CNET Japan記者(33歳)が独断と偏見で選ぶ2020年ベストガジェット5選 - (page 2)

2.VRの本命デバイス「Oculus Quest 2」

 コロナ禍で一気に加速した分野として、VR業界が筆頭に挙がるのではなかろうか。長らく、VR機器はパフォーマンスの高いPCと接続する必要があり、画質は圧倒的ながらも、気軽さや移動に制限があるなど普及するには障壁がある状態だった。PCが不要のスマートフォン合体タイプやスタンドアローンタイプでもいくつか登場していたが、高価であったり、パフォーマンスが低くて体験の質が低いなどの問題が存在していた。

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「Oculus Quest 2」

 そんな状況を変えたのが、Facebook傘下のOculusが2019年に発売した「Oculus Quest」だろう。スタンドアローンタイプでありながら、VR空間内を自由に移動できる6DoF表示に対応。SoCはハイエンドスマートフォンにも搭載されたSnapdragon 835を採用し、専用コントローラーも付属。さらに、より高品質なVR体験が得られるPC接続機能「Oculus Link」にも対応しつつ、税込4万9800円というプライスは業界内に激震が走った。「Oculus Quest 2」はその後継機にあたり、64GBモデルで税込3万7100円と、Questよりさらに1万円以上の値下げを実現した。

 Oculus Quest 2では、Snapdragon XR2という、VR/AR用のSoCを採用しており、Questと比べて2倍パフォーマンスが向上しているという。RAMもQuestの4GBから6GBに増量。パフォーマンスアップを図りつつ、ディスプレイも片目あたり1832×1920ピクセルのスクリーンで高解像度化されており、ドット感が改善されている。パネルはOLEDからLCDに変更されているものの、リフレッシュレートは72Hzから90Hzに向上(アップデートで対応)。使っている限り、LCD特有の残像感も感じられない。専用コントローラーも刷新し、大型化されて持ちやすくなっている。

 そんな、Oculus Quest 2で何をしているかといえば、いわゆる“音ゲー”の「Beat Saber」だ。ユーザーに向かってくるブロックを曲のリズムに合わせて“斬っていく”ゲームなのだが、一般的な音ゲーと違って3D空間内でブロックが自分に向かってくる迫力と、コントローラーを刀に見立てて実際に斬る動作が新鮮で、コロナ禍の運動不足と相まってドハマリしてしまった。難易度が上がるほど、譜面に置かれたブロックの数と位置がどんどん人間離れしてくるのだが、一体Camelliaさんの楽曲はどうやってクリアすればいいのだろうか……。

 発売当初、Facebook IDのBAN問題やエリートストラップの品質不良など、トラブルが相次いだものの、Quest 2のハードウェア自体に大きな不満はない(装着状態を監視するセンサーが誤検知していきなりブラックアウトする時はあるが……)。Oculus Linkにも引き続き対応しており、より高品質なVRコンテンツを体験できる間口も設けられている。12月28日に配信したShiftallの岩佐CEOとの年末対談でも、Oculus Quest 2の話題が多く上がったが、スマートフォンで言えば「iPhone 3GS」や「iPhone 4」に匹敵するような、スマートフォン人口を一気に増やしたデバイスを彷彿とさせると岩佐氏は語る。そんなQuest 2を使って、2021年はVRChatにも挑戦してみたいと思う。

3.ライブ配信に欠かせない存在となった「ATEM Mini」

 VR以外に2020年盛り上がりを見せたものといえば、ライブ配信も欠かせないだろう。コロナ禍で開催できなくなったリアルイベントの代替手段として、フェスやライブなどのエンタメから企業のセミナーに至るまで、さまざまな配信コンテンツが雨後の筍のように登場した。このトレンドは、企業やアーティストだけでなく、個人レベルにも波及。YouTube LiveやTwitchなどのプラットフォーマーに加え、「Pococha」や「17LIVE」といった各配信アプリに注目が集まるなど、動画コンテンツは活況の様相を呈している。

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「ATEM Mini」

 このトレンドに合わせるように、カメラやマイクなどライブ配信に欠かせない機材も売れに売れた。その中で、配信機材として独自のポジションを獲得したのが、BlackMagic Designの「ATEM Mini」だ。このアイテムは、4チャンネルまでのHDMIスイッチャーに加え、2チャンネルの音声入力に対応したミキサー機能、映像をPCに取り込めるUSBウェブカム出力機能を搭載したライブプロダクションスイッチャー。HDMIの映像をPCに取り込むデバイスはこれまでにも複数存在したが、4万円以下でオールインワンなスイッチャーはATEM Mini以外に見当たらず、コロナ禍によるライブ配信の需要増と発売のタイミングが重なったこともあり、品薄状態に。筆者も注文してから入手までに1カ月ほどを要した。

 操作は直感的で、各HDMIポートの数字と連動した大きな4つのボタンでHDMIの入力を切り替え可能。その際にトランジションなどのエフェクトを追加することもできる。筆者の場合、自宅では上半身を写す1カメと、机の上を俯瞰して撮影する2カメを接続しているが、例えばPCやゲーム機のHDMIポートと接続して、ピクチャー・イン・ピクチャー機能を使って、配信者の映像とゲーム画面を組み合わせて出力することも可能だ。なお、電源のオンオフボタンは存在せず、電源コードを抜かない限りLEDが明々と光るようになっており、寝室に置く際は注意が必要だ。眩しくて寝られない。

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電源スイッチがなく、電源をオフにしたければプラグを引っこ抜くしかない。さもなければ、明々とLEDが光り続ける

 ATEM Miniには、ATEM Mini Pro、ATEM Mini Pro ISOの3種類がラインアップされている。Proには、PCを介さずLANポートからそのままYouTube Liveなどに直接配信できるハードウェア配信エンジンのほか、1台のモニターで全カメラを確認できるマルチビュー機能を搭載。出力画面をUSB TypeCポートに接続したSSDなどに書き出すこともできる。Pro ISOは、さらにHDMI4ポート+出力画面の5ストリームを同時に記録可能。これは、カメラ側で映像を記録しなくても、ATEM Mini Pro ISO側ですべてのカメラ映像を記録できるため、もし30分の録画制限があるカメラでも、制限を超えて記録することができる。

 正直、ATEM Miniを購入した後、立て続けにPro、Pro ISOが発表されたときは心が折れかけたが、現時点ではスイッチャー付きHDMIキャプチャとしての使い方がメインなので、ATEM Miniで事足りていると言える。もし、より本格的なライブ配信を始めるのであれば、最上位のPro ISOを狙いたい。

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