テクノロジーの進化とともに、新たなイノベーションによって生み出される、法律では規制されないグレイゾーンも増えていく。その最たる例が人工知能(AI)だ。AIが日常生活にどんどん入り込んできている中、これに関する指針や境界線を設定する必要性はかつてないほど高まっている。このため米ホワイトハウスは米国時間10月4日、この問題に対処するための「Blueprint for an AI Bill of Rights」(AI権利章典に向けた青写真)を公開した。
お気に入りの曲を再生するよう「Alexa」に命令するのであれ、顔認証技術を利用してスマートフォンのロックを解除するのであれ、AIは日々の生活を楽にするために日常的に用いられている。このテクノロジーには確かにメリットが存在するものの、バイアスのリスクやセキュリティ上の懸念といったデメリットも存在している。
ホワイトハウスは発表の中で、「これらツールの利用によって人々の機会が制限されたり、重要なリソースやサービスへのアクセスが阻まれる場合があまりにも頻繁にある」と記している。
またホワイトハウスは「米国や、世界の各地で、患者のケアを支援するためのシステムに安全性の問題や非効率性、バイアスが存在していることが明らかになっている。また、人材の採用や、与信に関する意思決定に用いられるアルゴリズムも、既存の望ましくない不平等さを反映し、再生産したり、有害なバイアスや差別を新たに生み出すことが明らかにされている」とも記している。
ホワイトハウス科学技術政策局は市民の権利と民主主義の価値を守るために、自動化システムの設計や利用、配備の指針となる5つの原則を洗い出した。これらの原則は「潜在的な危害を食い止める防壁」となることを意図している。
以下が5つの原則だ。
この青写真には、「米国の人々の権利や機会、重要なリソースやサービスへのアクセスに大きな影響を与える可能性がある」自動化されたシステムに対して同フレームワークが適用されると記されている。
WIREDの記事によると、この取り組みはAIによる悪影響を統制しようとするものであるにもかかわらず、一部の批評家たちはAI権利章典の青写真が法的拘束力を有した文書ではなく、「強制力を有していない」という点で実効性がないだろうと主張している。
AIの規制という今までなかった物事を成し遂げるというのは確かに困難ではあるが、ホワイトハウスは今回、人々の日々の生活とテクノロジー業界全体の双方に影響を与える重要な問題に光を当てたということは少なくとも言えるはずだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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