こうしたインタラクティブな体験を提供する各企業は、それぞれ独自の趣向を凝らしている。
例えば、カリフォルニア州ロサンゼルスにあるTwo Bit Circusを見てみよう。約3530平方mの空間に、鮮やかな色、点滅する照明、VRゲームを備えたTwo Bit Circusの施設は、カーニバルのゲームにテクノロジの要素を加えた雰囲気を醸し出している。風船ダーツのような、カーニバルの昔ながらのゲームにも、現代的な要素が加わっている。Two Bit Circusでは、風船ダーツは風船の画像を壁に投影する形になっている。2人のプレーヤーが穴からボールを取り出して、できるだけ早く投げ、できるだけ多くの風船を割る。最も多くの風船を割ったプレーヤーの勝ちだ。
マルチプレーヤーアリーナでは、VRヘッドセットを装着して、ドラゴンやロボット、ゾンビと戦ったり、沈没する潜水艦から脱出したりすることもできる。宇宙船の司令センターのような部屋もあり、ここでは友達と一緒に宇宙船を操縦することが可能だ。最大100人がワインを試飲して、銘柄を当てられるか競うことのできるバーもある。
もちろん、ロボットのバーテンダーもいる。
これらすべての体験は、ピザレストランとゲームセンターが一体となった米国のチェーン店、Chuck E. Cheese'sのアップデート版のように感じられる。Two Bit Circusを運営するBrent Bushnell氏が、Atariの共同創設者でChuck E. Cheese'sの創設に手を貸したNolan Bushnell氏の息子であることを考えると、それも当然のことだろう。
「興奮の熱さを提供しつつ、実現できるクールなものを披露したいと考えている」(Brent氏)
入場は無料だが、体験には1人あたり1~25ドルの料金が必要だ。
NomadicとThe VOIDも紹介しておこう。いずれも、典型的なショッピングモールのスペースに遊園地のアトラクションのような雰囲気を詰め込んでいる。プレイ料金は最高35ドルだ。
ヘッドセットを着けていなければ、そのスペースに設置されたセンサとヒーター、扇風機以外に見るものはほとんどない。ヘッドセットを装着すると、周囲のその世界が一変する。それらすべてのセンサや置いてある実世界のモノは、ユーザーがプレイするゲームとつながっているからだ。現実の世界で懐中電灯を手にしている場合、仮想の世界でそれがどこを照らしているのかを見ることができる。そのVR体験に溶岩が登場したら、現実世界のヒーターがプレーヤーの顔に熱風を吹き付ける。
「人々に素晴らしいと言ってもらいたいのもあるが、それだけでなく、家庭では味わえない体験だと感じてもらいたい」。Nomadicの創設者・最高経営責任者(CEO)で、Walt Disney Animation StudiosとIndustrial Light & Magicのモーションキャプチャの取り組みにも関わった経験を持つDoug Griffin氏は、そう話す。
スター・ウォーズのゲームを提供するThe VOIDは、ロサンゼルス、ラスベガス、フロリダ州オーランドのほか、ドバイやトロント、マレーシアのクアラルンプール近郊のリゾートでも体験できる。ヘッドセットを装着して歩き回るNomadicのVR体験は、オーランドで提供されている。スタートアップである同社は、2019年、ラスベガスとロサンゼルスに新しいVRスペースを開設する予定だ。
だが、別世界に没入するのに、必ずしもVRに頼る必要はない。例えば、「SF小説の世界の中を歩く体験」と説明されている、約1858平方mのアートインスタレーション、Meow Wolfを見てみよう。Meow Wolfでは、来場者に対して、施設内のあらゆる場所に行き、あらゆるものに触れることを勧めている。ビクトリア朝風の家から「次元を超える旅行代理店」へと通じるトンネルがある。その旅行代理店自体も、ネオンの木々が立ち並ぶ森への入り口になっている。この体験全体のゴールは、かつてそのビクトリア朝風の家に住んでいた家族の居場所を突き止めることだ。2016年にサンタフェで最初にオープンしたMeow Wolfは、2019年中にラスベガスにも進出する予定だ。
現実逃避が強い現実感を帯び始めている。
筆者は、スター・ウォーズの世界をまた訪れることが楽しみで仕方がない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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