成熟したiPhone、選ぶ基準はもはや「色」?--Apple製品の選び方2019

 CNET Japanで2019年も「Appleニュース一気読み」を毎週連載し、新製品をレビューしてきた松村太郎がお届けするApple製品の選び方ガイドシリーズ。

 2019年も残すところ少し。クリスマスに向けて、デジタル製品を手に入れようとされている方も多いのではないだろうか。そこでお届けするのが、今回の「Appleホリデーガイド2019」シリーズ。製品カテゴリごとの選び方をお届けする。

 第1回はiPhoneだ。

 2019年、iPhoneは大苦戦を強いられてきた。1月には2018年のホリデーシーズンのiPhone販売不振を理由に、利益が予測を大幅に下回ることを株主に通知する「利益警告」を出すに至った。結果的に2019年第1四半期決算におけるiPhoneの売上高は15%減に沈み、その後も2桁下落を継続することとなった。原因は、世界的なスマートフォン市場の飽和、中国での販売不振の2点が挙げられる。

iPhone 11かiPhone 11 Proシリーズか。2019年モデルのiPhone
iPhone 11かiPhone 11 Proシリーズか。2019年モデルのiPhone

 しかし2019年モデルのiPhone 11シリーズは、販売好調が伝わってきた。モデル構成は2018年を踏襲するものだったが、Appleがこだわるカメラ性能のアピールや、iPhone 7〜iPhone X世代の、最もボリュームに厚みのあるユーザー層の買い換えタイミングが訪れたことも、影響しているかもしれない。

2019年モデルのiPhone

 前述の通り、2019年モデルのiPhoneは2018年モデルの構成を踏襲する3モデル。iPhone 11シリーズについて、その特徴を説明しよう。

 ・iPhone 11:6.1インチ縁なし液晶「Liquid Retina」ディスプレイを採用するiPhone XR後継モデル。今回新たに超広角カメラを追加した2カメラモデルとなり、カラーリングもホワイト・ブラック・レッド・イエロー以外のパープル、グリーン、は新色が設定されており、イエローも含め、やや和の雰囲気を感じる淡い色合いとなった。

iPhone 11
iPhone 11

 ・iPhone 11 Pro / iPhone 11 Pro Max:iPhoneとして初めて設定された「Pro」モデル。5.8インチ/6.5インチ有機EL「Super Retina XDR」ディスプレイを搭載。これまで100万対1だったコントラスト比が200万対1となり、日光の下では800ニト、拡張ダイナミックレンジのコンテンツでは1200ニトの最大輝度を実現している。iPhone XSシリーズに続き、2倍の望遠カメラを備え、新たに追加された超広角カメラとともに3カメラシステムを構成。今回の新色として、ミッドナイトグリーンが追加された。

iPhone 11 Pro / iPhone 11 Pro Max
iPhone 11 Pro / iPhone 11 Pro Max

基本性能は共通

 2018年モデルでは、有機ELディスプレイを搭載するモデルをiPhone Xの後継モデルとしてiPhone XSとし、液晶ディスプレイ搭載モデルはiPhone XRとした。そのため、iPhone XRは廉価モデルとして位置づけられ、ハイエンドモデルであるiPhone XSが全体を牽引した。2019年モデルは液晶モデルをiPhone 11、有機ELモデルをiPhone 11 Proとし、標準モデルとプロモデル、というブランディングへ切り替えた。

 iPhone 11シリーズを通じて、グラフィックスと機械学習コアを強力にしたA13 Bionic、ギガビットクラスのLTE、新たなU1チップ搭載によってUWB(ウルトラワイドバンド)による正確な測距を用いたAirDropなどの通信機能の実現、そして広角カメラに加えて超広角カメラの搭載、インカメラが広角化され1200万画素に強化、という新しい要素が盛りこまれた。なお次世代通信規格5Gには、いずれのモデルも対応していない。

発表イベントでは、世界最速のSoCであるとアピールした
発表イベントでは、世界最速のSoCであるとアピールした

 カメラ機能については、新世代Smart HDRで、光の加減が難しい環境でも明暗ともに色鮮やかに撮影することができる。またiPhone 11では人物以外のポートレート撮影に対応したほか、iPhone 11 Proでは広角カメラを用いたポートレート撮影を新たにサポートした。写真・ビデオともに、撮影したフレームの外側を後から含める編集に対応するなど、カメラの進化は近年の中で最も大きな違いを感じることができる。文字通り、見違えるほどだ。

 これらの特徴はiPhone 11とiPhone 11 Proで共通となっており、iPhone 11でも、超広角カメラ、高速なプロセッサなどはProモデルと同様に利用できる。そのため2019年のiPhone体験をiPhone 11でも損なうことなく楽しめて、価格も日本国内で7万4800円(税別)からと手に取りやすくなった。

iPhone 11 Pro Max(左)とiPhone XS Max(右)のカメラ部分の比較
iPhone 11 Pro Max(左)とiPhone XS Max(右)のカメラ部分の比較

Proを選ぶ3つの理由

 iPhone 11では2019年のiPhoneの進化を十分に享受できる一方で、新たにブランディングされたProモデルを積極的に選ぶ理由は3点挙げられる。

【その1】ディスプレイ

 1つ目はディスプレイ。5.8インチ、6.5インチモデルともに、よりコントラスト比や最大輝度が強化された有機ELディスプレイを備えている。もちろんiPhone 11の液晶ディスプレイの画質に不満を感じる人は少ないだろうが、より明るく鮮明なディスプレイを手に入れたいという人は、iPhone 11 Proシリーズを選択することになる。

【その2】望遠カメラ

 Proの外見の違いはディスプレイ方式とそのサイズ、そしてカメラの数だ。iPhone 11には13mm超広角カメラ、26mm広角カメラが搭載され、iPhone 11 Proにはさらに52mm望遠カメラが備わる。この望遠カメラのレンズは明るくなり、暗い場所でのポートレート撮影の画質が大きく改善した。美しい背景ボケを生かした迫力ある人物写真の撮影や、単に望遠レンズを用いた食べ物や昆虫などのマクロ撮影など、筆者は個人的には望遠レンズを多用しているため、iPhone 11 Proの望遠レンズは必要だし、その進化のメリットは大きいと考える。

iPhone 11 Proのポートレートモードで撮影
iPhone 11 Proのポートレートモードで撮影

【その3】バッテリー

 3点目はバッテリーだ。もともとこれまで、iPhone XRはシリーズの中で最も長いバッテリー持続時間を備えていた。今回A13 Bionic搭載とバッテリーのわずかな拡大で、iPhone XRよりも1時間持続時間を延ばしたという。しかしiPhone 11 Proは厚みを増してまでバッテリー搭載量を増やし、iPhone 11 Pro MaxではiPhone XS Maxに比べて、実に5時間も延ばすことができた。

 結果として、iPhone 11 Pro Maxが最も長いバッテリーライフを実現しており、そこにこだわるなら6.5インチ有機ELモデルを選ぶことになる。

 ちなみに、ホリデーシーズンに向けて、AppleはiPhone 11シリーズ各モデル向けのSmart Battery Caseを発売した。いずれも、装着することで50%バッテリーライフを伸ばせる。

iPhone 11 Pro Smart Battery Case(ピンクサンド)1万4800円(税別)。iPhone 11用もiPhone 11  Pro Max用も価格は同じだ
iPhone 11 Pro Smart Battery Case(ピンクサンド)1万4800円(税別)。iPhone 11用もiPhone 11 Pro Max用も価格は同じだ

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]