ソフトバンク、「5G」は無制限プランを検討--OYOのトラブルや元社員逮捕にも言及

 ソフトバンクは2月7日、2020年3月期第3四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比4.7%増の3兆6180億円、営業利益は前年同期比9%増の7951億円と、全四半期に続いて増収増益の好調な決算となった。

 同日に実施された決算説明会で、同社の代表取締役社長執行役員 兼 CEOである宮内謙氏は、ヤフーを傘下に持つZホールディングスの連結化の影響を遡及しなかった場合、売上高は前年同期比30%増、営業利益は25%増になると説明した。

決算説明会に登壇するソフトバンクの宮内氏
決算説明会に登壇するソフトバンクの宮内氏

 すでに決算を発表しているヤフーも含め、すべての事業が好調に伸びていることから、宮内氏は2019年度の連結業績予想の上方修正を発表。売上高は当初予想より200億円増の4兆8200億円、営業利益は100億円増の9000億円にするとしている。

 一方で純利益は、ZホールディングスとLINEが2020年の経営統合を予定していることを受け、その法人税を第3四半期に計上することから据え置くとしている。

好調な業績を受け、通期の連結業績予想を上方修正。売上高と純利益をそれぞれ200億円、100億円上乗せした形となる
好調な業績を受け、通期の連結業績予想を上方修正。売上高と純利益をそれぞれ200億円、100億円上乗せした形となる

5Gのエリア拡大は4Gの周波数転用に期待

 宮内氏によると、好業績に影響を与えたのは通信事業の好調であるという。特にスマートフォンの契約数が好調で、「ソフトバンク」「ワイモバイル」「LINEモバイル」のすべてのブランドで伸び、累計契約数が2348万に達したほか、スマートフォン解約率も0.53%と過去最低を記録しており、それが売上増加につながっているとのことだ。

 同社が指標としている、前年同期末と比べたスマートフォン契約数の増加件数を示す「増加幅」も第3四半期で202万件に達しているとのことで、宮内氏は「(増加幅を)年間で200万伸ばしていこうと言っていたが、今期達成は間違いない」と自信を示した。

 一方で、2019年10月に電気通信事業法が改正されたことから、その前月となる9月に端末の駆け込み需要があって物販等の売上は落ちているが、その後回復基調にあるとのことで「一過性のものかなと思っている」と説明する。

モバイル、ブロードバンドの売上は好調だが、法改正前の駆け込み需要の反動で物販の売上は低下。だが現在は回復基調にあるという
モバイル、ブロードバンドの売上は好調だが、法改正前の駆け込み需要の反動で物販の売上は低下。だが現在は回復基調にあるという

 また、2020年3月の開始を予定している5Gの商用サービスに関して、宮内氏は「来月末からスタートする」と話し、3月末に開始することを明らかにした。当初はコンシューマー向けの販売に力を入れるとしており、それを見越してXRやクラウドゲームなどのサービス提供にも力を入れているという。

 料金に関しては「5G時代にはアンリミテッドの世界にならざるを得ないだろう」と答え、通信量無制限のプランを検討していることも明らかにした。

2024年に3Gのサービスを終了させる一方で、5Gのサービスは2020年3月末の開始を明らかに。料金プランは通信量無制限のものを検討しているようだ
2024年に3Gのサービスを終了させる一方で、5Gのサービスは2020年3月末の開始を明らかに。料金プランは通信量無制限のものを検討しているようだ

 そしてもう1つ、通信事業の好調を支えているのが法人事業だと宮内氏は話す。中でも伸びているのが、ソリューションなどの事業で、特にクラウド領域が1年で1.3倍に伸びていることが大きく影響しているという。

 一方で、デジタルマーケティング領域に関しても「キャッチアップしだしたばかりで、1.2倍に伸びているが今後倍々で伸びていくと思っている」と話し、2019年9月にARMや博報堂らと合弁で、データを活用したコンサルティングを手掛けるインキュデータを設立するなどして力を入れているとした。

法人事業はクラウドを中心としたソリューション事業が大きく伸びているとのこと。今後はデジタルマーケティング領域の伸びに期待を示している
法人事業はクラウドを中心としたソリューション事業が大きく伸びているとのこと。今後はデジタルマーケティング領域の伸びに期待を示している

 さらに今後、5Gの広まりとともに企業のデジタルトランスフォーメーションが加速し、IoT領域を中心として一層伸びていくと宮内氏は説明。さまざまな領域の社会課題解決に役立て、社会貢献を推し進めたいとしている。

 その5Gのエリア整備に関して、同社代表取締役副社長執行役員 兼 CTOの宮川潤一氏は、現在総務省で議論が進められている、4G向けの周波数帯を5Gに転用することで、5Gのエリア拡大を推し進めていく考えも明らかにしている。

 宮内氏によると「5G向けに割り当てられた周波数帯は衛星との干渉があり基地局展開が難しい帯域だった。屋内では大いに活用するが面展開は難しい」とのことで、4G向け帯域の転用によって2021年に人口カバー率90%は実現する計画だという。

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