チャレンジ利用者の7割は島の方で、3割くらいが島外の企業やフリーランス、個人事業主だという。
カヤックゼロ 取締役の住吉優氏は、「そもそも、島の人に受け入れられるか不安だったが、いまは島の人のほうの利用者が多い。島の人の中でも、移住者と島生まれの島人と分かれるが、そうした生粋の島生まれの方も多く利用してくれているのが特徴。チャレンジは移住者と島の人とのミックスで運営しているので、島の人も島外の人も来てくれているのだと思う」と話す。
なぜ石垣島にコワーキングスペースを作ったのか。住吉氏は、鎌倉に本社を置くウェブやECサイトのプロデュースを手がける村式の代表取締役でもあり、カヤックの顧問も務める。2018年から家族で石垣島に移住しながら、2カ月に1度程度、鎌倉を訪れる生活という。
そうした中で、このチャレンジという物件に出会った。「当時はホームセンターが終わって廃墟のようになっていたが、とにかくいい場所にあり、チャレンジというホームセンターは昔から島のシンボリックな施設であったため、知名度がすごい。おじい、おばあから子どもまでみんな知っているから、地元の先輩経営者となんとかここをうまく活用できないかと相談し、カヤックとしても事業としてやってみようかということになった」(住吉氏)
実は、カヤックの創業を決めたのは、創業者となる3名が学生時代に行った石垣島旅行だったという。「いつか一緒に起業しよう」――そうした創業者たちの思い入れのある場所で、創業者の1人、柳澤大輔氏と住吉氏らが2021年に設立したのがカヤックゼロだ。
「コワーキングスペースは、単なる黙々と働くテレワーク施設でなくて、地域の人と外からの人、子どもたちが交わる施設を作りたかった」(住吉氏)
そのコンセプトのとおり、施設の中央にイベントスペースを作り、イベントスペースを囲むように働く人がいるという設計をしたという。
取材をした日(平日)もイベントが行われていた。ときには地元の人が三線を弾く、地元の高校生がプロジェクト活動をするといった場所になっており、コンセプト通りうまく回っているという。
「石垣島は、遊びに来るリゾートというイメージだったと思うが、働ける島になりつつある。チャレンジができてからワーケーションで来る方も増えた。地元の方とのマッチングや島外の人、会員同士のマッチングで会社を設立したり、島外からワーケーションに来ていたIT企業が、地元の人と仲良くなって、社員の一人が移住してこちらに支部ができたりする流れがおこっている」(住吉氏)
チャレンジは、「島から世界を面白く~石垣島のコラボ&発信拠点~」がコンセプトだ。島内外から働く人を受け入れるワーケーション施設であり、イベントなどを通じて多世代と交流できる沖縄の“ちゃんぷる文化”を体現した発信拠点でもある。
筆者は長く石垣島に通っているが、こうしたコワーキングスペースが整いはじめて、仕事がしやすくなってきたと感じる。まもなくゴールデンウィーク、休みの狭間は仕事をして休日は観光やアクティビティを楽しみたい――そうした人の選択肢としてもおすすめしたいスペースだ。
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