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沖縄セルラーとKDDI、5G時代と大規模災害を見据えた「新海底ケーブル」を建設へ

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 沖縄セルラー電話は2月18日、KDDIの協力の下、沖縄・九州間の海底ケーブルの新ルート「沖縄セルラー 沖縄〜九州海底ケーブル」を新たに建設することを発表した。同日に沖縄県那覇市で開かれた記者説明会では、独自に海底ケーブルを敷設する理由や、その海底ケーブルの概要が語られた。

 沖縄セルラー電話の常務取締役 技術本部長である山森誠司氏は、これまでの沖縄セルラーの取り組みを紹介した。「地元に全力!」というフレーズを打ち出し、沖縄県民に向けてサービスや防災対策、そして5GやIoTなど新しい技術の実証実験にも積極的に取り組んできたという。

沖縄セルラー電話 常務取締役 技術本部長の山森誠司氏
沖縄セルラー電話 常務取締役 技術本部長の山森誠司氏

 その中でも山森氏は、特に「通信会社としてネットワークの信頼性に気を配っている」と説明。事業継続(BCP)対策として、沖縄県内に2つのネットワークセンターを持ち、沖縄本島内での二重化を進めているほか、沖縄と本土を結ぶ海底ケーブルに関しても、KDDIが敷設した、宮崎県を経由し沖縄県島尻郡八重瀬町にある「KDDI那覇テクニカルセンター」を結ぶ2本のケーブル本で二重化しているという。

 ただし、「東ルート」と呼ばれるこの海底ケーブルは、いずれも太平洋側を通過するため、昨今の自然災害の増加、特に今後発生の可能性が高いとされる南海トラフ地震が発生した際には、2本の海底ケーブルが同時に損傷して本土との通信が途絶する可能性があるという。

本土と沖縄を結ぶ海底ケーブルは、既にKDDIが敷設した2本が存在するものの、いずれも太平洋側にあるため南海トラフ地震での途絶が懸念されていた
本土と沖縄を結ぶ海底ケーブルは、既にKDDIが敷設した2本が存在するものの、いずれも太平洋側にあるため南海トラフ地震での途絶が懸念されていた

 通信インフラが途絶すれば、救助活動や物資の支援など、さまざまな面で大きな影響が出る。「私も東日本大震災発生後の4日後には現地を見てその悲惨さを痛感しているし、それが万が一沖縄で起きたら非常に悲しいことだ」と山森氏は話し、南海トラフ地震の影響を受けない海底ケーブルの新たなルートが必要との認識を示した。

 そこで沖縄セルラー電話は今回、海底ケーブルの敷設や運用に多くの実績を持つKDDIと共同で、東シナ海を通る「西ルート」を敷設することを発表。新たに敷設される海底ケーブルは、鹿児島県日置市から沖縄県名護市を結ぶ全長が約760km、最深部約1200mのルートで、2020年4月から運用開始するという。

沖縄セルラー電話が新たに敷設する「西ルート」の海底ケーブルは、鹿児島県日置市から東シナ海を通り、沖縄県名護市を結ぶ形となる
沖縄セルラー電話が新たに敷設する「西ルート」の海底ケーブルは、鹿児島県日置市から東シナ海を通り、沖縄県名護市を結ぶ形となる

 この西ルートの開設は、BCPだけでなく5Gが普及する今後を見据えたものでもあると山森氏は話す。実際、新しい海底ケーブルは設計上の伝送容量は最大80Tbpsと、東ルートの約10倍の伝送量を実現。5Gで増大するトラフィックに対応できるという。

 さらに海底ケーブルの二重化と、2つのネットワークセンターで冗長化されたネットワークに、現在沖縄セルラー電話が5G時代を見据えて建設中だという、データセンターとオフィスビルを併設した「スマートビル」を接続する予定とのこと。これによって高い信頼性を持つ都市型のデータセンターを実現し、沖縄からアジア地域に向けたビジネス拡大に活用したいとしている。

海底ケーブルとネットワークセンターの二重化で冗長化されたネットワークに、沖縄セルラー電話が5G時代を見据え建設中の「スマートビル」のデータセンターを接続する予定
海底ケーブルとネットワークセンターの二重化で冗長化されたネットワークに、沖縄セルラー電話が5G時代を見据え建設中の「スマートビル」のデータセンターを接続する予定

