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成熟したエンタメ市場は“コアファンの熱量”が成功の鍵--グリー「Fanbeats」の挑戦

佐藤和也 (編集部)2019年06月18日 12時07分
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 グリーが1月から運営を開始した、エンターテインメント領域に特化したファンコミュニティ・プラットフォーム「Fanbeats」。エンターテインメント領域において商業活動を行うクリエイター(企業・団体)と、その活動を応援したいファン、ファン同士をつなぐプラットフォームとして展開している。

「Fanbeats」
「Fanbeats」

 ファンであるユーザーは、アニメや漫画、ゲームなどエンターテインメントに関する好みのクリエイターを見つけてフォロー。クリエイターは、フォロワーに向けてニュースレターを無料で配信する事ができるほか、ECや購入型クラウドファンディングが行えるプロジェクト機能が利用でき、そこにはブログや掲示板などの機能も備わっている。さらに、2019年夏には、サブスクリプション(月額制)方式でファンに対して直接課金ができる機能の追加も予定。オープンなSNSを基盤として、そこで熱心なファンと密な関係を築き、より持続可能性の高いマーケティング活動を実現するとうたっている。

 クリエイター登録と、アカウント維持に必要な初期費用や月々の固定費を0円(無料)にしているのも特徴。外部企業との連携を通じて、プロジェクト特典の発送代行や電子チケットの発行など各種サービスを提供。ファンコミュニティの運営とオフライン連携をサポートし、マーケティングにおいて統合的に活用しやすい環境を整えているという。今後についてもコミュニティ機能を備えたイベントカレンダー、プロジェクトを通じてクリエイター企業同士のマッチングを実現する機能が計画されている。

 このプラットフォームを開発した背景には、成熟したスマートフォン向けゲーム市場におけるマーケティングの課題解決があったという。Fanbeatsの事業責任者であるグリーの福田智史氏と、クリエイターの獲得やプロジェクトのコンサルティングを担う市原楓氏に、開発の経緯や国内エンターテインメント業界における課題と、その解決にFanbeatsが担う役割などを聞いた。

 また、Fanbeatsのプロジェクト機能を活用したクラウドファンディングで、すでに2300万円以上を集め大型のプロジェクトとなっている「平山笑美オリジナルソロアルバムCD制作プロジェクト」を担当している運営スタッフにも同席いただき、実際に活用した立場での話もあわせて聞いた。

市原楓氏(左)、福田智史氏(右)
市原楓氏(左)、福田智史氏(右)

コアファンに情報が届かない--国内エンタメ市場の成熟で感じたマーケティング課題

 福田氏はグリー入社後、GREE Platform事業を担当したのち、Wright Flyer Studios(現在はWFS)でモバイルゲームのマーケティングを担当。Fanbeats立ち上げのきっかけは、2017年の夏ごろに感じたマーケティング効率の悪化と振り返る。

 「モバイルゲーム市場の成熟と合わせ、TwitterやYouTube、イベントなどを活用したコミュニティ・マーケティング手法が一般化しており、どの会社も同じようなことをやりだしていた。そういったことも背景に、明らかにマーケティング効率が悪くなってきた。一例として、Twitterのフォロワー数やリツイート数に対して、ゲームの直接的なKPIであるインストール数や継続率が相関せず、それが数字としてはっきりわかるようになった」(福田氏)

 特にTwitterにおいては、フォロワーを集めやすい、拡散しやすいという間口の広さは有用で使いやすいものの、1フォローの価値が相対的に落ちてきていることに加え、コアなファンへ大事な情報が届きづらくなっている状況を指摘。さらに、スマートフォン向けゲーム市場の成熟だけではなく、アニメや漫画、ライブエンターテインメントも含めた国内のエンターテインメント業界における、コンテンツの供給量と質も上がっている現状のなか、これまでのマーケティング手法ではさらに効率が悪くなると思い、コンテンツに対して熱心なコアファンに、的確に情報を届け続けられる新しいプラットフォームの必要性を感じたという。

 「コンテンツを提供する立場として、現状のTwitterなどのSNSでは間口が広過ぎるため、確実に情報を届け続けたいコアファンが識別しにくい。コアファンの定義はさまざまだが、一番わかりやすいと思うのは、コンテンツそのもののほか、グッズ販売や有料イベントなどのオフライン、クラウドファンディング、月額制ファンクラブなど “応援や共感 “でお金を払ってくれるファン。そういうコアファンに向けたマーケティングツールを、決済機能も含めて統合してプラットフォームとして提供し、コアファンを常に1カ所で集めて手元にプール。さらに、そのコアファンの熱量が自然に外にも拡散されるSNSを作る。それがFanbeatsの狙いであり役割」(福田氏)。

 例えとして、あるクリエイターが新作を販売する際、過去に開催したファンイベントに来場したファンは購入してくれる可能性が高いことは容易に想像できる。だが、マーケターが利用するサービスがいくつも存在していると顧客接点が分散してしまうだけでなく、顧客への継続的な販促手段がない場合も多い。結局、Twitterで告知して誘導を図っても、“知らなかった”ということが起きやすくなるなど、効率が悪い状態にあると指摘する。

 Fanbeatsでは、ECやクラウドファンディング、サブスクリプションと複数パターンの決済機能を搭載することで、コアファンを識別。ブログや掲示板、そして継続的に情報を届けられるニュースレター機能を載せるなど、一気通貫となる統合マーケティングツールを作ることにより、抱えていた成熟市場におけるマーケティング課題を解決する狙いがある。またコアファン側としても、現状ではクリエイターの公式サイトだけではなく、SNSもプラットフォームごとに公式アカウントがあり、グッズ販売はECサイト、イベントのチケットはチケットサイト、クラウドファンディングサイトと、クリエイターとの接点が分散している状況もあり、ユーザーメリットを提供できるとする。

集まった金額を表示するクラウドファンディングのほか、表示をせずにECやイベントのチケット販売のようなプロジェクトも行えるのも特徴
集まった金額を表示するクラウドファンディングのほか、表示をせずにECやイベントのチケット販売のようなプロジェクトも行えるのも特徴

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