美食大国・日本に新たなイノベーションを--食品大手らが取り組む「Food Tech Studio - Bites!」 - (page 3)

パートナー企業のメッセージ

DXで“コト”作りを--不二製油グループ本社 代表取締役社長の清水洋史氏

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 私たちは1950年の創業から植物性にこだわった革新的な製品でお客様の困りごとを解消してきた。その象徴的なのが大豆であり、植物性の機能性油脂だ。ここ数年、地球の気候変動や人口増大に伴う将来の食糧危機や消費者のエシカルでサステナブルな思考から、動物性の食糧資源を見直す議論が世界中で加熱している。

 私たちは大豆が将来の地球を救うと本気で考えて研究を続けてきた。脱脂大豆から肉に代わる大豆ミートを作り、さらに豆乳からクリーム、チーズ、バターなどの乳製品に代わる食材を作り、大豆ルネッサンスとして展開した。植物原料だけで肉や乳製品と同等あるいはそれを超えるおいしいものを作れるところまできており、もう代替食品ではない。しかし単純に『おいしい』『肉・乳製品の代わりができた』で終わってはいけない。

 今まで食品メーカーは食品というものづくりを通じて、多くの人たちにリーズナブルで安定的に食品を供給することをビジネスにしてきた。これからはDX(デジタル・トランスフォーメーション)の進化にもよって、人々のウェルネスや健康という“コト”作りをし、一人ひとりにとって幸せに感じるもの、価値観に根ざしたものにしていく必要がある。Bites!に参画した狙いはまさにここにある。新たなフードテックを作り出しているスタートアップ企業と、私たちの技術を掛け合わせることで新しい食を生み出せることを確信している。

世界初のインスタントラーメン開発の感動と興奮を再び--日清食品ホールディングス 新規事業推進室長 吉田洋一氏

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 日清食品は、インスタントラーメンの製造過程で絶え間ない試行錯誤と改善を通してフードテクノロジーを磨いてきた。グローバルに食の価値が再定義される中で、新たなセンシング技術やデジタルデータが調理や喫食に活用されてるようになってきた今、私たちのコア技術と連携することで食のイノベーションが起こると考えている。

 私たちは2015年に『Beyond Instant Foods』をスローガンに掲げ、(2019年9月には)食文化のイノベーションを実現するために『Beyond Instant Foods Lab』を社内で立ち上げた。オープンイノベーションを通じて次々と新たな技術、考え方をスタートアップの皆様と模索していきたい。協業することによって、60年前にわれわれが世界初のインスタントラーメンを開発したときの感動と興奮を一緒に味わえたらと思う。

新規事業で共創を--伊藤園 新規事業推進部長 松本真澄氏

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 近年、消費者の食に関する価値観は多様化し、またライフスタイルの変化はコロナ禍の影響により大きく加速した。これからも弊社がお客様に寄り添った新しい商品やサービスを提供し、さらなる成長を遂げるためにはフードテックのスタートアップとの皆様との共創が重要だ。

 日本の総合飲料メーカーとして、われわれは多くのアセットを用意している。カテキンやテアニンなど、緑茶成分の健康への効能研究を長年続けてきた。日本の荒茶生産量の25%を取り扱い、5つの自社工場と50の協力工場で製造を行い、200の営業拠点と16万台の自販機で日本全国をくまなくカバーしている。

 世界から選び抜かれた優れたスタートアップの皆様は弊社のアセットをフルに活用していただき、スタートアップのみなさんが持つ最先端の技術が集い、アイデアがさらに生きるような新規事業を共創していきたい。想像もつかないような斬新なビジネスモデルや、市場のゲームチェンジャーになるかもしれないシードに出会うことをわれわれは大いに期待している。

一緒に食の未来への挑戦を--ユーハイム 新規事業部 部長 中村理氏

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 ユーハイムはこのフードテック元年にフードテックのあらゆる可能性を実験する『BAUMS HAUS』を立ち上げる。スタートアップ企業と名古屋周辺のものづくり企業とをマッチングできるように地元の金融機関や大企業とも連携している。BAUM HAUSを世界に羽ばたくフードテックベンチャーが生まれる場にしたい。そのために、スタートアップ企業のグロースからスケールまでのステージアップを支援する『フードテックイノベーションセンター』をスタートする。

