ノーベル生理学・医学賞、絶滅ヒト族のDNA研究に貢献したスバンテ・ペーボ氏に

Sarah Lord (CNET News) 翻訳校正: 佐藤卓 吉武稔夫 (ガリレオ)2022年10月04日 11時14分

 2022年のノーベル生理学・医学賞がスウェーデンで現地時間10月3日に発表され、同国出身の科学者Svante Paabo博士が受賞した。同氏はネアンデルタール人のゲノムを解読したほか、他の化石とともに発見された指の骨の断片からDNAを抽出し、絶滅したヒト族の一種である「デニソワ人」が存在したことを証明した。

Svante Paabo博士
提供:Hendrik Schmidt/picture alliance via Getty Images

 同氏の功績は、先史時代のDNAの抽出と解析に関する新たな基準を確立したことにある。先史時代のDNAは時間の経過によって劣化するだけでなく、微生物や人間によって汚染されている可能性がある。しかし同氏は、このような問題に対処する方法を見つけ出し、現代人に最も近い絶滅種であるネアンデルタール人のゲノムの解読に初めて成功した。

 同氏は研究の過程で、ロシアのアルタイ山脈にあるデニソワ洞窟で発掘された若いヒト族の骨片からDNAを採取した。このDNAを解析したところ、その骨がこれまで知られていたヒト族とは明らかに異なることが確認された。博士はこの新しいヒト族をデニソワ人と名付けた。その後、複数のヒト族が共存していた時代に、現生人類の祖先がネアンデルタール人だけではなくデニソワ人とも交雑していたことが明らかになった。

 同氏は現在、ドイツのライプツィヒにあるマックス・プランク進化人類学研究所に在籍しているほか、沖縄科学技術大学院大学の客員教授を務めている。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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