CESでは、LOVOTに加えて、アニマトロニクスを利用するTombotの犬型ロボット「Jennie」も展示されていた。Jennieは認知症を抱える高齢者の相棒として設計されたが、Tombotは自閉症の子供を持つ保護者やPTSD患者からも注文を受けているという。
これらのロボットの中には、「BOMY」や「Loro」のように、複数の役割をこなすものもある。Robocareは「BOMY-1」と「BOMY-2」を展示していた。この2つのロボットは、脳の機能を向上させるための「個人的な認知トレーナー」と説明されている。毎日の在宅医療としてアラームと脳トレーニング機能を提供することにより、認知症の人々を支援することを目的としている。
BOMY-2と同じように、Loroにもユーザーの自立を補助する機能がある。Loroは車椅子やベッドサイドに取り付けることができ、アプリと連携可能で、ハンズフリー技術とアイトラッキング技術を備える。同社は、自分で自分の世話をできるということは、心の健康に極めて大きな好影響を及ぼすことがある、としている。
私たちは、もっとロボットがサービスのさまざまな面で組み込まれることを予想していたが、CESに出展した企業各社も、自社の最も役立つロボットを持ってくることを忘れなかった。2019年、パナソニックとトヨタは、2020年東京オリンピックで車椅子利用者を支援するロボット技術の開発に取り組んでいた。CES 2020では、このトレンドが今後も間違いなく続いていくことがよく分かった。
Delta Air Linesの基調講演で、同社の最高経営責任者(CEO)は、貨物搬送担当者の積み込み作業を支援する外骨格スーツ「Guardian XO」に言及した。Aitheonも倉庫で役に立ちそうなロボットアームを披露していた。規模は小さくなるが、Charminのロボットはユーザーのところまでトイレットペーパーを持って行くという単純な機能に特化している。
Pollen Roboticsの「Reachy」やUBTECHの「Cruzr」などのロボットは、顧客サービスの分野に簡単に応用できるかもしれない。これらのロボットには、斬新な側面がある。例えば、Cruzrはいくつかの巧みなダンスの動きをすることが可能で(ただし、よく見かけるあの「ロボットダンス」はCESでは見られなかった)、Reachyは三目並べで遊ぶことができる。ユーザーに楽しさや癒しを与えるこうした側面のおかげで、これらのロボットは、私たちの今の生活により簡単に溶け込むことができるだろう。
「CES 2020 Trends to Watch」プレゼンテーションで、Consumer Technology Associationのリサーチ担当ディレクターのLesley Rohrbaugh氏は、今ではあらゆるタスク用のロボットが存在する、と述べていた。しかし、ロボットが有用性を発揮できるかどうかは、人間とのやりとりにかかっている。したがって、これらのロボットに対する人々の対応だけでなく、できるだけ多くの人とやりとりさせるために、価格も考慮に入れることが重要だ。
ロボットの多くは、生活を快適にし、アクセシビリティーを高めることを目的としているが、価格設定は平均的な家庭向けではない。誰もが犬型ロボットのJennieに449ドル(約4万9000円)を払えるわけではないし、ましてや数千ドルもするLOVOTを気軽に購入できる人は、もっと少ないだろう。
デジタルアシスタントはすでに私たちの日常生活の一部となっており、このユニークな時代に、ロボットも勢いを増している。ロボットに「特徴のある性格」与えれば、短い間とはいえ、別の生き物ではなく機械とやりとりしているということを忘れてしまうことさえある。私たちが今いる状況(自動化を必要とすること、スマートフォンがないと不安に感じること、そしてソーシャルメディアの通知に対して至福とも言える反応をすること)を考えると、それほど努力してアピールしなくても、世界中の人々がロボットの虜になるだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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