全フロア5G対応--講談社とソフトバンクによる新世代のライブエンタメ施設が本格始動

 講談社が運営する「Mixalive TOKYO」(ミクサライブ東京)は、技術パートナーとして参画したソフトバンクとの協業により、リアル&リモートのライブエンターテインメントを発信する「ハイブリッドシアター」として本格始動を宣言。それにあわせて、8月21日に同施設内にて発表会を開催した。

「Mixalive TOKYO」外観
「Mixalive TOKYO」外観
発表会では、施設内の設備を活用したステージのデモも行われた
発表会では、施設内の設備を活用したステージのデモも行われた

 Mixalive TOKYOは、講談社、キングレコード、テレビ東京、ブシロード、シダックス、ネルケプランニングなどさまざまなエンターテインメント企業が協力し、ライブエンターテインメントを発信する、東京・東池袋にある複合施設ビル。当初3月にグランドオープンをする予定となっていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となっていた。一方で6月からはブシロードのオフィシャルショップ「Store Mixa」のプレオープンをはじめ、テレビ東京や講談社による無観客ライブの配信を開始するなど、施設の稼働も始めていた。

 ソフトバンクの参画により、全フロアに第5世代移動通信システム(5G)のネットワーク環境を構築し、映像配信設備の強化やVRカメラなどを設置。技術的なサポートに加え、5Gを活用したさまざまな近未来コンテンツの制作に協力するとともに、コンテンツ配信サービス「5G LAB」において、Mixalive TOKYOのさまざまなライブコンテンツを配信するとしている。

 発表会では、施設に関わる関係者が登壇。講談社 常務取締役の古川公平氏は、ソフトバンクとの協業について触れ、施設の企画当初から次世代のエンターテインメントや最新技術の活用、配信などについてソフトバンクと協議を重ねてきたという。一方、その時はまだあくまでもリアルでのライブを主体とした考え方でいたという。新型コロナの感染拡大によって見直しが迫られたなかで「我々が出した結論は、このピンチをチャンスに変えて、新世代のライブエンタメ施設を作り出すこと」となり、配信やVRカメラなどの設備強化を図ったとしている。と同時に、全フロアが5Gに対応したビルは、国内でも珍しいものとアピールした。

講談社 常務取締役の古川公平氏
講談社 常務取締役の古川公平氏

 施設のひとつで、2.5次元ミュージカルとよばれる、アニメやゲームをテーマにした舞台作品の上演を行う「シアターミクサ」の総合プロデューサーを務める、ネルケプランニング 代表取締役会長の松田誠氏も登壇。新型コロナの影響により、日本中の舞台公演が中止や延期に追い込まれていたが、業界全体による議論や取り組みによってガイドラインが策定され、感染予防対策ととったうえで、興行を再開するところも増えてきていると説明。もっとも客席が本来のキャパシティの50%に抑えた状態となっており「50%では、興行は成立しない」と課題を挙げる。

 そのうえで、「大きな頼みの綱は生配信」とも語る。東京の劇場へ足を運ぶことが難しい方や、作品を見たことがない方が視聴することで、興味を持ったり認知が高まるなど、新たな広がりが期待できるという。あわせて、「仮にこの先100%の状態で観客を入れられる状態になったとしても、あわせて配信を行っていくことはスタンダードになっていくのではないか。生で見る方と配信で見る方の両輪として動いていくと思っている」と語った。

 舞台の配信についても、今までは生で見たいけど見ることができないので、疑似的な体験を提供する“引き算”のものとしつつ、マルチアングルによって自分の好きな俳優をだけを見つづけられるといったことや、最前列の視点で鑑賞することもできるというような、最新技術を活用することで“足し算”や“掛け算”の体験が提供できるのではと、期待を寄せていた。

ネルケプランニング 代表取締役会長の松田誠氏
ネルケプランニング 代表取締役会長の松田誠氏

 ソフトバンク 常務執行役員の寺尾洋幸氏は、5Gの技術とXRの技術を組み合わせることによって、ただ単にライブや舞台などの様子を配信するというだけではなく、VRアイドルやキャラクターなどのステージで、視聴者とインタラクティブな体験をリモートでも提供し、距離感を縮めていく試みをしていくとした。

ソフトバンク 常務執行役員の寺尾洋幸氏
ソフトバンク 常務執行役員の寺尾洋幸氏
VRライブ配信プラットフォーム「VR SQUARE」に、「MixaChannel」(仮称)も開設する
VRライブ配信プラットフォーム「VR SQUARE」に、「MixaChannel」(仮称)も開設する

 この日は施設のデモンストレーションとなるステージも披露。使用されていたホールでは、ステージ前方に透明なスクリーンが設置されており、後方のスクリーンとともに奥行きのある映像演出が可能。声優の浪川大輔さんが朗読を行ったステージで、独特な世界観を映像演出とともに披露していた。

浪川大輔さん
浪川大輔さん
浪川さんが朗読を披露
浪川さんが朗読を披露

 そして、講談社が展開している3人組VRアイドルプロジェクト「Hop Step Sing!」をテーマにしたステージでは、メンバーの1人である箕輪みかさが、MCとリアルタイムでのトークを繰り広げたほか、3人が第1弾楽曲である「キセキ的Shining!」をうたうライブステージも実施。ここでは、5G対応スマートフォンを活用し、特定の場面で好きなメンバーをタップすると、一番タップされたメンバーの衣装が変わるという、XRライブにおけるインタラクティブなステージ要素のデモも披露した。

VRアイドル「Hop Step Sing!」の箕輪みかさが、リアルタイムでMCとトーク
VRアイドル「Hop Step Sing!」の箕輪みかさが、リアルタイムでMCとトーク
虹川仁衣菜(中央)と椎柴識理(右)とともに、3人でライブステージを披露
虹川仁衣菜(中央)と椎柴識理(右)とともに、3人でライブステージを披露
特定の場面で、好きなアイドルをタップすると……
特定の場面で、手元にある5G対応スマートフォンに表示された好きなアイドルをタップすると……
ステージ衣装が変化するという演出のデモも行われた
ステージ衣装が変化するという演出のデモも行われた
XRライブにおける、双方向インタララクション機能について
XRライブにおける、双方向インタララクション機能について

 なおソフトバンクでは、さまざまな最先端技術を体感できる技術展「ギジュツノチカラ」をオンライン上で開催する。当初Mixalive TOKYOにて公開する予定だったが、新型コロナウイルスの影響により一般開放は行われず、特設サイトから360度の視点で体験することができるバーチャル技術展として9月7日から公開する。

 ここでは5G LABのサービス紹介をはじめ、「6G」に向けた技術開発の取り組みや、無線基地局を搭載した無人飛行機を成層圏に飛ばすことで通信ネットワークを提供する「HAPS」なども紹介するという。

Mixalive TOKYO内に設けられた、技術展「ギジュツノチカラ」を関係者向けに公開。一般はオンラインでの公開となる
Mixalive TOKYO内に設けられた、技術展「ギジュツノチカラ」を関係者向けに公開。一般はオンラインでの公開となる
AR技術を活用し、好きなタレントをいろんな角度から見ることができたり、一緒に撮影ができる「AR SQUARE」のデモ
AR技術を活用し、好きなタレントをいろんな角度から見ることができたり、一緒に撮影ができる「AR SQUARE」のデモ
「HAPS」の説明とともに、そこで活用される飛行機のミニチュア模型も展示
「HAPS」の説明とともに、そこで活用される飛行機のミニチュア模型も展示
「6G」に向けた取り組み
「6G」に向けた取り組み

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