CNET Japan記者(33歳)が独断と偏見で選ぶ2020年ベストガジェット5選 - (page 3)

4.驚異的なコスパ「ThinkPad E495」

 実は、2020年に購入したPCはMacBook Pro 16インチとM1 MacBook Airだけではなかった。Ryzen 5 3500Uを搭載したレノボの「ThinkPad E495」も我が家にお招きした。理由は簡単、圧倒的なコストパフォーマンスに目がくらんでしまったからだ。

キャプション
「ThinkPad E495」

 Twitterを巡回していると、他媒体の記者がThinkPad E495についてツイートしているのが目に留まった。調べると、どうやらBTOのパーツ構成をより廉価なものにすることで、本体を安価に購入。あとからパーツを自前で交換することで、格安でスペックアップできるという話らしい。Lenovoの一部モデルのコストパフォーマンスが異常に高いという話は前からちょくちょく聞いていたものの、話題に上がっていたThinkPad E495は、今どきのノートPCとしては珍しく、メモリはDDR4の2スロット、ストレージはNVMeと2.5インチSATAが装着できる。

 詳しい手順は割愛するが、ポイント還元やキャンペーンを併用することで、実質2万円代後半で入手することができた。1.75kgと持ち運びには厳しい重さだが、14インチのIPS液晶(フルHD)、RAM 4GB、SSD 128GB、定評のあるThinkPadのキーボードを備えてこの価格は異次元である。交換用メモリは16GBのDDR4メモリを2枚、SSDは2.5インチの500GBを用意。結果、Ryzen 5 3500U、RAM 32GB、SSD 628GBの仕様で実質4.5万円ほどで済んでしまった。

キャプション
RAMは32GBに換装、SSDは2.5インチを追加

 肝心のスピードだが、4コア8スレッドのおかげか一般的なIntelマシンと同様、非常にサクサクで快適だ。RyzenマシンはE495が初で、AMDには一昔前のAPUのイメージが頭の隅に残っていたが、それと比べるとあっけないほど速い。GPUは、Radeon Vega 8が内蔵されており、VRAMはRAMから2GBが割り当てられる。解像度と設定によっては3Dゲームもプレイ可能で、「GTA V」の場合、1280×720ピクセルかつ設定を一部落とすことで快適にプレイできた。一方で、マイクロアーキテクチャが「Zen+」と古いためか、アドビ系のソフトとは相性があまり良くないようで、Photoshopの操作ですら若干のもたつきが見られた。この部分は、最新世代「Zen3」で改善されているポイントかもしれない。

 幸い、クリエイティブ系ツールはMacBook Pro 16インチに任せていたこともあり、快適なキーボードを持つE495は、仕事のサブマシンとして活躍してくれた。アンチグレアの液晶は、色域も狭くレタッチには向かないのだが、不思議と他のアンチグレア液晶と比べても目が疲れにくく、テキスト打ちには最高だった。また、インターフェイスはひと通り揃っており、3つのUSB 3.0ポートやHDMIポートのほか、ギガビット対応有線LANポートがあるのも地味に利便性が高い。

 一方で、不便なのが1ポートのみ用意されたUSB TypeCだ。ACポートとしても利用するため、Type Cの機器を接続したい場合は、バッテリー駆動させるか、機器側にUSB-PDの給電ポートを備えたものを利用する必要がある。さらに、HDMIポートはバージョンが1.4止まりで、4Kモニタと接続しても30pまでしか表示できない。4K/60pで映したい場合は、USB TypeCポートのDP Alt Modeで出力するしかないが、TypeCからDisplayPortに変換するケーブルを使うと、先述の通りAC給電する方法がなくなる。もし、4K/60p出力と給電を1ポートでまかないたいのであれば、別途USB TypeCハブを用意するしかない。Thunderbolt 3のドッキングステーションも利用できれば選択肢の幅が広がるのだが、あいにくThunderbolt 3には非対応だ。

キャプション
USB TypeCは1ポートのみ。HDMIポートはバージョン1.4で4K/60fps出力に対応しない

 そのほか、バッテリー駆動時のデフォルトのバックライト輝度が暗かったり(Radeon側の設定で解決)、液晶の下ベゼルが20年前のパソコンレベルに太かったりと、正直なところ細かい不満点はいくつかあるものの、「価格は正義」ということで、結果的には満足している。

