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VRIコラム

日本は、中国パワーに打ち勝つマーケットをつくれるのか?--eスポーツ編

上床光信(Gzブレイン マーケティングセクションマネージャー)2018年10月24日 12時40分
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 国内のゲーム関連でもっとも大きい総合イベントである「東京ゲームショウ 2018」(9月20~23日)が閉幕しました。特筆すべきは、動員数が歴代最多の29万8690人となったことです。

 主な要因として「eスポーツ」が注目されたことによる効果ではないかと言われており、一般客も含めた業界内外からの「eスポーツ」への関心の高さが来場者増へと結びついたと分析する関係者が多数いたと聞いています。

 実際、主催者サイドの発表では“日本の「eスポーツ」活況、新たな時代へ”と高らかに宣言されています。

 業界団体の統合(過去記事)を境に、2017年から徐々に盛り上がりを見せてきた「eスポーツ」ですが、2018年に入り、ゲーム業界はもとより、他業界からも多くの関心が寄せられています。

 象徴的なのは、先ごろ日本eスポーツ連合(会長:岡村秀樹、以下JeSU)のオフィシャルスポンサーが発表されたのですが、その顔ぶれを見ると、通信、コンビニエンスストア、飲料、ゲーミングPCメーカー、アパレルメーカーといった幅広い業界の名前が連なっていました。

 これはつまり、eスポーツのマーケットにおけるマネタイズポイントは、今までのゲームマーケットと比べても、かなり幅広い分野においての可能性を秘めている証ともいえます。

 具体的には、下記のようなものが挙げられると思います。IPビジネス(ゲームタイトルのデベロッパー、権利者が享受するマネタイズ)、広告ビジネス、投資ビジネス、箱物ビジネス(競技場、地域や施設への集客等)イベント・興行ビジネス、配信・放送ビジネス、メディアビジネス、等々。

 またeスポーツに関する話題で忘れてはならないことが、もう一つ。それは、アジア大会における日本の金メダル獲得です。

 ジャカルタ・パレンバンのアジア大会では、デモンストレーション競技として初めてeスポーツが開催されました。

 この大会で、eスポーツの種目として採用された6タイトルの中には、日本発のIPである「ウイニングイレブン 2018」も選出されていたのですが、そこで、日本代表に選ばれた杉村直紀(参加名:SOFIA)選手と相原翼(参加名:レバ)選手が、見事に優勝し初代の金メダリストになるという快挙を成し遂げました。

 2019年の茨城国体でもeスポーツ大会が開催されることが決まっており、競技としてのeスポーツの認知が進んできていることが伺い知れます。

 しかし、この「eスポーツ」。世界的に見れば、日本での盛り上がりはまだまだだと言えます。現状日本は、まだまだ海外でのムーブメントを追っかけている立場なのです。

 では、eスポーツは世界のどこで盛り上がっているのでしょうか?実は、世界のeスポーツ熱狂者1億7千3百万人の中で、57%がアジア地域に集中しています。

 韓国がeスポーツ先進国であるのは周知の事実ですが、最近では、“eスポーツは、IPは欧米選手は韓国、市場は中国が握ってしまっている”とも言われており、中でも、中国の勢いが顕著だと言っていいでしょう。

 先のアジア大会においてもメダル数は中国が1位でした。香港も入れると、2位以下にさらに差をつける状況となっています。

 付け加えるならば、韓国は、元来お家芸であった「リーグ・オブ・レジェンド」においても、中国の後塵を喫してしまいました。

 中国のマーケットデータは中々入手しにくいのが現状なのですが、2017年の中国ゲーム市場は世界最大級の3兆3596億円。16年間で約350倍に急成長しているのです。

 また、その中でもeスポーツ市場は約1兆5000億円。先のnewzoo調べの世界のeスポーツ熱狂者との定義の違いもありますが、関連するプレイヤー人口が2億6000万人に達するのではという数字もあり、その規模は計り知れません。

 現地に行った人は、みな口を揃えて、そのパワーに圧倒されたと語っているところからも、中国の勢いの絶大さが窺えます。中でもテンセント社の動きは目を見張るものがあり、eスポーツで存在感を高めていた「ビリビリ動画」にも手を伸ばしているところも気になるところです。

 誰もが気になる、「日本でのeスポーツマーケットはどこまで成長するのか?」「本当にeスポーツマーケットは定着するのか?」という問いに対して、中国での現状は一つの答えになるのではないでしょうか?

 日本においても、特に若者を中心としたムーブメントは、既に十分な熱を帯びているといっていいでしょう。その上で、さらなる盛り上がりに際しての重要な要素をあげるとするならば、それは業界はもちろんのこと、国や行政、地域社会の後押しによる“eスポーツへの理解を醸成”していくことがキーになるのではと考えています。

 例えば、中高生の部活動においてeスポーツ部で活動している生徒を、親や学校、地域が誇りに思えるような社会の実現があれば最強なのではないでしょうか?

 ゆくゆくは、孫に負けないようにと、シニアもeスポーツに熱狂しているような世界の到来を期待してやみません。

◇ライタープロフィール
上床光信(うわとこ みつのぶ)
株式会社Gzブレイン マーケティングセクションマネージャー 。「ファミ通ゲーム白書」の編集長として10年間務めた後、現在はエンターテイメントマーケティングのeb-i事業を推進中。 ゲーム業界、エンタメ業界のマーケットアナリストとして業界の前線を走り続けている。

この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。

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