AIが人のパートナーとして共創する未来を--LINEが手掛ける新規事業「LINE BRAIN」 - (page 2)

 続いて登壇したLINE LINE BRAIN室 室長の砂金信一郎氏は、LINE BRAINのコアとなる戦略について、BtoBの先に立つ一般ユーザーまで見据えた目線「Life on LINE」、他社よりも優れたプロダクトを高い技術で高めていく「WOW Products」、LINEだけでは展開できない分野にパートナーと相互補完し参入する「With Partners」の3点を掲げた。

LINE LINE BRAIN室 室長の砂金信一郎氏
LINE LINE BRAIN室 室長の砂金信一郎氏

 そして、これらの戦略を実現するため、言語は日本語とアジア言語にフォーカス。アジア圏で欧米の企業よりも優位性があるものの構築を目指す。また、細かなニーズに対したチューニングや、LINEが展開する各種サービスを活かした学習データ獲得をフォーカスポイントに設定するという。

LINE BRAINの戦略
LINE BRAINの戦略
LINE BRAINのフォーカスポイント
LINE BRAINのフォーカスポイント

 砂金氏は、LINE BRAINの技術開発において協業するパートナーを紹介した。まずは、クラウド型のビジネス電話システムを提供しているDialpad Japan。同社は英語環境において、誰が何を言ったか、あるいは顧客の感情といった情報を認識し、顧客に対する対応のAIリコメンドプラットフォームを提供しているという。Dialpad Japan 代表取締役社長の安達天資氏は、「日本でも、われわれが持つ言語データを提供することで、高精度な音声認識をLINEと共に作り上げていきたい」と語った。

 また安達氏は、「ビジネスにおけるコミュニケーションは、現在でも電話などの声が主流で、7割を占めている」と説明。そのデータ化しづらい電話にAIを入れることで、営業成績優秀者が使う用語の分析や、顧客との通話における競合他社のトレンド遷移などをデータ化できるという。

 そして砂金氏は、「電話のデータを解析し、エンジンをチューニングしたものがDUETだ」と説明。音声をテキスト化してチャットボットに渡し、予約したいのかキャンセルしたいのか、といった傾向を判断し対応するという。また、例えばレストランの予約時には日付や時間、人数が必要といったように、求められるものをユーザーから聞き出すまで会話を続ける設計になっているという。

DUETの構成要素
DUETの構成要素

 また、AIアシスタント技術を活用した次世代型テレビの開発に向けた取り組みのパートナーとして、スカパーJSATを紹介。スカパーJSAT メディア事業部門 LIFEビジネスセンター 部長の美谷衛氏は、「インターネットやスマホといった技術革新があった中で、テレビだけはなかなか進化しておらず、これをなんとかしたいという思いがあった」と経緯を説明。「第二の創業として社会のライフスタイルを変えていきたいが、それを実現するためにはAIが必須だ」と、LINEと提携した理由を語った。

 さらに砂金氏は、LINE BRAINが提供するAI技術の活用例として、Gateboxを紹介した。同社は、キャラクターがホログラムとして現れるバーチャルホームロボット「Gatebox」を開発している。LINEは、同社に音声合成技術を提供。さらにプラットフォームを開放することで、Gateboxオリジナルのキャラクター以外にも、さまざまなキャラクターを使えるようになるという。

バーチャルホームロボット「Gatebox」
バーチャルホームロボット「Gatebox」

 LINE BRAINは今後、2019年第3四半期にソリューションの概念実証を開始。第4四半期にはクローズドな形での提供段階に入り、2020年にはSaaSとしての提供を開始するとしている。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]