充電ポートのないiPhoneに関する最大の論点は、ワイヤレス充電器は有線充電器ほど高速で充電できないということだ。標準のQiワイヤレス充電器は、iPhoneを7.5Wで充電するが、MagSafeコネクターでは最大15Wでの充電が可能だ。iPhone 8以降のモデルでは高速充電に対応しており、30分でバッテリーを50%充電できる。ただし、そのためには、高速充電に対応している20Wの電源アダプターに有線接続しなければならない。確かにワイヤレス充電は改善されているが、OnePlusなどのAndroidデバイスが提供する充電速度より遅い。
Appleが充電ポートのないiPhoneを発売するとしたら、ワイヤレス充電器を持っていないユーザーは別途充電器を購入する必要があるかもしれない。AppleはiPhone 12から、電源アダプターの同梱をやめ、Lightningケーブルだけを提供している。MagSafe充電器の価格は39ドル(日本では税込6180円)だが、MagSafe認証を得ているサードパーティーの充電器もある。ただし、最速の充電速度を得るには、20WのUSB Type-C電源アダプターも必要になるだろう(Appleによると、供給電力は電源アダプターの消費電力やシステムの状態によって異なるという)。
こうした問題はあるが、スマートフォンのワイヤレス充電は広く普及している。5年前に比べればワイヤレス充電器が安くなってきていることも、完全ワイヤレスiPhoneの可能性を高めている。例えば、サードパーティー製のワイヤレス充電器は、Amazonで20ドル(約3000円)未満のものを見つけられる。
だが、Loup Venturesのマネージングパートナーを務めるGene Munster氏は、スマートフォンをケーブルを使わずに充電するには、より大きな改善が必要だと考えている。同氏は、スマートフォンを充電台に接触させずに、完全にワイヤレスで充電できる未来を構想している。
Munster氏は、Loup Venturesがこうした技術に取り組む複数の企業と会ったが、関連技術はまだ初期段階にあると語った。また、Appleは、Wi-Fi経由でiPhoneを充電する技術とみられる特許も出願している。ワシントンに拠点を置くテクノロジー企業のOssiaも、RFアンテナ技術を採用してリモートで電子機器に電力を供給できるとされる充電システムを開発している。
Munster氏は以前のインタビューで「スマートフォンの充電を考える必要がなくなるというゴールを想像してみてほしい」と語った。
Appleが真のワイヤレス充電を目指しているとすると、それがすぐにiPhoneで使えるようになることはないだろう。BloombergとKuo氏が最近、Lightningポートの代替として最も可能性が高いのはUSB Type-Cだと指摘していることを考えると、Appleが完全ワイヤレスiPhoneをリリースするかどうかもあやふやだ。
Appleはまた、最近の「MacBook Pro」で、ポートを減らすというスタンスから後退したようだ。2021年に発売されたMacBook ProにはSDカードスロットとHDMIポートが付いており、ここ数年のMacBookシリーズよりポートの数が増えた(より新しい13インチのM2搭載MacBook Proには2つのThunderbolt/USBポートしかないが)。
とはいえ、ケーブル不要のiPhoneというアイデアは、Appleが2016年から掲げるビジョンに一致する。ヘッドホンジャックのないiPhone 7のデザインについて当時のAppleの最高デザイン責任者、Jony Ive氏が語ったように、同社は「常に簡素化と改善にこだわり続けている」。充電ポートのないiPhoneが実現されれば、まさにこの言葉を体現するものになる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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