大和ハウスが考えた“都市ストレス”を減らす「森が家」--木造三階建に新提案

 大和ハウス工業は1月17日、暮らすことでストレスを軽減する家「xevoGranWood(ジーヴォグランウッド) 都市暮らし森が家コンセプトモデル」(森が家コンセプトモデル)を開発した。木造3階建てで、人生100年時代・生涯現役時代に向けた家として、50~70歳世代に向け展開する。東京都品川区にある住宅展示場「品川シーサイド展示場」で、1月19日から展示、販売を開始する。

「xevoGranWood(ジーヴォグランウッド) 都市暮らし森が家コンセプトモデル」
「xevoGranWood(ジーヴォグランウッド) 都市暮らし森が家コンセプトモデル」

 森が家コンセプトモデルは、玄関周りや庭、バルコニーといった外周りと自宅内に多種多様な植物を取り入れたほか、火のゆらぎを体感できるよう疑似暖炉を配したり、川のせせらぎや木の葉が風でゆれる音を音響システムで再現したりすることで、「森で暮らす」ような快適な家造りを目指した。

 大和ハウスでは、住宅として鉄骨と木造の2つを用意しているが、木造住宅は全国展開していなかった。しかし3月には東日本地域、2020年3月にかけて西日本地域での販売を開始。2020年3月にはすべての営業所で木造住宅を扱う環境を整える。

 森が家コンセプトモデルは、都市部における木造3階建住宅の強化を目的に開発。人口の減少や都市部への人口流入が増える中、50代以上に都心の3階建住宅を選択するケースが多くなっていることに着目したという。

 大和ハウス工業 上席執行役員の林直樹氏は「都市部は土地の値段が高く、住宅のサイズはどうしても小さくなってしまう。限られたスペースに好みの住宅を作るためには、上に広げる必要がある。その中で、木造の三階建を提案したい」と、開発の背景を話す。

 コンセプトモデルは、予防医学研究者の石川善樹氏とともに開発。「心身ともに健やかに暮らすには都市ストレスからの解放が鍵」をテーマに考えたという。床材や天井にダーク系を使用し、森の中にいるかのようなイメージに仕上げているほか、タイルや塗り壁といった素材を用いることで、自然に近い部屋づくりを実現。照明も控えめにすることで、光を反射させ、陰影が出やすいようにしているという。

緑視率10%を実現した
緑視率10%を実現した
リビングルームは疑似暖炉。火の動きを見ることでリラックスできるという
リビングルームは疑似暖炉。火の動きを見ることでリラックスできるという

 黒を基調とした室内ながら、三面に窓を設けることで明るい日差しをふんだんに取り入れられるとのこと。鳥のさえずりや川のせせらぎなど、音響システムから流れる音は、実際に森の音を録音したもの。人間の耳では聞こえないとされる超高周波も流すことで、心地よい空間を作り出す。

 配置された植物は、落葉せずに緑の葉を常に見られる針葉樹を多めに採用。あえて小さめ葉の植物を取り入れることで、風に揺れる葉の動きや音を感じやすいようにしているという。コンセプトモデルの植物はフラワーアーティストの田中孝幸氏が担当した。

 石川氏は、白壁と白色灯の空間に都市の雑音を流した「都市を再現した部屋」と、緑視率10%以上の植栽と超高周波の自然音、森の香り「森を再現した部屋」を用意し、実証実験を実施。その結果、都市の部屋に比べ森の部屋では、平均ストレス度が14%下がり、インタレスト(興味、関心)度が16%上昇したという結果が得られたという。

 石川氏は「森の空間で得られる光や音が、人間をリラックスさせ、落ち着かせているように思う。五感に多様な刺激を与えられる空間再現を目指した。それと同時に、都市部は人間関係が希薄で孤独に陥りやすい。しかし孤独は強いストレスを人に与える。それを避けるため、コンセプトモデルでは広い間口を設け、地域の人とつながりやすい空間にした」とコンセプトを説明。人間が本能的に気持ち良い空間を目指した。

スマートスピーカーも設置し、カーテンの開け締めなどは音声コントロールでできる
スマートスピーカーも設置し、カーテンの開け締めなどは音声コントロールでできる
予防医学研究者の石川善樹氏(右)と大和ハウス工業 上席執行役員の林直樹氏(左)
予防医学研究者の石川善樹氏(右)と大和ハウス工業 上席執行役員の林直樹氏(左)

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