安全性も大きなメリットです。ロボットは、人間では不可能な場所や危険すぎる場所でも作業することが可能です。高所や高温の表面(最高で華氏240度、摂氏115.6度)の近く、危険な化学物質にさらされるおそれのある狭い空間で人間の検査官が作業する必要性を減らしたり、排除したりできます。さらに、ロボットのおかげでこれまでよりも高品質で豊富なデータを大量に手に入れられるため、人間の検査官も自分だけの付加価値に集中できるようなり、彼らの価値向上にもつながります。
ロボットによる検査は、壊滅的な事故であれ、日常的な漏れや汚染であれ、環境の損傷に対する重要な安全対策です。
--なんとも頼もしいですね。ロボットは具体的にどのように機能するのでしょうか。どのようなユースケースがあるのでしょうか。
Loosararian氏:当社のロボットは、超音波トランスデューサー、位置特定センサー、レーザー、HDカメラを搭載しています。表面に磁力で接着して、縦や横に這っていき、タンクやボイラー、管、圧力容器、温浸器、水力発電設備、ダム、船舶などの資産を検査して、厚みの変化や亀裂、腐食、膨れなどの劣化がないか確認します。当社のロボットは、遠隔操作が可能で、「Rapid Ultrasonic Gridding(高速超音波グリッディング)」「Rapid Automated Ultrasonic Testing(高速自動超音波テスト)」「Phased Array Ultrasonic Testing(フェーズドアレイ超音波テスト)」、われわれの最新の開発成果である「Trilateral Phased Array(3極フェーズドアレイ)」など、複数の種類の超音波非破壊試験技術を使用しています。取得するデータの規模や精度もこれまでに前例がなく、当社のデータシステムとソフトウェアを利用することで、人間の専門家はその情報を参考にして、運用や戦略に関する重要な決定を下すことができます。ユースケースに関しては、当社では現在、電力、石油およびガス、化学薬品、パルプおよび製紙、重工業、貯水、輸送、防衛などの重要な産業に焦点を当てています。
--最近、検査用ドローンについても耳にする機会が増えました。検査用ドローンをライバルだとお考えですか。もしそうなら、壁を這うロボットがドローンよりも優れているのは、どのような点ですか。
Loosararian氏:それら2つのテクノロジーは得意分野が異なり、それぞれの得意分野で使われることが多いので、同じ土俵で比べることはできません。われわれのユースケースに関して言えば、壁を這うロボットには、ドローンよりも明確に優れている点がいくつかあります。ロボットはドローンよりもはるかに強力な超音波探傷(UT)データ収集機能を備えているため、高度なモデルに利用される信頼性の高いデータを大きな規模で収集するのにより適しています。一方、ドローンは一般に視認できるものに使用されます。ロボットは100個以上のトランスデューサーを搭載できるので、金属の厚みや腐食、亀裂に関するデータを収集するのに最適です。ロボットは大量のグラウンドトゥルースデータも収集します。ドローンは画像のキャプチャーに最適で、便利ですが、目に見えない世界で起きていることは分かりません。ロボットとドローンは、2つの異なるツールであり、複雑さのレベルもそれぞれ違います。溶接トーチとネジ回しのようなものです(詳しく知りたい人は、壁を這うロボットとドローンを比較したGecko Roboticsの2021年12月のブログ投稿を参照してほしい)。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
Copilot + PCならではのAI機能にくわえ
HP独自のAI機能がPCに変革をもたらす
ドコモビジネス×海外発スタートアップ
共創で生まれた“使える”人流解析とは
働くあなたの心身コンディションを見守る
最新スマートウオッチが整える日常へ