話題の対話AI「ChatGPT」の実力--「iPhone 14 Pro」のレビュー記事を書かせてみた - (page 2)

June Wan (ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2022年12月15日 07時30分

ChatGPTの回答の正しかったところ

 どう感じただろうか。筆者が見たところ、ChatGPTの機能は、優れている点と劣っている点が明確に表れている。まず、レビューの流れは教科書どおりだ。ChatGPTがiPhone 14 Proについてどう考えているか、方向を定め、デザイン、性能、カメラ、バッテリー持続時間について述べたうえ、まとめでは最終的な推奨の言葉まで添えている。ウェブを検索してProRAW、Deep Fusion、スマートHDR 3がiPhoneの新機能であることに触れ、ちゃんとカメラに関する説明の中でそれに言及する。ただ問題なのは、これらが新機能ではないことで、それについては後述する。

 それから、製品について説明した後で、それがユーザーエクスペリエンスにどう影響したかまで付け加えているのには感心した。例えば、「さらに、高速充電にも対応しているので、必要なときすぐにフル充電できる」という箇所がそうだ。スペックを述べてそれで終わりではない。その点が、「Siri」や「Googleアシスタント」や「Alexa」といったスマートアシスタントと違う。

ChatGPTの回答の間違っていたところ

 ChatGPTが出力した製品レビューの大きな問題は、不正確なことだ。回答を読んで、間違いがいくつかあることに既にお気づきだったかもしれない。「A16 Bionic」ではなくA15 Bionicを最新チップセットと紹介している点や、実際には2019年に登場したDeep Fusionを「新機能」と呼んでいる点などだ。

 擁護のために言っておくと、OpenAIのウェブサイトでは、ChatGPTが「ときとして不正確な情報を生成する場合もある」としたうえで、「2021年より後の世界や出来事については情報に限界がある」と断り書きがしてある。参照すべき信頼できる情報源が常にあるとは限らないので、これは当然だろう。引用してきたデータが正しいか誤っているかは判断できないのだ。まして、iPhoneの特定のモデルについて書く必要があるなど、複雑な状況ならそうなる。

 iPhone 14 Proが完璧なスマートフォンでない限り(米ZDNETの意見では完璧ではない)ChatGPTのレビューはiPhone 14 Proに対して好意的すぎる面もある。eSIMの採用や、不必要に目立っている常時オンのディスプレイ、さらには2022年のバズワードだった「Dynamic Island」など、議論を呼んでいる特徴については触れていない。

 もう1つ加えると、パーソナリティーを感じさせることができたら、ChatGPTのレビューは「良い」から「見事」になるだろう。読者の皆さんはどうか分からないが、筆者は新しい製品がリリースされたとき、他のジャーナリストの見解(極端な意見、いわゆるホットテイクでも)を読みたいと思う。こうした機知、主張、好奇心という人間らしいバランス感覚こそ、AIが今はまだ再現できていないことだ。

まとめ

 ChatGPTに対して、また今後のAIのあらゆる可能性に対して筆者が抱いている感情は、期待と疑問と恐怖の入り交じったものだ。おそらくAIは、今日の労働問題を解決するうえで欠かせない役割を果たすだろうし、かつては未来的なビジョンだったものが、今ではますます現実になっている。ChatGPTは確かに、世界最大の検索エンジンの息の根を止めてしまうのかもしれない。

 ただし、人間が意思疎通や対話をどう進めるかについて、その人間ならではの側面が解明され、完璧で不死のコンピューターがもたらしうるリスクや危険の意味がもっと十分に理解されるまで、筆者の懸念は変わらない。もちろん、筆者が完全に誤っている可能性も認めよう。

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提供:Screenshot by June Wan/ZDNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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