好むと好まざるとにかかわらず、メタバースへの参加にはかなりの出費が伴う。10月に発売されたMetaの新型VRヘッドセット「Meta Quest Pro」は最低価格でも1499ドル(日本では22万6800円)だ。既存モデルの「Meta Quest 2」も100ドル(日本では約2万2000円)値上げした。そう考えると、HoloKit Xの129ドル(約1万8000円)は破格だ。
Hu氏によれば、先ごろオープンした公式オンラインストアでは、ほとんどの購入者がヘッドセット2台を割引価格で購入できる「ツインバンドル」を選んだという。値引き額は9ドルにすぎないが、友人の顔を見ながらマルチプレイを楽しめる点が人気の理由ではないかと同氏は分析する。HoloKit XのARでは、感情のない不気味なアバターではなく、相手プレーヤーの顔を見ながらプレイが可能だ。
MRの世界に飛び込む以前、Hu氏は、GoogleやTwitter、DJIのほか、シリコンバレーの有名企業で働いていた。特にDJIでは、LiDARスキャンや深度マップなど、カメラやセンサーを使って現実空間の物体の距離を測定する技術に感銘を受けた。同氏がロボット工学やコンピューティングの専門知識とアートに対する情熱を融合させ、Holo Interactiveを設立したのは自然な流れだった。
HoloKit Xは、生産性の向上や、ビジネスツールとしての企業向け販売は意図していない同氏は言う。目指しているのは、ARヘッドセットによって人々の生活に喜びと驚きをもたらすことだ。これは現在、最も売れているVR/ARヘッドセットのMeta Quest 2の思想とそれほど変わらない。しかしQuest 2と違って、HoloKit Xはユーザーを別世界に連れて行くこともなければ、3D酔いを引き起こすこともない。HoloKit Xは、現実世界にインタラクティブなグラフィックを自然な形で重ねるため、自分のいる場所が分からなくなる心配がない。これは、AR/VRヘッドセットの装着時に起こりがちな吐き気を抑えるための重要なポイントだとHu氏は言う。
筆者は、1on1でのプレイを体験していた時に浮かんだ疑問をHu氏に投げかけてみた。それはAndroidへの対応予定だ。同氏は淡々とこう答えた。「今のところ、iPhoneが最も信頼性が高く、性能が安定している端末だ。Android端末にはLiDARセンサーがないなど、ハードウェア面の制約もある」
しかしiOSプラットフォームについても、HoloKitのソフトウェア開発キットはまだ公開されていない。同氏とそのチームは、まずはHoloKitアプリを社内で完成させるつもりだ。HoloKitアプリは11月末に正式リリースされる予定だ。それまでの間、HoloKit Xの購入者はTestFlightを通じて、同アプリのテストに参加できる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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