LINEを通じて作物買取--フードロス解消に向けたリデンの取り組み - (page 2)

既存事業者との細やかな協議と地道な活動で事業を推進中

 agmiruによる買取の導入は、全国で導入検討が進んでいる。たとえば、宮城県では農家からいったん通常どおり農協に納入してもらい、そこから買い取りの実行を進めており、沖縄では農家から作物を買い取り、直接加工業者や小売店などに販売を検討する等、地域の事情に応じた形で導入・実証実験を検討している。

宮城県と沖縄県では、スキームがやや異なる。こうした地域の事情に応じて仕組みを変えることも可能
宮城県と沖縄県では、スキームがやや異なる。こうした地域の事情に応じて仕組みを変えることも可能

 買取ではなく、人材マッチングにagmiruを活用検討している愛媛県の事例も紹介した。農家の方に必要な人材情報を入力してもらい、agmiruを通じて愛媛県の人材派遣会社に求人依頼を出す、というもの。季節によって繁忙の度合いが大きく異なる農業の人材確保を支援するプラットフォームとしての機能を提供する。

愛媛県では人材のマッチングとしての機能を提供中
愛媛県では人材のマッチングとしての機能を提供中

 agmiruでは農家や農協から作物を買い取ることになるため、ことによっては従来の流通経路にあった卸業者などと軋轢が生じることにもなりかねない。しかし、それらの事業者とは個別に「ルール設計を協議」し、販売価格から取り扱う作物、収穫物のDENBA+への輸送方法に至るまで、細かく取り決めていく予定としている。リデンのこうした細やかな視点による努力がagmiruの普及につながっていくだろう。

 現在のところユーザー数は約8500。日本全国を飛び回り、「足で稼いでいく地道な活動」を続けることで浸透を図ってきた。LINEという多くの人にとってなじみのあるツールを採用し、実証実験の段階から数百を超える農業従事者らの意見を積極的に取り入れ、実装する機能の優先順位をニーズに合わせて柔軟に変えてきたことで、ストレスなく使い続けてもらうという最大の障壁を乗り越えられた、と上原氏は振り返る。

 現在、DENBA+を活用した保管は葉物野菜を中心に検討しているが、果物など他の作物でもDENBA+が有効かどうかの検証を進めていこうとしている。DENBAは、すでに海外輸出用のコンテナとしての活用実績があり、今後agmiruにおいても海外事業者とのマッチングを通じて、DENBA+を利用した農作物の輸出も検討事項になるだろうという。

 日々の活動を登録していくことで、農作業の進捗や売上の状況など、当初の目標にどれだけ届いているか、届いていないかの判断も容易に可能になるのも、作業管理ツールであるagmiruの特徴の1つ。そうしたデータから農業従事者の方に「毎日の活動を変えてもらう」きっかけとして、あるいはその先にある農家の利益拡大に向けたツールとして、agmiruのさらなる普及を図っていく考えだ。

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