新型コロナウイルス関連

エストニア発のコロナ対策ハッカソン「Hach The Crisis」--世界各国にも波及 - (page 2)

世界へ連鎖を引き起こした「Hack The Crisis」

 ケルスティ・カリユライド大統領はその後も、他の国々にも独自のハッカソンを開催するよう呼びかけている。また、Hack the Crisisの主催者たちは、オンラインハッカソンを自国でも実施したいという国や地域に向けて、英語のガイドブックとSlackコミュニティを公開している。これにより、50以上のオンラインハッカソンがすでに開催されたり、これから開催される予定であり、10万人以上が参加しているという。

 その結果、より多くの技術的ソリューションが開発された。たとえば、ウイルスの拡散に関する最新のデータを表示する「Koroonakaart」のマップ。危機に関する情報源を提供するチャットボット「SUVE」。感染のリスクを評価する健康アンケート。ボランティアと医療を結びつけるプラットフォーム「VAAB」などだ。

「SUVE」
「SUVE」

 ドイツでは、3月末に「WirVsVirus」というオンラインハッカソンが開催され、約4万3000人もの人々が参加した。世界保健機関(WHO)もまた、MicrosoftやFacebook、Twitter、Slackなどの大手IT企業の支援のもと、オンラインハッカソンを開催している。

 Accelerate Estoniaも、Hack the Crisisの世界への影響力とその重要性から、4月9〜12日にかけて大規模オンラインハッカソン「The Global Hack」を開催した。この大規模オンラインハッカソンは、欧州委員会(EC)のサポートで開催され、98カ国から1万2000人以上が参加し、5000以上のアイデアが出されたようだ。オンラインハッカソンの参加者数は、通常のオフラインハッカソンの10倍以上だった、とHack the Crisisの主催者の1人であるカルム・キャメロン氏は言う。

オンラインハッカソンは新しいパートナーシップの形

 新型コロナウイルスの影響を受けて、変化する関係、新しい経済、貧しい医療、芸術の価値をどのように考え、アップデートするかを改めて検討する必要がある。また、効果的なソリューションを開発する必要もある。オンラインハッカソンは、公共と民間の間に、新しいネットワークとパートナーシップを形成し、並外れたイノベーションを生み出すことのできる1つの形である。

 現在、全世界が同じ問題に対して一緒に戦っている。もし、私たちがより迅速に、より効果的にともに動くことができれば、グローバルハックは差し迫った人々の不安や苦しみを和らげるだけでなく、より持続的な社会および経済的利益を生み出すことができるのではないだろうか。

齊藤大将

Estify Consultants OÜ 代表

エストニア・タリン在住。2016年にタリン工科大学物理学科入学。在学中にはエストニア小型人工衛星開発や修士研究に従事しつつ、コンサルティング会社を設立。現地ハッカソンでの受賞多数。2018年夏に同大学卒業後、エストニアでビジネスをする人のサポートを続けつつ、日本アニメなどのコンテンツ文化を広めるために、ベラルーシのコスプレイベントで審査員を務めたり、コンテンツ制作するなど、文化事業での活動を始める。国内外での登壇やワークショップなどの活動も精力的に行う、数々のスタートアップが熱視線を送る若者。タリン工科大学テニス夏大会で2度のチャンピオン。

Twitter @T_I_SHOW_global

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