Zoom不安には、ジェンダーの問題という面もあるようだ。1対1の会議でもグループ会議でも性別上の不均衡が見られることを、多くの研究が示している。一般に、男性が発言を増やすと評価が上がる傾向があり、女性は逆に評価が下がる傾向がある。また女性の方が、話を中断されたり、発言中に声を被せられたりする傾向がはるかに高い。こうした問題が、ビデオ会議になると悪化するとSander氏は話す。女性は意見を理解してもらう機会をつかむだけでも苦労しかねないのだ。
ビデオ会議のプラットフォームは、声が大きい人ほど有利になる傾向もある。その方が、声を拾われるからだ。2人が同時に発言してしまった気まずい瞬間に、タイムラグがあると、もう1人の人の話に戻るのも難しくなってしまうことがある。
話をするという要素以外にも、女性の多くがカメラの前ではストレスを感じることが多く、外見について申し訳ない気持ちになるという報告もある。自分の見かけや衣服について、男性は女性ほど気にとめない傾向にあり、これが端的に表れた事例がある。Zoom中継されたゴールデングローブ賞の授賞式で、女性候補者のほとんどがイブニングドレスを着て化粧もしっかりしていたのに対して、俳優のJason Sudeikisさんはパーカー姿で登場したのだ。
ジェンダースペクトラム上のさまざまな位置にいる、つまり男女という性別の二分法に収まらない人々にとって、在宅勤務では職業上の関係を築くチャンスが少なくなる恐れがある。コロナ禍が始まった時点で新たに職に就いた場合は特にそうだ。仕事ぶりが上司に伝わりにくいかもしれず、オフィス環境であれば自然に発生する、担当業務や抱えている問題についての何げない会話の機会も少なくなっていると、Sander氏は説明する。
「キャリアの発展という面でこれからどのような影響が生じるかは、今後も見守っていく必要がある。だが今のところ、人々の最大の関心は健康と安全、事業の継続と仕事の確保に向いている。それでも、意識していなければならない大きな問題があるはずだ」(Sander氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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