 しかしながら、沖縄セルラー電話は海底ケーブルを敷設した実績はない。そこで今回の敷設には、海底ケーブルで豊富な実績を持つKDDIが全面協力するとのことで、KDDIのノウハウを活用しながら共同で作り上げていくとのことだ。

 KDDIの理事 ネットワーク技術本部長である斎藤重成氏は、KDDIの海底ケーブルに関する取り組みについて説明。海底ケーブルは海外との大容量通信をする上で必要不可欠な存在となっているが、KDDIは前身の1つである国際電信電話(KDD)の時代から、55年にわたって海底ケーブルの敷設などを手掛けているとのことだ。

KDDIの理事 ネットワーク技術本部長である斎藤重成氏
KDDIの理事 ネットワーク技術本部長である斎藤重成氏

 現在も米国やロシア、アジアなどを結ぶ代表的な国際海底ケーブルの多くに出資。大規模災害に備えたルートのダイバーシティ化も実現しているという。また国内でも、北海道から沖縄まで全国に8つの地域、11にある海底線中継局を運用しているとのこと。今回新たに海底ケーブルを敷設することで、9地域、13局の中継局を運用することになると斉藤氏は話す。

東ルートの海底線中継局。那覇市から約15kmの沖縄県島尻郡八重瀬町にあり、本土だけでなくアジアや欧州までを結ぶケーブルも陸揚げされている
東ルートの海底線中継場。那覇市から約15kmの沖縄県島尻郡八重瀬町にあり、本土だけでなくアジアや欧州までを結ぶケーブルも陸揚げされている

 KDDIが最初に敷設した太平洋横断ケーブル「TPC-1」から、現在使用しているアジア方面に敷設している「SJC」の伝送容量を比べると「約260万倍」(斎藤氏)とのことで、海底ケーブル自体の技術革新は大幅に進んでいるという。だがそのケーブルは、複雑な地形の海底に敷設する必要があり、作業には熟練による高度な技術が求められるのだそうだ。

 例えば海底の浅い場所では、漁や船の錨による破損を防ぐため太いケーブルを用い、逆に深い場所では水の抵抗を減らすため細いケーブルを用いるなど、場所によって使用するケーブルを変える必要がある。また数百、数千kmという非常に長い距離を結ぶことから、光ケーブルとはいえ信号の損失も発生するとのことで、途中に海底中継器を設置し、信号を増幅する必要もあるとのこと。他にも水中ロボットやダイバーによる敷設作業が求められる一方で、陸揚げなど50年前から変わらない作業もあることから、「脈々と受け継がれた職人技術とノウハウを持っている」(斎藤氏)というKDDIの技術が生きるのだそうだ。

海底ケーブルの見本。海底の浅い場所では傷がつきにくいよう金属で保護した太いケーブル、深い場所では水圧の影響を受けにくい、細いケーブルが用いられる
海底ケーブルの見本。海底の浅い場所では傷がつきにくいよう金属で保護した太いケーブル、深い場所では水圧の影響を受けにくい、細いケーブルが用いられる
海底中継器の見本サンプル。減衰する光信号の増幅をするだけでなく、ケーブルの不具合を検知するなどの役割も持っている。実際にはより大きなサイズになるとのこと
海底中継器の見本サンプル。減衰する光信号の増幅をするだけでなく、ケーブルの不具合を検知するなどの役割も持っている。実際にはより大きなサイズになるとのこと

 そうした海底ケーブルの運用保守をするため、KDDIでは「KDDIオーシャンリンク」と「KDDIパシフィックリンク」の2船を保有し、運用している。だが現在、通信用のケーブルだけでなく、電力ケーブルの工事もできる「KDDIケーブルインフィニティ」を建造中で、2019年に退役予定のKDDIパシフィックリンクに代わる形で、5月から運用する予定とのこと。そうしたKDDIのノウハウを活用することで、沖縄セルラー電話の西ルートについても「全力に技術サポートし、5G時代を見据えたネットワークと、大規模災害を見据えた強靭化を実現していきたい」と斎藤氏は意欲を見せた。

KDDIは2船体制で海底ケーブルの運用保守をしており、2019年5月からは新たに「KDDIケーブルインフィニティ」を運用する予定だという
KDDIは2船体制で海底ケーブルの運用保守をしており、2019年5月からは新たに「KDDIケーブルインフィニティ」を運用する予定だという

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