KDDIと東芝、5G時代の「グローバルIoT」で協業--データ収集から活用までワンストップで

 KDDIと東芝および東芝デジタルソリューションズは4月23日、今後商用サービスが開始される5G(第5世代移動通信システム)時代を見据えて、グローバルのIoT事業領域で協業した。

 KDDIと東芝のIoTサービスを連携させ、IoT機器の通信接続からデータの収集、蓄積、可視化、分析、活用までのサービスをワンストップで提供。製造業をはじめグローバルに事業を展開する企業に対して、IoTを活用したビジネス変革を支援する。

協業を発表した東芝 執行役専務 東芝デジタルソリューションズ 取締役 社長 錦織弘信氏(左)とKDDI 取締役執行役員常務 森敬一氏
協業を発表した東芝 執行役専務 東芝デジタルソリューションズ 取締役 社長 錦織弘信氏(左)とKDDI 取締役執行役員常務 森敬一氏

 5Gという高速大容量の無線通信インフラが実現することで、各社ともにIoTを活用したサービスの本格展開を模索するなか、今回の協業はこれまでもAI領域などで提携する関係にあり、他社との連携やオープンイノベーションによってグローバルでのIoT事業拡大を図る両社が手を組んだ形となる。

 グローバルでのIoTビジネスを展開するうえでKDDIは、5Gにおいて総務省から28GHz帯で400MHz、3.7GHz帯で200MHzという周波数を割り当てられ、それぞれ「国際的によく使用されているエコバンド帯域を取得した」(KDDI 取締役執行役員常務 森敬一氏)としている。

 また同社は、5G時代のサービス基盤として「IoT世界基盤」を発表しており、企業がグローバルでIoTを活用したビジネスを実施する際に、120カ国以上でグローバルの通信基盤を提供するだけでなく、「データ蓄積・活用」「グローバル通信のアグリケーション」「法規制対応・認証取得」という通信インフラ周辺に付随するサービスを併せて提供する体制を整えている。

KDDI 取締役執行役員常務 森敬一氏
KDDI 取締役執行役員常務の森敬一氏

 東芝は現在、ビジネスモデルを再構築するなかで、従来のものづくり企業としての実業に基づく現場運用のノウハウと、ITやエッジコンピューティング、AIなどのテクノロジーを組み合わせ、「世界有数のサイバー・フィジカル・システム(CPS)テクノロジー企業を目指している」(東芝 執行役専務 兼 東芝デジタルソリューションズ 取締役 社長 錦織弘信氏)とする。

 CPSとは、実世界(フィジカル)におけるデータを収集し、デジタル(サイバー)により理解・分析してそれをフィジカルにフィードバックすることによって付加価値を創出するという概念を指す。そのなかでIoT領域では製造、社会インフラ、エネルギー、物流などの事業領域でサービスを提供しており、「SPINEX(スパインエックス)」というIoTサービスプラットフォームを展開している。

 今回の提携により、通信インフラ領域を主体としたIoT世界基盤と、サイバー・フィジカルのサービス領域を主体としたSPINEXという双方のIoTサービス基盤とノウハウを組み合わせ、企業がグローバルでの5GインフラとIoTを活用した新たなサービスを開発・実施する際に、ネットワークやアプリケーション開発のインフラ提供から技術支援、制度対応などのビジネス面での課題解決、実サービスノウハウの提供、運用保守までワンストップで支援する。

東芝 執行役専務 兼 東芝デジタルソリューションズ 取締役 社長 錦織弘信氏
東芝 執行役専務 兼 東芝デジタルソリューションズ 取締役 社長 錦織弘信氏

 具体的なIoTサービスの内容としては、従来型のものや装置を売るビジネスから、産業機械のリアルタイムの保守点検や、家電の稼働状況を踏まえたサービスの提案などのサポートサービスを売るリカーリングモデル(循環型ビジネス)を付加したビジネスへの転換などを支援するとしている。

 なお今回の協業の第一弾として、東芝エレベータの各海外拠点におけるエレベーター遠隔監視サービス化の実施に向け、両社で新しいサービス基盤の導入を検討していく。

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