 日本にはフードテック関連企業向けのグロースステージにおける支援が多いとは言えない。フードテック機器はまずB2B市場で活用されるべきものが多いにもかかわらず、単独での市場参入は難しいのが現状だ。こうしたスタートアップ企業を当社が得意とする菓子、飲食の市場においてパートナー企業とマッチングすることで、グロースからスケールへのステージアップを手伝う。フードテックイノベーションセンターのテーマは、みんなとつながりともに成長するというもの。ぜひ一緒に、食の未来に挑戦したい。

2021年3月4日に愛知・名古屋でのオープンを予定している「BAUM HAUS」のコンセプト。食の未来をテーマにした複合施設で、1Fにはスイーツ、デリ、ベーカリー、ポップアップスタンドを併設したフードホール「BAUM HAUS EAT」、2Fには会員制のシェアオフィス、ラウンジ、アバターロボットの常設スペースを備えた「BAUM HAUS WORK」を展開する
2021年3月4日に愛知・名古屋でのオープンを予定している「BAUM HAUS」のコンセプト。食の未来をテーマにした複合施設で、1Fにはスイーツ、デリ、ベーカリー、ポップアップスタンドを併設したフードホール「BAUM HAUS EAT」、2Fには会員制のシェアオフィス、ラウンジ、アバターロボットの常設スペースを備えた「BAUM HAUS WORK」を展開する
BAUM HAUS内に本部を持つ「フードテックイノベーションセンター」のコンセプト。ショウルームでは会員企業のフードテック機器やサービスを常時展示し、BAUM HAUSのポップアップやフードトラックを活用し、B2B市場への営業や販売代行を請け負うという。さらに1ランク上のサービスとして、国内外のトップパティシエなどとのコラボ企画や、フードテック機器のアップデートなどの開発支援も行う予定とのことだ
BAUM HAUS内に本部を持つ「フードテックイノベーションセンター」のコンセプト。ショウルームでは会員企業のフードテック機器やサービスを常時展示し、BAUM HAUSのポップアップやフードトラックを活用し、B2B市場への営業や販売代行を請け負うという。さらに1ランク上のサービスとして、国内外のトップパティシエなどとのコラボ企画や、フードテック機器のアップデートなどの開発支援も行う予定とのことだ

世界の食を通じた幸せの底上げに貢献したい--ニチレイ 取締役執行役員 川﨑順司氏

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 私たちはお客様の価値が多様化する中で、もっと一人ひとりのお客様のことを理解し、さらに食べることや調理することの楽しさを再発見してもらう機会を提供したいと考えてきた。そこで私たちがお客様一人ひとりを知り、つながり、サービスを直接提供するための手段としてのフードテックに注目してきた。

 一人ひとりのお客様の気持ちをより理解するツールとして、私たちにはこれまで取り組んできたおいしさ研究と、人の心を定量化するサイトメトリクス研究がある。こういった知見を活用して個人の好みを分析し、それぞれの好みに合ったレシピや情報提供を行う食嗜好分析システム『Conomeal(このみる)』を開発した。Bites!への参加を通じて内外の技術や知見を活用し、Conomealをよりよいものに仕上げていくのと同時に、私たちが培ってきた技術を広く活用していただき、世界の食を通じた幸せの底上げに貢献したい。

技術や新しいコンセプトを一緒に育てる場に--大塚ホールディングス 常務執行役員 徳元俊弘氏

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 大塚グループにとって、Bites!は大塚単独ではなしえない規模感や本気度が、オールジャパンの集まりにより大きく表現し、発信できるものと期待している。新たな人やスタートアップ企業と出会い、技術や新しいコンセプトを一緒に育てる場にしたい。それによって革新的な新商品の開発、既存ブランドの価値最大化、さらには開発のスタイルの変革にも結びつけたい。スタートアップ企業や人や技術を、既成概念を超えて、とがったものや考え方を紹介いただければ大変ありがたい。

 プログラムを主催するスクラムベンチャーズ ジェネラルパートナーの宮田拓弥氏もメッセージを寄せた。

 スクラムベンチャーズでは3年前からオープンイノベーションの盛り上がりを受け、エンタメ、家電、スポーツ、スマートシティといったさまざまなカテゴリーで日本の大企業とスタートアップ企業をつなげるスタジオ事業を展開している。日本でもスタートアップ業界は大いに盛り上がっているが、北米、欧州、アジア、中東、さまざまな地域でさまざまな技術やアイデアを持ったスタートアップがどんどん生まれている。Bites!でも日本の食産業を代表する魅力的なパートナーの皆さんと世界中のスタートアップをつなげることで革新的な製品、そしてサービスが生まれることを確信している。

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