ソニー吉田社長、「2年連続最高益達成の原動力はゲーム」--次世代ゲームコンソール紹介も

 ソニーは5月21日、代表執行役社長兼CEOの吉田憲一郎氏出席の下、2019年度経営方針説明会を開催した。2年連続で過去最高益を記録した2018年度を振り返るとともに、営業キャッシュフローや設備投資の増額など、中期経営計画の進捗についても発表した。

ソニー 代表執行役社長兼CEOの吉田憲一郎氏
ソニー 代表執行役社長兼CEOの吉田憲一郎氏

 今回の中期経営計画は「第3次中期経営計画」とされており、ソニー会長(6月で退任予定)の平井一夫氏が取り組んできた、2回に渡る中期経営計画との継続性があるとしている。

3年間累計営業キャッシュフローの推移
3年間累計営業キャッシュフローの推移

 2018年度の振り返りとしては、まず「2年連続の最高益を達成した原動力」(吉田氏)となったゲーム&ネットワークセグメント(G&NS)セグメントについて話した。「『PlayStation 4』のハードウェア累計販売台数は9680万台以上となっており、間もなく1億台という大きなマイルストーンに到達する。没入感を意味する『Immersive』と、いつでもどこでも切れ目なくゲームを楽しめる『Seamless』の2つのキーワードで今後の方向性を説明する」とした。

 Immersiveなゲーム体験として、次世代のコンソールについて言及。「コンソールはゲームの大切な軸。現在開発中の次世代コンソールでは描画スピードを飛躍的に向上させている」とし、「PS4 Pro」と次世代機の速度を比較したビデオを投映。「現在発売中のPS4はゲームキャラクターの移動速度に描画が追いつかなくなるため、移動速度に制限をかけているが、開発中の次世代機ではスピードの制約なく移動できるようになる。ユーザーは描画スピードの向上によって、ゲームに没入し続けられる」とした。

次世代コンソールと「PS Pro」のスピードを比較した動画を公開
次世代コンソールと「PS Pro」のスピードを比較した動画を公開

 一方、Seamlessについては、現在提供している、プレイステーションがゲームサーバーになり、ゲームの続きをPCやスマートフォンで楽しめる「PS4リモートプレイ」と「PlayStation Now」の2つのサービスを「プレイステーション・ストリーミング」として紹介。

 PS4リモートプレイは、最先端のストリーミング圧縮技術を投入し、低遅延かつ安定したサービスへと改善してきた取り組みや、iOS端末に対応したことなどについて話し、「次世代コンソールでもこの機能は受け継ぐ」とコメントした。

「PS4リモートプレイ」でiOS端末に対応
「PS4リモートプレイ」でiOS端末に対応

 合わせて、5月16日に発表したマイクロソフトとの協業についても言及。「幅広く、深く議論するために協業を結んだ。長い目でみるとクラウド化、ストリーミングの流れはくると思っている」と今後を見据える。

 このほか、音楽、映画のエンターテインメントセグメントについては「定額ストリーミングサービスの普及は、音楽、映像などエンターテインメントコンテンツの需要を増やしている。音楽、映画、テレビ、アニメなどのコンテンツ制作事業を持つ会社にとっては追い風」とし、コンテンツIPの強化を基本戦略に据える。

センサー需要は拡大、投資計画を増額

 4月1日に、イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)事業、ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)事業、モバイル・コミュニケーション(MC)事業を合わせ、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)事業へと体制を変更したエレクトロニクス事業については、「統合による事業の最適化、効率化を追求し、事業間の人材を流動化し、活性化する。今後もプロのクリエーターからユーザーまで愛されるブランドとして進化していく」と、その立ち位置を明確に示した。

 CMOSセンサーが好調に推移する半導体については、「半導体事業のほとんどをCMOSセンサーが占めている。その中でもカメラ機能が大半を占めているが、測距などのセンシングの市場も立ち上がり始めている。CMOSセンサーの売上の8割がスマートフォン向けで、市場は成熟しているが、多眼化、大判化によってセンサー需要は拡大している」と現状を説明。1兆円としていた2020年度までの3年間の設備投資を1.1~1.2兆円へと増やす計画も明らかにし、「今後数年は増産投資が必要と考えている」とした。

 さらに「積層センサーにAI機能を埋め込み、センサー自体をインテリジェント化したいと考えている。AI領域は他社とのアライアンスを推進したい。マイクロソフトとの協業もこの一環である」とし、AI領域への取り組みについても話した。

 吉田氏は、社長に就任してから1年を振り返り「最も重要だったのは、Purpose(存在意義)の定義。この会社を長期的に持続可能にする存在意義とは何かを明確に定義し、共有したいと思っている」とコメント。また、過去最高の業績を2年連続で継続したことについては「過去の蓄積からきているもの。PlayStation Networkのスタートは2006年。CMOSセンサーも当時得意としたCCDから2004年に切り替えた。ここから裏面、積層といったセンサーを開発し、今に至っている。今では非常に高い利益率を誇るデジタルカメラ『α』も始めたのは2006年で、単年度黒字までは7年かかった。肝に銘じているのは、しっかりとした長期視点の仕組みを作ること、これを言い聞かせている」と、現状についての認識を述べた。

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