテイストの商品として変貌させる必要があります。私も自分のコンサルティング実績を商品化する過程で、同じ分析でも利用場面が異なれば見え方の違う商品が生まれる事を実感しています。今後の顧客は利用シーンを買います。その利用シーンから想定される効果を買うのですが、まずは利用シーンです。今後の商品作りのヒントにして頂ければ幸いです。(メールマガジン【ソフトハウスのための幸福経営論】発刊中!)