新型iPadにはLightningポートが非搭載なので、Apple PencilをiPadに接続したければ、9ドル(1380円)のアダプタを使用する必要がある。Apple Pencilには第2世代もあるが、こちらはiPad Airと新型の「iPad mini」およびiPad Proでしか機能しない。このことはほとんどの人にとって購入を見送る理由にはならないかもしれないが、それでも、この判断は理解しがたい。Appleのアクセサリーが同社のデバイスに簡単に接続できることは、Appleの製品エコシステムの最大の利点の1つである。しかし、Apple Pencilのようなアクセサリーの接続を複雑にすれば、その利点が損なわれてしまうように思える。
iPadのソフトウェアに対するAppleのアプローチにも、多少の混乱がある。iPadには、ここ何カ月かで、複数のウィンドウを重ねて実行できる「ステージマネージャ」などの新しいマルチタスク機能が追加されている。この機能は、iPadの仕事用デバイスとしての利便性を向上させるものであるにもかかわらず、iPad Proや第5世代のiPad Airなど、特定のモデルでしか利用できない。このことは、449ドルの新型iPadでは利用できない可能性が高いことを示唆している。つまり、最新のモデル間でさえ、製品機能に一貫性がないのだ。ステージマネージャのような追加機能は、Appleが低価格のiPadとハイエンドのiPadの差別化をさらに進めていくうえで役には立つが、Appleのタブレットが生産性とエンターテインメントの間をふらふらしていることも示している。
一方、Microsoftは、Appleと反対のアプローチを採用している。10周年を迎えた同社のタブレット「Surface」シリーズは、従来のノートPCに取って代わる、携帯性に優れた製品を求めるユーザーを一貫してターゲットとしてきた。Microsoftの市場シェアはAppleやサムスンほど大きくないかもしれないが、キーボードとタブレットを定期的にペアリングするというアイデアを広めたのはSurfaceシリーズの功績だ。Surfaceがきっかけとなって、iPad Proやそのほかの同様のデバイスが登場したのは、ほぼ間違いない。
Appleのタブレットラインアップの混乱状態を批判したい人もいるかもしれないが、同社の戦略がうまくいっていることは明らかだ。調査会社Canalysによると、世界タブレット市場で、Appleは最も多くのタブレットを出荷しており、34.8%のシェアを占めているという。また、パンデミックの初期の頃には、リモートワークや仮想空間での交流のためのデバイスを求める人が増えたため、iPadの売上高も増加した。
まもなく登場するPixel Tabletで、Googleは、この市場への進出を目指して行われた過去の多くの試みとは明らかに異なるアプローチを採用している。同製品は、スマートフォンやノートPCの機能の一部を担うように設計されたデバイスではなく、基本的に、取り外し可能なディスプレイを備えたスマートホームディスプレイとして機能する。
Pixel Tabletの発売は2023年だが、Googleは米国時間10月6日に開催された秋の製品発表イベントで、このデバイスを先行的に披露した。同製品は、マグネットでスピーカードックに取り付けることで、「Google Nest Hub」のようなデバイスに変身することが可能だ。音楽を再生したり、スマートホームデバイスを制御したりできるほか、デジタルフォトフレームとしても機能する。Googleの発表を見る限り、ドックなしで使用する場合は、通常の「Android」タブレットと同じように動作するようだ。
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