テーブルトップRPGの世界も生成AIで変革--米Hidden Doorの取り組み - (page 3)

Adam Benjamin (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2023年05月19日 07時30分

AIによって開かれる扉

 AIのナレーターがいれば、初心者にとっての障壁も低くなるのではないか、とMason氏は期待している。「ゲームをうまく進行するのは、大変な労力だ。例えば、集まった友人の誰かがナレーター、つまりGMの役を引き受けるとなったら、その準備は膨大になる」

ゲームのAIナレーターとやり取りする様子
AIナレーターに取りたい行動を伝えると、それに答えて物語を進めてくれる
提供:Hidden Door

 全くそのとおりだ。筆者も、友人のために何度かD&Dのゲーム進行を務めたことがある。実際、GMとしてうまくセッションを進めるには、膨大な時間と労力を費やさなくてはならない。経験の浅いプレーヤーだったら、そんな手間をかけてくれる仲間を見つけるのはひと苦労かもしれない。それほどクリエイティブなエネルギーを使ってくれる人が見つかったとしても、どのくらい短時間でそのアイデアをまとめ、セッションを準備してくれるかは、ふたを開けてみないと分からない。Hidden Doorが目指しているのは、AIの生成能力を利用して、そうした負担を肩代わりし、人間には気軽にプレイしてもらうことだ。「われわれが期待しているのは、ゲームに伴う負担が減ることで、もっと多くの人にこうしたプレイ体験を味わってもらうことだ」、とMason氏は話している。

 目標は、ただテーブルにつくGMの役割に取って代わることではなく、いろいろなものの選択肢を増やすことだったという点をMason氏は強調する。特に、Hidden Doorが利用する知的財産の種類をめぐる選択肢だ。

 また、システムを動かすのがAIだとしても、同社の魅力はAIの目新しさだけではないとMasons氏は考えている。願っているのはむしろ、「ドラゴンエイジ」シリーズや「ウィッチャー」シリーズのようなRPGと同じくらいアクセスしやすいが、さらに制限の少ないゲームに接してもらうことだ。「プレーヤーには、これがAIゲームだという事実は全く意識してもらわなくていい。ただのストーリーゲームにすぎないが、実際に何でも選択できて、それが間違いなく展開すると感じてもらいたい」(Masons氏)

 Hidden Doorのゲームは、まだ一般公開はされていないが、このゲームを試しながらAIの訓練に協力することに興味があるなら、順番待ちリストに登録することが可能だ。開発時の裏話や、AI一般に関する議論などは、同社のブログ(英語)にも掲載されているので、AI技術と、その現在進行形の進化に興味がある方には、格好のリソースになるだろう。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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