グーグルの「内憂外患」は2021年も続く--労働問題と独禁法訴訟はまだこれから

Richard Nieva (CNET News) 翻訳校正: 編集部2021年01月02日 07時30分

 12月初旬のある日、Googleでは2つの論争が始まっていた。

 全米労働関係委員会(NLRB)は米国時間12月2日、Googleに対して告発状を提出した。同社が2019年、自社に対する抗議活動を組織した2人の従業員を解雇したという理由だ。同じ日の夜、著名なAI研究者が、GoogleのAIシステムを批判した研究論文を共同執筆したことを発端にGoogleが自分を突然解雇したとツイートした。この2つの事件は、Googleの従業員と元従業員を怒らせた。

2018年にGoogleの従業員が行った抗議デモ
2018年にGoogleの従業員が行った抗議デモ。
提供:James Martin/CNET

 これらの出来事は、Googleの2021年の前兆のようだ。既に一般社員との複数の争いで時間、リソース、公共からの信頼を犠牲にしている同社は、また新しい従業員問題に対処しなければならない。この活発な労働運動は、Googleが米司法省と複数の州からの独禁法訴訟に直面している居心地の悪い状況で発生した。

 バッファロー大学で労働と社会政策を研究するErin Hatton教授は「Googleが長期間深いレベルで社会に行使してきた支配と権力に対する懸念が高まっている。われわれは同社とその権力のダイナミクスについてあまり考えないが、それがついに表面化した」と語った。

 Googleにコメントを求めたが、返答は得られていない。

 Googleは2年前、IT企業における従業員活動の新記録を打ち立てた。2018年11月1日、世界中の2万人以上のGoogle従業員が、幹部のセクハラ行為をめぐる申し立てへの同社の対応に抗議するため、ストライキを決行した。この歴史的なデモは業界全体に影響を及ぼし、IT系労働者の力を示す代表的な例となった。AmazonやMicrosoftなど、他のIT大手の従業員も、国境監視や気候変動など、自社に影響する問題への注意喚起を目的に、それぞれの抗議運動を行った。

 だが、この派手な行動の後、Googleの活動家らは2020年中、ほとんど沈黙していた。Googleが2019年、反組合活動で知られるIRI Consultantsを雇ってから注意深くなった活動家もいると、ある従業員が私に語った。この従業員によると、新型コロナウイルスによるパンデミックで経済が落ち込み、仕事を失う可能性があることも、活動家を警戒させているという。

 だがこの沈黙は、Googleが活動家の従業員に報復したとしてNLRBが12月2日に同社に関する告発状を提出したことで破られた。告発状は、Googleが活動家の従業員を監視、尋問、解雇したことは米労働法に違反すると主張する。この告発状は、Googleが2019年、同社のIRI Consultants採用に対する反対運動を起こした従業員を解雇したことに端を発する。Gogoleは解雇の理由について、Googleのデータポリシー違反だと説明した。NLRBは、これらのポリシーの一部は違法だと主張している。

 ハーバード大学法科大学院のBen Sachs教授は、この告発状がGoogleの従業員に対し、抗議運動を組織しても従業員は法に守られるという明確なメッセージを送ったと語った。「いかなる企業も、Googleでさえも、法を超えることはできない」(Sachs教授)

 数時間後には、この告発状に関するものより大きな論争が始まった。米国太平洋時間の2日午後8時半ごろ、GoogleのEthical Artificial Intelligence(倫理的人工知能)チームの共同リーダーであるTimnit Gebru氏がTwitterで、Googleに解雇されたとツイートしたのだ。Googleの検索エンジンが採用するシステムを含む、AIのバイアスのリスクを指摘する研究論文が争点だった。著名研究者であり、AI分野で数少ない黒人女性研究者でもあるGebru氏はまた、Googleの多様性と公平性の取り組みを批判するメールを同社の従業員の一部に送っていた。

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