歴史を変えていたかもしれない--M・デル氏が明かしたS・ジョブズ氏との過去 - (page 2)

Connie Guglielmo (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2021年10月12日 07時30分

 このようにしてコンピューターに魅了されたことで、Dell氏の「Steve Jobs物語」が始まった。1979年、14歳だった同氏は両親にApple IIを買ってほしいとせがんだ。当時、Apple IIは1298ドルという高値だった、と同氏は述懐する。Apple IIの到着後、箱を開けると、美しいコンピューターが入っていたという。その後、すぐに本体を分解して、どのような仕組みになっているのかを確かめた。

 「あるものを理解するためには、それを分解しなければならないというのが私の信念だ」と語る同氏。「このマシンが機能する仕組みについて、あらゆることを理解したかった。当時のApple IIが素晴らしかったのは、それぞれのチップに明確な印が付いていて、それがどんなものなのか正確に理解できたことだ。それぞれのチップがどのように機能するのかを解説する書籍もあった。私はそうした情報をすべて吸収した」

 1980年春にJobs氏と出会ったこともあって、15歳のときには同氏のことを、コンピューターのパイオニアであるだけでなく、起業家でもあると考えるようになったとDell氏は話す。1980年春、当時25歳だったJobs氏は、Dell氏も所属していた、ヒューストンを拠点とするコンピューターユーザーグループの前で話をした。

 「集会で彼が部屋に入ってきたとき、まるで海が真っ二つに割れたかのように感じた」と、Dell氏は「Play Nice But Win」で述べている。「彼は、高尚な例えを使って語った。(中略)彼のパーソナルコンピューターを使えば、人々は想像を絶するようなことを成し遂げられる、などと話していた」

 それから5年を経て、大学寮の部屋で始めたPC事業が軌道に乗った後、Dell氏はJobs氏と交流し、同氏のことを友人と呼ぶ仲になった。

 話は1993年に飛ぶ。1985年にAppleの取締役会と対立して同社を追われたJobs氏は、NeXTという新会社を立ち上げ、独自のOSを備えた美しい(ただし高価な)ワークステーションや、ウェブベースのアプリケーションを構築するための「WebObjects」というソフトウェアを開発。Dell氏によると、Jobs氏はその年、テキサス州にあるDell氏の自宅を数回訪れ、DellのPCでNeXTのOSを採用してほしいと説得を試みたという。Jobs氏はNeXTのOSについて、Microsoftの「Windows」ソフトウェアよりも優れており、Sun Microsystemsが売り込もうとしていた「UNIX」ワークステーション市場を弱らせることができると主張したそうだ。Dell氏はJobs氏に対し、問題はNeXTのOS向けのアプリケーションがなく、顧客も全く関心を持っていないことだと伝えたという。

 それでも、Dell氏の会社はNeXTと少しばかり協業し、1990年代半ばにWebObjectsを使って最初のオンラインストアを構築した。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]