この数年でスマートフォンの画面は次第に大きく、価格は高くなってきている。Appleは2014年、画面を大型化した4.7インチの「iPhone 6」を発売し、当時の上場企業で最大の四半期利益を計上した。そして一旦大型化の波に乗ると、決して振り返ることはなかった。
ただし、iPhone SEだけは例外だった。
2016年3月に発売されたこのローエンドモデルは、4インチ画面を備え、2013年の「iPhone 5S」に似ていた。小型の画面という点では同じだったが、仕様は違った。初代iPhone SEは当時の主力モデル「iPhone 6S」と同じ「A9」プロセッサー、および高性能なカメラとバッテリーを搭載していた。
iPhone SEは短期間のうちに、より低価格で小型ながらハイエンド並みの仕様を求める人々の人気を集めた。第2世代iPhone SEのうわさは毎年のように出回ったが、Appleがこの製品をアップデートすることはこれまでなかった。Appleは主力モデルについても、発売後何年にもわたり販売を続けている。2020年になっても、2017年発売の「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」を販売していた。両モデルはそれぞれ4.7インチと5.5インチの画面を搭載し、価格は449ドルと549ドルだ。
iPhoneの主力モデルのベース価格は1000ドル程度だが、人気が最も高いのはやや性能を抑えたモデルだ。6.1インチで699ドルからのiPhone 11は、2019年9月に発売されてから同社のベストセラーモデルとなった。iPhone 11は、3基のカメラを搭載する5.8インチのiPhone 11 Proや6.5インチのiPhone 11 Pro Maxとは異なり、デュアルカメラ仕様となっている。上位モデルは、OLEDディスプレイと高速充電機能も搭載している。
2020年のiPhone SEも、プロセッサーなど多くのハイエンド並みの仕様を備える。True Toneテクノロジーを採用した4.7インチのRetina HDディスプレイが「航空宇宙産業で使われているものと同じグレード」のアルミニウムおよびガラスを使った筐体に収められ、カラーはブラック、ホワイト、レッドの3色だ。最大水深1mで最大30分間というIP67等級の耐水性能と防塵性能も備えており、ストレージは64GB、128GB、256GBから選べる。
iPhone 11シリーズと比べて最も劣る点はカメラだろう。新型iPhone SEはf/1.8絞り値、1200万画素のシングルリアカメラを搭載し、ポートレートモードとスマートHDRに対応、高度なビデオ手ぶれ補正を採用している。これはiPhone 11(デュアルカメラ)やiPhone 11 Pro(トリプルカメラ)のメインカメラに似ている。
しかし多くの人にとって、1つのカメラとそれほど華やかではないスペックがあれば十分だ。スマートフォンに高いお金を払いたくない層であればなおさらだ。新型コロナウイルスによる経済的な影響で、このような人は以前より増えていることだろう。むしろ、こうした人々にとっては399ドルすら厳しく思えるかもしれない。
Creative StrategiesのアナリストであるCarolina Milanesi氏は、「このスマートフォンの恩恵を受ける人は、より大きな経済的逼迫を感じている人でもある」と述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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