Magic Leap 2は、筆者が4年近く前に試した初代機よりも格段に小さく、HoloLens 2よりもコンパクトになった。しかし、かさばるプロセッサーユニットをズボンのポケットに取り付けなければならない点は変わらない。Johnson氏は、AMDの新しいプロセッサーは、現時点ではスタンドアロン型VR・AR機器のほとんどに搭載されているQualcommの「Snapdragon XR2」(スマートフォンに採用されるプロセッサーをベースに開発されたプロセッサー)よりも、「目のためのPC」に近いという。しかし、いくつかのデモを見ただけでは性能は判断できない。
Magic Leap 2は頭にフィットするように少し伸縮し、ヘッドバンドのように頭部に巻き付く。今回も円形のレンズが採用されており、さらにマスクもつけると、相変わらずスチームパンクに登場するイカれた宇宙飛行士のように見える。
視線や手の動きをトラッキングする機能も向上しているが、実際に試すことはできなかった。その代わり、今回のデモではポインター機能を備えた新型コントローラーを試した。初代Magic Leapと同様に、このコントローラーも片手で操作でき、タッチパッドとトリガー、そして振動フィードバックが備わっている。手の動きを追跡できる高度なVRコントローラーというより、シンプルなマウスの使用感に近い。初代の磁気式ではなく、コントローラー自体にトラッキング用カメラを搭載することで安定した計測が可能になった。
ヒップパック、グラス、ポインターも含めて総合的に考えると、Magic Leap 2が提供する体験は初代のMagic Leapと似てはいるが、より優れていると言えそうだ。ただし、手や視線の動きのトラッキングについては、信頼性に疑問が残る。Johnson氏も、トラッキングの精度がポインターに劣ることは認めている。
価格は、2300ドル(約28万円)もした初代のMagic Leapよりも、さらに高くなる見込みだ。
ほかの多くの企業と同様、ARグラスの最適解を見つけようとしている企業にとって、Magic Leap 2は小さいながらも重要な一歩であると筆者は感じた。ARグラスの最適解は、まだ誰も発見していない。MetaやSnap、Microsoft、Qualcomm、Niantic、Apple、Google、サムスンなど、多くの企業がこの分野に進出する準備を進めているようだ。しかし、VRヘッドセットが実際に日常的な製品になった一方で、ARグラスはまだそうなっていない。
Johnson氏の考えでは、Magic Leap 2がターゲットとしている業界は製造や医療、防衛などで、ほかの製品に比べるとはるかに狭いが、これは最終的にヘッドセットの小型化と軽量化を実現して、プロセッサーが格納された大きなヒップパックが不要になるまで成り行きを見守るための手段だという。「将来のある時点で、消費者向け市場に戻ってくるとは思うが、それは、デバイスの完全な統合化が進んで軽量になり、視野角の拡大に成功してからのことだ」
ほかの企業はARグラスの最適解を見つける取り組みを少しずつ進めており、MicrosoftはHoloLens 2から離れて、スマートフォンに接続するデバイスに移行しようとしているようだ。そうした中で、Magic Leapのテクノロジーは先進的だという印象を与えることができるのだろうか。それとも、完全に孤立してしまうのだろうか。
ただし、Magic Leapは今回、独自のアプリもOSも開発していない。ヘッドセットのソフトウェアは「Android」である。同社は、開発者が初代Magic LeapよりもMagic Leap 2向けに開発する方が簡単だと感じてくれることを期待しているようだ。「重要なのは、単にハードウェアを発売することではなく、そのハードウェアを中心とするエコシステム全体だ」とJohnson氏。「率直に言って、われわれは初代Magic Leapで、それをもっとうまくやれたはずだ」。Magic Leap 2はスマートフォンと連携し、少なくとも3Dモデルをほかの共同作業者と共有することが可能になる、とJohnson氏は約束している(「Unity」の対応により、3Dモデルを簡単にインポートすることが可能になる)。
詳しいことはMagic Leap 2が発売されれば明らかになるが、このヘッドセットの調光モードなどのアイデアは、ARグラスのデザインの変化の始まりのように思える。Magic Leap 2のハードウェアが前モデルよりも優れていることは明白であり、筆者が今まで見た中で最高かもしれない。同様に、ソフトウェアと同社も成功を収められるのだろうか。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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