日本人の仕事観は“自己肯定感が低い”“選択肢を持ちたい”--リンクトインが調査

 リンクトイン・ジャパンは12月13日、日本を含むアジア太平洋(APAC)地域9カ国を対象にした「仕事で実現したい機会に対する意識調査」と題した調査結果を公表。日本代表を務める村上臣氏が説明を行った。

 調査は市場調査会社のGfKに委託する形で、9市場におけるリンクトイン利用者の18~60歳までの1万1000人以上を対象に、2018年9~10月にオンラインインタビューで実施したもの。100を自信の基準得点とし、得点が高いほどより強い自信を持っていることを示している。

リンクトイン・ジャパン 日本代表の村上臣氏
リンクトイン・ジャパン 日本代表の村上臣氏

 まず、「仕事の機会を得て、それを実現していく自信があるか」という質問に対して、平均値を100とした時の日本は「79」で、調査対象国のなかでは低い数値となった。いわゆる“自己肯定感が低い”ことを示しているという。村上氏は「経済が伸びている国では見通しが明るく、仕事に自信を持っている人が多い。一方で、見通しが不確かになっている国では自信がないと答える人が多くなる」と説明する。

「仕事の機会を得て、それを実現していく自信があるか?」
「仕事の機会を得て、それを実現していく自信があるか?」

 日本において、「現在、最も実現したい仕事の機会」という質問については「新しいスキルを学ぶ」(20%)、「国内でのやりがいのある仕事」(18%)、「キャリアアップ」(7%)が多かったという。村上氏は、「日本は他国に比べて学ぶ意欲が強い。まだまだ転職が重い意思決定になっている状況かつ経済の見通しは不透明ななかでも、今後スキルが必要であったり、やりがいを求めている傾向がある」という。

「現在、日本人が最も実現したい仕事の機会」
「現在、日本人が最も実現したい仕事の機会」

 ちなみに調査対象国による同じ質問で「起業」と答えたのはインドネシアが34%、フィリピンが29%のなか、日本では6%。村上氏は、自身が起業経験があることを踏まえ「日本はスタートアップブームと言われていたり、テック界隈にいると『みんな起業しているのでは』と思うところもあったが、まだまだ日本における起業は重たいもの」と指摘する。

「現在アジア太平洋地域全体で最も実現したい仕事の機会」
「現在アジア太平洋地域全体で最も実現したい仕事の機会」

 「日本で実現したい仕事の機会を阻む要因」という質問では、「個人の財務状況」(26%)、「失敗に対する恐れ」(24%)、「自信がない」(23%)が上位に。村上氏は、前述した自己肯定感の低さが現れた、日本らしい結果だと指摘。「大変なことがあっても、会社を辞めなければ生き残れるという考えが強い。チャレンジして失敗することの不安が、仕事の機会を阻む要因につながっている」と説明する。

「日本で実現したい仕事の機会を阻む要因」
「日本で実現したい仕事の機会を阻む要因」

 日本における「将来、仕事において実現したい機会」という質問に対しては、複数回答を可能としたなかで「生活における選択肢を持つ」が39%と最も多く、「ワークライフバランスのある仕事」(38%)「自分のスキルを活用できる」(38%)、「新しいスキルを学ぶ」(31%)と続いた。

「将来日本人が仕事において実現したい機会」
「将来日本人が仕事において実現したい機会」

 村上氏は、この“選択肢を持つ”の結果が高かったことに、一番の驚きがあったとするとともに、日本人の労働市場、仕事に対する考え方に変化が現れていると指摘する。「今までの日本では考えられなかった結果。選択肢を持ちたいと考えているということは、裏を返せば、今は選択肢が少ないと実感しているということ。副業解禁などの動きがあり、自由な働き方の情報が広まったことも影響しているのでは」と分析した。

 今回の調査結果の総括として、村上氏は「日本では、働くことに対する意識が変化してきているのが見て取れる。選択肢を持ちたいという結果が高くなっているのがハイライト。ひとつの会社で、終身雇用の前提で働くことに何の疑問も持たなかった時代から、自分のキャリアを自分で考える、自分の手に取り戻すという意識を持つ人が増えてきた」とした。そして「楽しく、いい仕事をしていく世界にしていくことを考えると、日本における自己肯定感の低さは課題であり、リンクトインとしてなにができるのかを考えるきっかけになった」とまとめた。

 また成功事例を取り上げられ、情報として目にする機会が多いことから、かえって挑戦することをためらうのではという見解も示した。「私もヤフー在籍時代など、さまざまな失敗をしているのですけど、その話をすると驚かれる。失敗したくないというのはチャレンジしないのと同じこと。ただ、チャレンジしない限り機会もやってこない。許容できるリスクの幅は人によって異なるものだが、ゼロイチではなくその幅を見極めてチャレンジしてほしい」と語っていた。

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