また、街ごとにMELONにサービスを実装していくには、サービス提供側のコスト効率が課題になる。これについても同社では、街ごとにサービスを1から作り込まずに済むように、プラットフォーム横断的なサービス実装を可能にするシステム構成に加え、いくつかの都市基盤も開発している。「共通認証基盤(Machi Pass)」のほか、「コンテンツ配信基盤」「エリアデータ基盤」「ポイント基盤」「位置情報基盤」などだ。
これらの都市基盤を用いることで、街の中のさまざまな情報の一元管理を可能にし、ユーザーの新たな体験を作ることができる。たとえばまちの中の「場所」の在庫を管理し、ユーザーからの予約もできるようにするスペースマッチングサービス、飲食店のメニュー・クーポン情報を管理し、注文・配送を行うデリバリー・テイクアウトサービス、都市のインフラ、位置情報、交通情報などをもとに、ロボットが商品の運搬などを可能にする次世代のロジスティクスサービスが考えられる。
これら都市基盤は、一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会、東京都、千代田区が公民連携で策定する「大手町・丸の内・有楽町地区スマートシティビジョン」にもとづくエリアマネジメント活動とも協調しながら、都市機能のアップデートにも貢献していく計画だ。
三菱地所としては、個人へのサービス利用に基づく課金、直接の個人接点を活かした企業の経営支援や分析データの提供などによって収益化することを目指している。が、春日氏は、MELONは三菱地所が個人を囲い込むためのものではないと話す。
プラットフォームをオープンにして事業者や行政に参加してもらい、あくまでも街全体としての利便性、価値を向上させていくための取り組みを促すもの、と同氏。外部のサービサーに顧客接点、ローカル基盤のデータを提供しながら、個人からの信頼に基づくデータが還流する状態を作ること「それこそが、街というプラットフォームの競争力につながる」と力を込める。
プラットフォームの普及と、それによるまちづくりを進めていくにあたっては、サービスとして「あるといいな、というより、ないと困るものを実装できるかどうかが大事」とも語った春日氏。個人への体験を提供するという領域、あるいはデータをさまざまな側面から分析するという領域において、あらゆる分野の企業とのつながりを深めながら展開していく計画だ。
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