タフ・マダー15Kのコースには、「Mud Mile(泥だらけのトラックロード)」「Lumberjacked(丸太ハードル走)」「Electric Eel(電気ショック付きのほふく前進レース)」「Arctic Enema(氷水レース)」「Ladder to Hell(地獄へのはしご)」など、30種類の障害物が設置されている。参加者は泥だらけの水路、真っ暗な土管、氷水のプール、1万ボルトの電流、チームタスクなど、さまざまな困難に立ち向かう。簡単に言えば、肉体を痛めつけるレースだ。
レースの内容を具体的に紹介しよう。
レース名は「タフ・マダー15K」だが、筆者が装着していたApple Watch Ultraと「COROS VERTIX 2」の計測によれば、実際の距離は約13.68kmだった。コースには草原もあれば、木がうっそうと生い茂るエリアもある。どちらのスマートウォッチでもGPSのトラッキングはほぼ同じ値を示した。これはすごいことだ。Apple Watch Ultraの新機能に「Precision Start」というものがあり、カウントダウンをしなくてもGPSが修正されていることを確認できる。シンプルだが、他のモデルにもぜひ採用してほしい優れた機能だ。
ホワイトオーシャンバンドは着け心地がよく、柔軟性に優れているため、クライミング中に締め付けや違和感を覚えることはなかった。しかも、岩の角やとがった部分とこすれても、目に見えるレベルの傷はつかない。
一部の障害物は、岩の上や泥の中、水たまりをはいつくばって進まなければならない。涙が出るほど強烈なメンソールの蒸気が吹き出す障害物もあった。岩や土でApple Watch Ultraは傷だらけになるだろうと覚悟していたが、レース後に確認してもディスプレイや側面には傷が見当たらず、前面の一角にごく小さな傷が2つほどできていただけだった。
水(氷水を含む)使った障害物でも、Apple Watch Ultraのセルフクリーニング機能は完璧に動作した。Digital Crownを長押しするとスピーカーが鳴り、振動することでApple Watch Ultraに入り込んだ水を振り払う。
障害物に使われる水はたいてい染色されているので、潜るとほとんど何も見えない。そのため、水深に関する機能は試せなかった(見えなかった)。ある障害物に挑んだ時は、頭に着けていたGoProカメラが外れて水中に落ちてしまい、目をつぶったまま30秒以上水中を探ってようやく見つけることができた。幸い、Apple Watch UltraもGoProもそのまま問題なく使うことができた。
ウォールクライミングと同様に、うんてい形式の障害物でも、最初はさまざまな形のバーをつかんでスイングする際に時計が手首に当たるのではないかと心配だった。一般的に、大ぶりの時計は手の角度によってパーツが皮膚に食い込むことがある。レース中は何度も落下したが、原因は時計よりも、筆者の筋力や握力にあった。
1万ボルトの電流が流れるケーブルが垂れ下がる中、水たまりをほふく前進で進むのは、楽しい水遊びとは言えない。筆者も何度かケーブルに触れ、電気ショックを受けてしまったが、ありがたいことにApple Watch Ultraは影響を受けず、運動中の心拍数を記録し続けた。公表されていないが、何らかの耐衝撃性能を備えているのかもしれない。
Apple Watch Ultraはレースの最後まで心拍数の記録を続けた。COROS VERTIX 2のデータと比較すると、1分間の心拍数(BPM)はApple Watch Ultraの方が平均3〜5回多かった。胸部に着けるタイプのモニターは持っていないので比較できないが、タフ・マダーでも心拍を安定して測定できたことを考えると、もっと負荷の小さい環境なら確実に機能するはずだ。
レースを完走する頃にはホワイトオーシャンバンドには泥がこびりつき、バンドの穴にたまった汚れをかき出さなければならなかった。しかし総じて、このバンドは予想をはるかに超える働きをしてくれた。筆者はダイビングをしないが、実際に使ってみて、次もオーシャンバンドを注文したいという気分になっている。
筆者の元にApple Watch Ultraが届いたのはタフ・マダーの前日だった。慌ててセットアップを済ませ、当日の朝は充電が100%の状態で出発した。会場までは車で約30分だ。レースが始まる45分ほど前に着いたので、その間に駐車とチェックイン、ストレッチ、チームとの打ち合わせを済ませた。
レース中はGPSを有効にし、家族との連絡用にT-Mobileの電波も常時アクティブにしておいた。さらにバックグラウンドで心拍数のモニタリングも実行した。
2時間40分後、Apple Watch Ultraのバッテリーは76%になっていた。1時間当たり、約9%のバッテリーを消費した計算だ。かなりのハイペースである。ジャーナリストのRay Maker氏のレビューによると、一般的なスマートフォンでは1時間当たり4~6%ほどバッテリーが減るという。今回はセルラー通信を常にアクティブにしていたことが、バッテリー消費量の増加につながったことは間違いない。それでもApple Watch Ultraのバッテリーがこれほど長く持つとは思っていなかったので、正直なところ驚いている。
Apple Watch Ultraは発売されたばかりなので、バッテリー駆動時間を厳密に評価することはまだ難しい。ただGPSスポーツウォッチの方が長持ちすることは間違いないだろう。今回のレースでは、比較のためにApple Watch Ultraと反対側の手首にCOROS VERTIX 2を装着し、並行して計測を実施した。その結果、同じ2時間40分後でもCOROS VERTIX 2のバッテリーは5%しか減っていなかった。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境