toioの発案メンバーであるSIE T事業企画室 課長の田中章愛氏は、toioについて「子どもたちが、手作りのおもちゃや工作をロボットに乗せて、コンピューターから提供されるルールに従って、自由自在に動き出す。ゲーム性のある遊びやシナリオに沿った遊びに夢中になるうちに、予想外の出来事などが起こると、ひらめきや工夫のきっかけになることがある。それが枠にとらわれない自由な遊びにつながっていく。そして遊び自体も子どもたちが作り出すような体験を提供したい」と語る。
多くの子どもたちのテスト体験と試行錯誤を繰り返し、また商品化に向けては100人以上の親の意見も踏まえてブラッシュアップを続け、ソニーのクラウドファンディング・ECサイト「First Flight」を通じて先行販売も実施。その際に、toioでプログラミングによるロボットの動きも自分たちで作りたいという要望も多く寄せられ、新製品に取り入れたという。
当初ソニーの社内スタートアップのような立ち位置であったが、商品化に向けてさまざまな試行錯誤を続けるなか「アイデアや基本コンセプトに共感していただいた」(田中氏)ことから、2018年度からはSIEへチームごと移り、プレイステーション関連を手掛けるSIEのエンジニアやビジネス関係者とともに、商品の改良や販売体制の構築などを続けてきたとしている。
SIE シニアバイスプレジデントの西野秀明氏は、ソニーグループのなかからSIEでtoioを発売する狙いとして、「プログラミングが可能、ということがSIEという会社にとって重要」と回答。「プログラムをし、ユーザーが反応または操作するというインタラクティブな体験が提供できる。プログラムはネットワークを通じての配布やシェアも可能であり、均一な体験も提供することができる」と説明した。
なお、プレイステーションとはターゲット層などが異なるため、toioは独自ブランドとして、まずは国内市場に向けて戦略的に展開していくという。そして「SIEはプレイステーションプラットフォームを通じて、ゲーム体験というインタラクティブエンタテインメントを提供してきた。ハードウェアの設計や構築、商品化に加え、ユーザーとクリエーターをつなぐプラットフォームに関する知見や技術を、toioにも活用し、新しいインタラクティブエンタテインメント体験を提供する」と語った。
今後の展開のなかでは、プログラミングを通じて新しい遊びを作り出す活動も推進していく方針で、ビジュアルプログラミング環境やJavaScriptなどで開発したプログラムなど、ユーザー自らが作成したコンテンツもキューブと組み合わせて楽しむことができる場も提供する。親子参加型のイベントや、新世代クリエーター向けのプログラム/コンテストの実施も検討。LITALICOワンダーの協力で、toio向けのワークショップも企画していく予定という。
なお、先行発売したtoioと、新発売するtoioは互換性を有していないため、First Flightを通じて先行購入したユーザーに向けて、無償交換プログラムを提供する。
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