GAFAに強敵出現--「シリコンバレー大手の分割」が2020年米大統領選の争点に - (page 3)

「亥年」と時代の変わり目

 最後に。2019年は「亥年」(いのししどし)で、干支の占いによると「ある周期の終わり」だが「新しい芽が出てくるのは翌年以降」という時期にあたるそうだ(2018年末にそういう説明を読んで妙に感心したことを改めて思い出した)。

 サブプライムローンのバブルが弾けたのが12年前の2007年のことで、それを引き金に起こった金融危機のせいもあって、Obama氏が大統領に当選したことは改めていうまでもないが、その危機の反省を踏まえてつくられた米消費者金融保護局(CFPB)という米財務省の部門を作るべしと主張した「言い出しっぺ」がハーバード時代のWarren氏だった。

 一方、金融危機を比較的無傷で切り抜けた感のあるシリコンバレーが、相対的に地盤沈下したウォールストリート(金融業界)に代わって米国を代表する産業になった(そしてかつてのウォールストリートと同様、その後社会的に「ヒール役」になった)ことも、読者諸兄には改めていうまでもないだろう。

 シリコンバレーが無傷で切り抜けられた主な理由を挙げるとすれば、ひとつはスマートフォンの誕生とそれに続く世界的な普及で、もうひとつは広義のソーシャルメディアの普及・定着であったというのもまた説明不要だろう(若い読者のために記しておくと、GoogleによるYouTubeの買収発表が2006年10月、TwitterのSXSWでのブレイクが2007年3月、そして「iPhone」の発売が2007年6月末だった)。

 従来のスマートフォンの市場が飽和し、販売台数は頭打ち(もしくは縮小)というのはしばらく前から報じられてきたことで、同時に折りたたみ型スマートフォンのような新しいものも最近一斉に登場したが先行きどうなるかはまだわからない(折りたたみ型スマートフォンは「Google Glass」に似ているという指摘も目にしたが、個人的には3Dテレビにより近いようにも感じる)。また、Warren氏の発表の前々日にZuckerberg氏がFacebookの大方向転換を打ち出した例の長文エッセイを公開していたが、あれに表れている通り、ソーシャルメディアのほうも従来と同じようにはいかない、自ら変わらなければ外側から変身を余儀なくされる、という状況になっている。

 いずれもこの先どうなるかはまだ分からないが、すでに業界全体が大きな転換期に差し掛かっていることを改めて感じさせる出来事である。

 注)古くは20世紀初頭にあったStandard Oilの分割、1980年代のAT&Tの分割、そして今回Warren氏がエッセイの中でも触れていたMicrosoftに対する独禁法訴訟など、米メディアはこの手のネタが大好きな感じがする。Standard Oilの時に世論形成に大きな役割を果たしたとされるジャーナリスト、Ida Tarbell氏への無意識の憧れがあるのかもしれない。

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