一度でも使ったことがある人ならわかるように、「ChatGPT」は回答スピードが高速で、複雑なクエリにもわずか数秒で答えを出す。一方で、スピードは確かに利点だが、時に欠点にもなる。というのも、スピードが速いということは、回答を急いで生成したということでもあるからだ。そんな中、この問題への対処に特化した、新しいOpenAIモデルが発表された。
OpenAIは米国時間9月12日、「OpenAI o1」のプレビュー版を発表した。これは回答するまでにこれまでよりも時間をかけてよく考えることで、科学、コーディング、数学などのより複雑な問題にじっくり取り組むように設計された新しいモデルシリーズだと、同社のブログ投稿では説明している。
We're releasing a preview of OpenAI o1—a new series of AI models designed to spend more time thinking before they respond.
— OpenAI (@OpenAI) September 12, 2024
These models can reason through complex tasks and solve harder problems than previous models in science, coding, and math. https://t.co/peKzzKX1bu
OpenAIによると、このモデルは人間のように、よく考えてから回答するようにトレーニングされているという。そのために、モデルの思考プロセスをさらに洗練化させ、モデルがさまざまな戦略を試したり、ミスを特定したりできるようにしたとのことだ。
このアプローチは実際に結果を出している。新しい「o1」モデルは数学とコーディングに強く、国際数学オリンピック(IMO)の予選で用いられる問題を解かせたところ、全体の83%に正答した。これと比較して、「GPT-4o」に同じ問題を解かせた際の正答率はわずか13%だった。ベンチマークの結果の一部については、Open AIの最高経営責任者(CEO)のSam Altman氏が、「X」(旧Twitter)へのポストで以下のように紹介している。
here is o1, a series of our most capable and aligned models yet:https://t.co/yzZGNN8HvD
— Sam Altman (@sama) September 12, 2024
o1 is still flawed, still limited, and it still seems more impressive on first use than it does after you spend more time with it. pic.twitter.com/Qs1HoSDOz1
これは納得の結果だ。というのも、これまでも回答の質を上げる方法として、ChatGPTに対してプロンプトの再読を求めることが一般的になっているからだ。これは高度な推論が必要なプロンプトでは特に顕著だ。最初にユーザーから出されたリクエストを再び処理すると、多くの場合で、ChatGPTが自らの回答のミスを発見し、訂正した回答を出力してくる。
OpenAI o1は初期段階のモデルであることから、インターネットのブラウジングやメディアのアップロードへの対応といったChatGPTの主要機能が搭載されていない。このため、短期的には、一般的な用途にはGPT-4oが最適とみられるが、科学、コーディング、数学などの複雑な問題を解くならOpenAI o1のほうがより良い選択肢になるはずだ。
OpenAIは併せて、「OpenAI o1-mini」も発表した。ここまで説明してきたプレビュー版のOpenAI o1(「o1-preview」と表記される)よりも80%安価なことから、開発者にとってはより費用対効果が高い、高速な選択肢となる。OpenAIはブログ記事で、o1-miniは特にコーディングに威力を発揮すると解説している。
「ChatGPT Plus」と「ChatGPT Team」のユーザーは、ChatGPTページの左側にあるモデル選択のトグルから、o1-previewとo1-miniの両モデルにアクセスできる。o1-previewには週に30メッセージまで、o1-miniには週に50メッセージまでという制限がかけられている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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