Facebookは偽情報をひたすら狩り続けた--試練の2020年を振り返る - (page 2)

Queenie Wong (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2020年12月17日 07時30分

オンラインのヘイトへの注目が高まる

 46歳の黒人男性George Floydさんが5月に警察の拘束下で死亡し、社会不安が広がったことを受けて、公民権団体や著名人、広告主、政治家がFacebookに対し、ヘイトスピーチ対策を強化するよう訴え続けた。

6月5日、Black Lives Matterの抗議活動でFloydさんの肖像を掲げる人々
6月5日、Black Lives Matterの抗議活動でFloydさんの肖像を掲げる人々
提供:Angela Weiss/Getty Images

 Floydさんの死に関する陰謀論や誤った情報が、Facebookグループなど非公開のオンラインスペースを含むソーシャルメディアで拡散した。名誉毀損防止同盟(ADL)や全米黒人地位向上協会(NAACP)、Color of Changeなどの公民権擁護団体は企業に対して、「ヘイトを止め」、7月中はFacebookでの広告を控えるよう呼び掛けた。アウトドア用ウェアを手がけるThe North Faceや消費財大手のUnilever、移動体通信大手のVerizonなどの主要ブランドがこの「Stop Hate For Profit」キャンペーンに参加した。

 Facebookは、特定のコンテンツを削除すべきかサイトに残すべきかについて、同社の判断とユーザーからの苦情を審査する独立委員会を立ち上げた。これに対し、Facebookを厳しく批判する人々が新組織「The Real Facebook Oversight Board」(真のFacebook監督委員会)を結成した。

 その一方で、Facebookは人工知能(AI)技術を改善したことを強調。第3四半期(7~9月期)にFacebookが削除したヘイトスピーチ投稿2210万件のうち、94.7%はユーザーから報告を受ける前に自動ツールによって検出されたとした。

 ヘイトコンテンツを見落としているとしてソーシャルメディアを批判する公民権擁護派にとって、こうした対策はどれも十分ではない。Facebookの従業員でさえ、自社が誤った判断を下すことが時々あったと考えている。Trump大統領の投稿が警察の残虐行為に抗議する人々への暴力を扇動するおそれがあったにもかかわらず、同社はこれを削除しなかった。これに対し、従業員らは珍しくオンラインでストライキを実行した。その後、ウィスコンシン州の抗議集会で射殺事件が発生したことを受けて、Facebookは武装集団Kenosha Guard(ケノーシャ自警団)が作成したコンテンツへの対応について厳しい追及を受けることになった。

大きな試練となった米国大統領選挙

 パンデミックで郵便投票が急増する中、FacebookなどのソーシャルネットワークはTrump大統領による多くの投稿も含め、不正投票に関する根拠のない主張に対処することになった。Facebookは通常、政治家の発言に介入しない姿勢をとり、それらをファクトチェックの対象外としてきたため、今回の一件で難しい立場に立たされることになった。それまでの同社の主張は、政治的な発言はすでに厳しく追及されており、国民は政治家の発言を閲覧できるべきだというものだった。

 だが、同社は米国の政治家による投稿の下にラベルを追加することを初めて決定し、ユーザーを投票情報センターに誘導するメッセージを表示した。同社がラベルを付けたのはTrump大統領の投稿で、民主党大統領候補のJoe Biden氏に勝利して再選を果たしたという誤った主張をしたもの。同社は政治広告も一時的に禁止した。

ラベル
Facebookは、選挙の当選者が確定する前に勝利を宣言する投稿にラベルを追加した
提供:Facebook

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