ライナフ、苦難のモノづくりを強みに変えた異色のスタートアップ--「Ninjalock」から新サービス - (page 3)

「ライナフの強みはハードも作れること」唯一の不動産サービスを生み出したい

——いずれのサービスもスマートロックだから導入できることだと思います。セキュリティに関しては、どうお考えですか。

 サービスが入って来る家では、ウェブカメラと連携し、スマートフォンから自宅内を見られる環境を整えています。しかし、それ以上に重要なのは、家に人が入って来ても大丈夫という文化の醸成のような気がしています。ホテルの清掃サービス同様に、大事なものだけをきちんと管理しておけば、安心してサービスを頼めるという意識改革が必要だと思います。

——先程から大変というお話が多かったですが、ハードをやっていて良かったなと感じたことは。

 プレゼンなどが格段にわかりやすいことですね。展示会も同様なのですが、Ninjalockを見せるだけで「ライナフはこれをやっています」というのが一発で伝わる。展示会などはお客様にも立ち止まってもらいやすいです。アプリやサービスだと立ち止まってもらって、説明してという行為が必要になりますが、見せるだけである程度伝わるというのは、ハードならではのことだと思います。

——今後の展開を教えてください。

 今、鍵の大手メーカーと共同で、入居前から使えるスマートロックを開発しています。それが完成すれば、入居者に鍵を配信して、空室になったら、仲介会社に配信して、とデジタルキーのみで運営が可能になります。一方でアプリを入れるのが大変な人もいらっしゃいますから、テンキーも設けるなど、多くの人に使っていだけるような工夫をしています。

 引き続き、不動産の新しい使い方や価値向上、空室の活用などに取り組んでいきますが、ライナフの強みは必要だと思えばハードも作れることだと思っています。ハードも絡めたライナフにしかできないような唯一のサービスを生み出していいきたいと思います。

インタビュアー

赤木正幸

リマールエステート 代表取締役社長CEO

森ビルJリートの投資開発部長として不動産売買とIR業務を統括するとともに、地方拠点Jリートの上場に参画。太陽光パネルメーカーCFO、三菱商事合弁の太陽光ファンド運用会社CEOを歴任。クロージング実績は不動産や太陽光等にて3500億円以上。2016年に不動産テックに関するシステム開発やコンサル事業等を行なうリマールエステートを起業。日本初の不動産テック業界マップを発表するとともに、不動産テックに関するセミナー等を開催するほか、不動産会社やIT企業に対してコンサルティングを実施。自社においても不動産売買支援クラウド「キマール」を展開。2018年、不動産テック協会の代表理事に就任。早稲田大学法学部を卒業後、政治学修士、経営学修士を取得。コロンビア大学院(CIPA)、ニューヨーク大学院(NYUW)にて客員研究員を歴任。 

 

川戸温志

NTTデータ経営研究所 シニアマネージャー

大手システムインテグレーターを経て、2008年より現職。経営学修士(専門職)。IT業界の経験に裏打ちされた視点と、経営の視点の両面から、ITやテクロノジーを軸とした中長期の成長戦略立案・事業戦略立案や新規ビジネス開発、アライアンス支援を得意とする。金融・通信・不動産・物流・エネルギー・ホテルなどの幅広い業界を守備範囲とし、近年は特に不動産テック等のTech系ビジネスやビッグデータ、AI、ロボットなど最新テクノロジー分野に関わるテーマを中心に手掛ける。2018年より一般社団法人不動産テック協会の顧問も務める。

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