「グーグル検索のAI要約は独禁法違反」とパブリッシャー団体がEUに申し立て

Imad Khan (CNET News) 翻訳校正: 編集部2025年07月08日 10時35分

 Googleの「AIによる概要」をめぐり、独立系パブリッシャーの団体が欧州連合(EU)に独禁法違反の苦情を申し立てたと、Reutersが先週報じた。AIによる概要は、「Google検索」での検索内容に応じてインターネット上のコンテンツを学習して生成される回答で、検索結果の最上部に表示される。

提供:James Martin/CNET 提供:James Martin/CNET
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 同団体は、Googleがパブリッシャーのコンテンツをスクレイピングして再構成していることに対する措置をEUに求めていると、Reutersは入手した文書を基に伝えている。

 「Googleの中核である検索エンジンサービスは、Google検索のAIによる概要のためにウェブコンテンツを不正利用しており、その結果としてトラフィック、読者、収益の損失という形でニュースパブリッシャーを含むパブリッシャーに重大な被害を既に与え、今も与え続けている」と文書は一部で述べている。また、パブリッシャーには検索結果に表示される機会を失うことなく、自社の素材を学習に使われないようオプトアウトする選択肢がないとも指摘している。

 Googleの広報担当者は、「他のどの企業よりもGoogleはウェブにトラフィックを送ること優先しており、毎日数十億回のクリックをウェブサイトに送っている。検索における新しいAI体験により、人々はさらに多くの質問ができるようになり、コンテンツや企業が発見される新たな機会が生まれる」と述べた。

 Googleは、AIによる概要によってサイトに送られるクリックは質が高いと主張する。そうした読者はサイトにより長く滞在するためだ。それでも、ユーザーが検索結果で即座にAI生成の回答を得ることで全体のトラフィックが減少したとされる中、その質の高いクリックによる潜在的な利益が損失を補えるかどうかは不明だ。

 Independent Publisher's AllianceとEUの反トラスト部門の担当者は、コメントの依頼にすぐには応じなかった。

 インターネット全体でパブリッシャーのトラフィックは急落しており、最大手サイトでは27〜59%の減少も見られるとSimilarwebは推計している。パブリッシャーはすでに、読者が検索経由でサイトを訪問することに頼らない「Google Zero」の未来を想定し、読者との直接的な関係構築へ舵を切りつつある。

 検索経由の大量のクリックが見込めなくなる中、米CNNThe Vergeなど多くのサイトがペイウォールを設け、読者に購読を促している。同時に、パブリッシャーらはOpenAIMicrosoft、Perplexityを相手取り、著作権で保護された素材をAIモデルの学習に使ったとして訴訟を起こしている。

 AI企業側も法廷で反論しており、パブリッシャーのコンテンツを利用することは「フェアユース」に当たると主張している。裁判所がIT企業側の主張を認めた例もある。

 パブリッシャーが自らのコンテンツを守ろうと防御的になるのは当然だ。業界はすでに大きな打撃を受けており、その結果としてリストラや廃刊が相次いでいる。ノースウェスタン大学の調査によれば、米国では2005年以降に2900もの地方紙が廃刊になった。2025年もジャーナリストにとって厳しい年となっており、米CNN、Vox、HuffPost、NBCで人員削減が相次いでいる。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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