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若手農家がプロに聞ける場を--農業プラットフォーム「アグミル」にコミュニティ機能

安蔵靖志 坂本純子 (編集部)2019年12月20日 07時00分
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 SBテクノロジー(旧:ソフトバンク・テクノロジー)とリデンが「農林水産省まるみえアグリ」プロジェクトの一環として2017年6月にサービスを開始したオープンイノベーション農業プラットフォーム「AGMIRU(アグミル)」は12月20日、「農家コミュニティ」を開始した。投稿内容はオープンで誰でも見られるが、投稿するためにはAGMIRUへの無料会員登録が必要になる。

 AGMIRUは約350を超える5種類(肥料、農薬、農業機械、飼料、種苗)の資材販売業者と農業者をマッチングする無料サービスとしてスタートしており、現在は5000人以上の農業者が利用している。

 コミュニティサービスを開始するに至った経緯について、SBテクノロジー 公共事業部 副事業部長でリデン 代表取締役の上原郁磨氏は「若手農家が“プロ農家”にノウハウを聞けるような環境が用意されていないことから、コミュニティの必要性を感じた」と説明した。

SBテクノロジー 公共事業部 副事業部長でリデン 代表取締役の上原郁磨氏
SBテクノロジー 公共事業部 副事業部長でリデン 代表取締役の上原郁磨氏

農業のノウハウを教え合うコミュニティサービスへ

 農家にとってノウハウは差別化要因であり、そう簡単に教えてくれるものではないのではないかと考えてしまうが、そうではないようだ。

 「さまざまな農家の方にヒアリングをしてみると話をしてくれる方が多く、もっとこうすべきだとか、この数値を見るべきなど、意外と何でもノウハウを話してくれる。でもなかなかそういう場がない。もちろんJAに聞いたり、援農指導者や地域の方に聞いたりするのもいいが、それだけでなく『より詳しい有識者に聞いてみたい』という一定のニーズもある。そこで全国的にコミュニケーションができる場を用意しようと思ったのが一つのきっかけだった」(上原氏)

コミュニティトップ。話題ごとにグループが分かれている
コミュニティトップ。話題ごとにグループが分かれている

 たとえば、災害対策などでは、地域を越えた協力が得られる可能性があるという。

 「先日、千葉で台風15号や19号による被害があった。一方で、九州地方などでは毎年のように台風が通過するため、常に対策をしている。もしもの時にどういう対策をすればよいか聞くことができれば、より被害を防げたかもしれない。そういった質問ができるような環境をつくりたいと考えた」(上原氏)

 代々農作物を育てている農家であっても、なかなか得られないのが試行錯誤による知見だ。

 「年に1回収穫する作物だと、20年やっても20回しか試せない。職人的な仕事をしていても、回数としてはそれほど多くはない。なので、より失敗しないようにするためには、人に聞いて同じ失敗を繰り返さないことが重要なのではないかと考える」(上原氏)

投稿画面。投稿には会員登録(無料)が必要になる
投稿画面。投稿には会員登録(無料)が必要になる

 もし、新たな手法を取り入れたくても、同じ地域で取り組んでいる人がいなければ教えを請うこともできないかもしれない。また、他の地域の情報も重要だ。

 「地域ごとに研究機関があるので、そこに相談しに行く人はいる。同じ地域であれば気候や土の性質などが似ているので、地域単位での研究結果は重要だが、他の地域ではどうなのかとかいう会話が今の環境ではなかなかできない。なので、地域をまたいだ情報交換の場が必要になる」(上原氏)

 多くの人が参加するSNSのFacebookでも、農業に関するグループは数多く作られている。数千人規模のものから、1万人近いグループまであり、活発に議論がなされている。なぜわざわざそれとは別にコミュニティを運営する必要があるのか。

 「Facebookでも、スマート農業でどういう取り組みをしているといった会話がなされているが、時系列で流れていくために情報が埋もれてしまい、検索性もあまりよくない。会話の場としてはいいが、より検索性をよくして、課題や話題のグループ分けをしやすくすることで、Facebookなどのコミュニティと使い分けてもらえればと思っている」(上原氏)

 土作りのノウハウや、資材周りの対応、災害対策、販路開拓、病虫害の状況など、さまざまなトピックスを用意。その中にユーザーがさまざまなスレッドを立ち上げて議論や質疑応答などができるような仕組みになっている。

 「すでにあるトピックスから選ぶだけでなく、トピックス自体をユーザーが作れるようにしているので、まずは会話を促していきたい。コミュニティ業界では、新米ママが先輩ママに子育てを相談するようなコミュニティが成功事例として存在する。農業界でも同様に、若手農家と先輩農家の間で相談できる環境はとても重要であり、成功要因が高いと考えている」(上原氏)。

 コミュニティを作る上で、どのようなデザインにするかも重要だ。

 「ちょっとした困りごとから病虫害のような致命的な困りごとまで、気軽に相談してみたいと思えるサービス。もう1つは先進事例を出してもらうなど、情報発信の場として使いたいと思えるサービス。『相談』と『情報発信』、おそらくこの2軸が中心になると思っている」(上原氏)

 数多くの農家へのヒアリングを経て、スタートに合わせてさまざまなトピックスを用意した。農業をする上で肝になる「土作り」に興味を持っている人が多く、ほか「販路」なども多くなるだろうと見る。

 「例えば『直接販売したい』とか『海外に出荷したい』といった声はよく聞く。海外志向の農家も多い。加工品にして海外進出しようとすれば、加工業者を知りたいという話も出てくるだろう。そのほかでは病虫害やスマート農業など、経営に直結する話題が中心になっていくかと思う。スマート農業では先進事例の話がなされると思うが、ドローンやセンサーの活用、自動で開閉するスマート水栓など、一部の話題が中心になると考えている」(上原氏)

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