5.動画カメラなのに意外とスチルもいける「VLOGCAM ZV-1」

 スマートフォンのカメラ性能の進化などで年々厳しくなるデジタルカメラ市場だが、2020年はYouTubeを中心に流行している「Vlog」にフォーカスした商品が各社から登場した年でもあった。その中でも、Vlogをど真ん中に見据えた商品がソニーの「VLOGCAM ZV-1」だ。

キャプション
カメラの上のウインドスクリーンがアイコンの「VLOGCAM ZV-1」

 手ブレ補正は、RX100VIIと比べてフルHD撮影時のブレ補正を強化。マイクも3指向性カプセルマイクや、風の強い屋外でもノイズを減らすウインドスクリーン、バリアングルタイプの液晶パネルを採用。また、三脚を内蔵したワイヤレスリモコンもオプションとして用意しており、片手で動画の録画開始・停止からズームまで操作可能と、Vlogユーザーに求められる動画機能を盛り込んだ。レンズは、RX100IVやVで採用された35mm換算24-70mm/F1.8-2.8。手ブレ補正の関係上大幅にクロップされるため、自撮りには広角側がやや足りなくなるものの、F1.8と明るいため暗いシーンでも意外と映してくれる。RX100シリーズの各アセットをベースに、手堅く動画機としてまとめた感じだ。

 実は、RX100シリーズはIVを所有している。同シリーズで初めて4K動画の撮影に対応したモデルではあるのだが、発熱が激しく長時間撮影には向かないほか、まだ像面位相差技術が実装されていないタイミングでもあり、より強力なAFを搭載したモデルの購入を検討していた。そんなときに登場したのが、ZV-1である。表向きはVlog向けカメラとして売り出していた商品ではあったものの、スチル機としても使えると判断し、購入を決意した。

 というのも、ZV-1にはRX100IIのみで搭載されていたホットシューを採用している。通常は、ウインドスクリーンを固定するためのスペースとして使われているのだが、ストロボを装着してスチル撮影に使うこともできる。また、マクロ撮影は若干苦手ではあるものの、ボケすぎない1インチセンサーのメリットを生かして、ブツ撮りなどでも使いやすいことから、メインで使用しているα7R IIIのサブカメラとしてピッタリだと考えた。残念ながら、コロナ禍で外出する機会は減ってしまったものの、机を真上から俯瞰して撮影するカメラとしても使っており、バリアングルモニターのおかげで構図の確認もしやすい。

キャプション
動画機なのにフラッシュが装着できるのはスチル用途で非常にありがたい
キャプション
外出できないときは俯瞰カメラとして

 こんな感じで、基本的には良いカメラなのだがいくつか気になるポイントもある。まず、手ブレ補正はフルHDでは強力なものの、4K動画では補正量がガクンと落ちてしまう。ジンバルなどに載せるのであれば問題ないのだが、ZV-1の手軽さが損なわれてしまう。基本的には、フルHDでの撮影がメインと考えるべきだろう。

 また、バッテリーはRX100シリーズと同じNP-BX1を採用しているのだが、動画機としてはいささか心もとない容量で、1時間弱で切れてしまう。MicroUSB端子から給電できるので、モバイルバッテリーなどで延命は可能だが、もう少し大容量のバッテリーを採用してくれると動画機としてはより使いやすいと感じる。そのほか、シューティンググリップキットの場合、グリップと予備のバッテリーが付属するのだが、グリップを付けた状態では電池蓋が干渉してしまい、バッテリーを交換するには一度グリップを外す必要がある。些細ではあるが、UXとしてはいささか疑問が残る。

キャプション
三脚穴が電池蓋真横に設置されているため、シューティンググリップを装着すると電池蓋が干渉する

 動画性能についても、スマートフォンの追い上げが凄まじく、iPhone 12 Pro/Pro MaxではHDR撮影に対応し、Pro Maxでは大型センサー&センサーシフト方式の手ブレ補正ユニットを採用するなど、カメラのアドバンテージを猛スピードで詰めてきている。手軽さも含めてスマートフォンは強力なライバルであり、RX100シリーズやVLOGCAMがどういった方向性で進化していくのか、いちユーザーとして今後のソニーに期待したいところだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]