リノべる、新築至上主義の日本で中古住宅に取り組む覚悟--リノベーションのすべてを引き受ける

 新築至上主義とされる日本の住宅市場で、2800戸超の中古住宅に新たな住人を迎え入れたのがリノべるだ。今の暮らしに合わなくなった間取りを見直し、最新の設備へとリノベーションする。請け負うのは、物件探しから設計、デザイン、施工、家具、スマートホーム提案、住宅ローンまでと、リノベーションにまつわるすべてだ。2010年の設立から9年、中古マンションにこだわり、オーダーメイド型のリノベーションで売上、施工数を伸ばしてきたリノべるは、今後の住宅市場をどう変えていくのか、代表取締役の山下智弘氏に聞いた。

リノべる 代表取締役の山下智弘氏
リノべる 代表取締役の山下智弘氏

物件は持たない、アマゾンを参考にしたリスクヘッジ

――設立から9年を経て、リノベーションという言葉も浸透してきました。周辺環境が変わったと感じる部分はありますか。

 リノベーションという言葉は認知されました。ただ、それが正しいかどうかはまだわからないと思っています。リフォームとの違いもあいまいですし、その部分は今後もしっかり訴えていきます。

 ただ、認知の広がりにより、リノべるのような新しい会社が、住宅、不動産業界で仕事がしやすくなったことは事実です。家を建てる、買うというとどうしても大手の住宅メーカーに人気が偏りがちですが、ウェブサイトやマーケティングの充実により、大きなコストをかけずに、多くの人にリノべるを知ってもらうことができています。そういった部分では商売は楽になったと感じています。

――リノベーションの普及とともに、競合の会社も増えてきました。

 リノベーションを手掛ける多くの企業とリノべるでは、決定的な違いがあります。それは、自ら物件を持たないこと。リノベーション会社の多くは、物件を買取、リノベーションして販売する買取再販という仕組みを採用していますが、リノべるは中古物件とそれを購入したい人をマッチングするプラットフォームサービスになっています。

 マンション1棟をまるごと買い取ってリノベーションすると、自由度も高く、今後の修繕計画なども見据えてマンションの資産化に取り組めますが、物件を手元に保有する分、リスクも高まります。

 そうしたリスクを抑えて事業を運営するため、プラットフォーマーの位置付けを変えるつもりはありません。私は以前ゼネコンで働いていました。デベロッパーの方の知り合いも多く、当時の携帯電話には500を下らない電話番号が登録されていた。しかしリーマンショックを機に連絡を取れない人が増えてきました。

 この業界は、景気に左右されやすい。そうした不景気の波が来た時に耐えられる会社にしたいと起業当時から考えていました。たくさんの物件を持つことは、その分リスクを抱えることでもあります。そうした波に飲み込まないためにも、今後も物件を持たないスタイルを貫きます。

――リスクを最小限に抑えることを第一にしているわけですね。

 このビジネスモデルはアマゾンを参考にしています。アマゾンの始まりは本の通販ですよね。なぜ本を選んだか。それは在庫リスクが少ないからです。その考えを不動産領域にも展開していきたいと考えました。

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